米エヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)が17日に発表した2022年度8~10月期(2021年8~10月)決算は、主力のゲーム部門とデータセンター部門の売上高が過去最高を記録(*1)。売上高、1株利益ともにアナリスト予想を上回った(*2)。同決算が良好であったほか、強気の11~1月期売上高見通しを示したことが好感され、株価は史上最高値を更新した。
売上高は前年同期比50%増の71億300万ドル、純利益は同84%増の24億6,400万ドルだった。事業別ではゲーム部門の売上高が同42%増の32億2,100万ドルとなった。ゲームを遊ぶ際に利用するGPU(画像処理半導体)であるGeForce(ジーフォース)などでは、供給が追いつかないほどの需要があったという。ゲーム用GPUは現在、暗号資産(仮想通貨)の採掘(マイニング)には利用できない仕様となっている。これを受け、今年新たにリリースしたマイニング専用GPUの売上高は1億500万ドルと、前期の2億6,600万ドルから大幅に減少した。
データセンター部門の売上高は前年同期比55%増の29億3,600万ドルだった。コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は、アマゾンウェブサービス(AWS)やマイクロソフト・アジュール(Azure)といったクラウドサービス業者へGPUの販売が伸びたことが、同部門の売上高の大幅拡大に寄与したと説明している。これらの大口顧客の間では、GPUをクラウドコンピューティングや自然言語処理、推薦システムの構築などに利用したという。また、プロの動画編集用の製品販売額は144%増の5億7700万ドルだった。エヌビディアのGPUを搭載したワークステーション用のデスクトップやノートブックの購入が増加した。
半導体大手のエヌビディアは「メタバース(仮想空間)」関連銘柄としても捉えられている。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は先週、同社がメタバースの構築を試みるテクノロジー企業の有力サプライヤーになるだろうと示唆した(*3)。またエヌビディアは11月、仮想空間内で共同作業を行うためのプラットフォームである「オムニバース」を企業向けサービスとして提供を開始している。インタラクティブなAIアバターの作成や物理シミュレーション、3D設計に利用できるという。
エヌビディアによる半導体設計大手アームの買収を巡っては、各国当局やアームの技術提供先の一部が懸念や反対の意思を示しているが、クレスCFOは技術提供先や業界にとって有益なものになると述べた。
今回の決算を受け、アナリストによる目標株価の引き上げが相次いている。また、会社側が示した11~1月期の売上高は約74億ドルと、アナリスト予想の68億6,000万ドルを上回った。エヌビディアの株価は年初来で140%ほど上昇しており(*4)、時価総額は競合のインテル(ティッカーシンボル:INTC)の4倍ほどに膨れ上がっている状況だ。今後も半導体市場をけん引するエヌビディアの動向に注目したい。
【参照記事】*1 エヌビディア「NVIDIA Announces Financial Results for Third Quarter Fiscal 2022」
エヌビディア「CFO Commentary on Third Quarter Fiscal 2022 Results」
【参照記事】*2 cnbc「Nvidia data center sales grew 55% on demand for artificial intelligence chips」
【参照記事】*3 Yahoo Finance Live「Nvidia CEO:The metaverse will be ‘much, much bigger than the physical world’」
【参照記事】*4 Investing.com「NVIDIA Corporation (NVDA)」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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