国内初の広域連携型ソーシャルインパクトボンド組成、広島6自治体と連携。個人も小口で出資可

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株式会社キャンサースキャン、ケイスリー株式会社、一般財団法人社会的投資推進財団、株式会社広島銀行、株式会社みずほ銀行、そしてインパクト投資プラットフォーム「セキュリテ」を運営するミュージックセキュリティーズ株式会社は30日、広島県域6自治体(尾道市、庄原市、竹原市、福山市、府中市、三次市)の広域圏で導入する「大腸がん検診受診勧奨事業」において、成果連動型委託契約の手法の一つである「ソーシャル・インパクト・ボンド(以下、SIB)」を組成したと発表、資金募集を開始した。6自治体の国民健康保険者を中心に、がんの早期発見による健康寿命の延伸、生活の質の向上を目的として、大腸がん検診の受診勧奨を行う。

同事業は、2017年度から経済産業省の支援を受け検討され、18年3月に広島県と県域6自治体でSIB導入を前提とした予算が成立。同県とキャンサースキャンが成果連動型支払契約を締結し、投資推進財団、広島銀行、みずほ銀行とミュージックセキュリティーズのクラウドファンディングサービスを介した一般の個人投資家が資金を提供する体制を作った。

規模は2229万4000円、募集期 間は今年10月から2020年9月(評価期間含む)。事業者はキャンサースキャン、案件組成支援を ケイスリーが担う。キャンサースキャンは、民間事業者として本事業を実施、ケイスリーは全体設計およびコーディネーターの役割を担う中間支援組織としてSIB導入を推進する。

この事業の特徴は、国内初の広域連携によるSIB 導入である点と、広く一般の個人投資家からクラウドファンディングを活用して成果連動型の資金を調達する点。事業者側が「今後は小規模の自治体でも社会的課題の解決に向けたSIB等成果連動型官民連携手法の活用が期待される」としている。メガバンクと地方銀行が連携し、地域課題の解決に取り組むという点もクラウドファンディングを介した事業ならではの特徴だ。

SIBは2010年にイギリスで始まった行政が民間資金を活用して事業を行う成果連動型の仕組み。民間の資金やノウハウを活用して革新的な社会的課題解決型の事業を行い、行政はその事業成果に応じて成果報酬を支払う。革新的な点として①事業の結果ではなく実施した成果が可視化される、②成果に応じて行政から支払いが行われる、③成果が出るまでの事業資金について行政ではなく民間が資金負担をする――などがある。

行政は財務的リスクを抑えながら民間の効果的な取り組みを活用でき、事業者は成果を重視した柔軟なサービスの提供が可能となる。また、資金提供者にとっては、社会的課題を解決する事業へ参画できると共に経済的リターンも得られる機会を創出する。

国内では経済産業省や厚生労働省等による案件組成の支援が行われており、今年6月に閣議決定された「未来投資戦略 2018」においても、SIB を含む成果連動型の民間委託を国として推進していく旨が明記された。今後は医療分野だけでなく、介護や就労、教育分野など、さまざまな社会的課題の解決の促進に向けて活用していくことが期待されている。

広域連携型ソーシャルインパクトボンドの事業実施体制 広域連携型ソーシャルインパクトボンドの支払いイメージ

【参考記事】セキュリテSIB

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