米モデルナ 22年のワクチン売上高2.1兆円超の見通し

米バイオ製薬モデルナ(ティッカーシンボル:MRNA)は2月24日、2022年の新型コロナウイルスワクチンの売上高が190億ドル(約2兆1,800億円)になるとの見通しを発表した(*1)。

21年第3四半期時点では、同売上高を170億ドルと見込んでいたことから、20億ドル見通しを引きあげたことになる(*2)。190億ドルは契約済み分の金額であり、22年の契約見込み分は含めていないことから、会社予想をさらに上回る可能性がある。ステファン・バンセルCEOはワクチンの価値評価にファーマエコノミクス(医薬品の経済評価)の観点が反映されていないことから、今後価格が上昇すると見込む(*3)。

1月26日には、オミクロン株に対応した追加接種用ワクチンの臨床試験を開始した(*4)。世界各国でオミクロン株への感染が急減するなか、同ワクチンへの強い需要があるか確かではない状況だ。ただし、モデルナは22年にオミクロン株とデルタ株に対応した追加接種の必要があるとみている(*3)。また、オミクロン型と従来型のウイルスの双方への効果を高めたワクチンの開発を進めていることを発表したほか、3月には2~5歳の子どもを対象にした臨床試験データを公表する予定である(*5)。

同日発表した21年10~12月期(第4四半期)決算は、売上高が前年同期比12.6倍の72億ドル、最終損益は49億ドルの黒字(前年同期は2億7,200万ドルの赤字)に転じた。新型コロナワクチンの売上高が69億ドルとなり、売上高全体の約96%を占めた。バンセルCEOはCNBCに対し、世界でオミクロン株の流行がおさまるなか、パンデミックからエンデミックに移行しつつあるのかもしれないと述べた(*3)。また、デルタ株のようにより毒性の強い変異株が出現する可能性があることに警戒しなければならないという。

他方で株価は低迷している。オミクロン株の感染拡大が一巡したほか、バンセルCEOら幹部による自社株売却が判明したことを受け、株価はピーク時と比べて7割ほど低い水準で推移している(*6)。現在はメッセンジャーRNAタイプのパイプライン(新薬候補)拡大に注力しており、たとえばRSウイルス感染症(急性呼吸器感染症)に対応したワクチンの臨床試験はフェーズ3の段階に入ったという。また、新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンの開発に向け、22年中に第1相試験(フェーズ1)を開始する予定だ。

22年もコロナワクチンの売上拡大が見込まれるが、エンデミックを見据えコロナワクチンに次ぐ新たな収益源を確保されるか注目だ。

【参照記事】*1 モデルナ「Moderna Reports Fourth Quarter and Fiscal Year 2021 Financial Results and Provides Business Updates
【参照記事】*2 モデルナ「Moderna 4Q21 Earnings Call
【参照記事】*3 CNBC「Covid: Moderna
【参照記事】*4 モデルナ「Moderna Announces First Participant Dosed in Phase 2 Study of Omicron-Specific Booster Candidate and Publication of Data on Booster Durability Against Omicron Variant
【参照記事】*5 ロイター「Moderna expects COVID-19 vaccine trial data for children aged 2-5 in March
【参照記事】*6 Yahoo!ファイナンス「モデルナ

The following two tabs change content below.
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チームは、株式投資に関する知識が豊富なメンバーが株式投資の基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」