貸付投資のオンラインプラットフォーム「Funds(ファンズ)」を運営するファンズ株式会社は3月15日、デットファイナンスにより総額約36億円の資金調達を実施したと発表した。これにより累計調達額は約68億円となった。デットファイナンスは企業における資金調達の方法の一つで、社債発行や銀行借入など、他人資本の増加になる調達。「借入金融」ともいう。今回は、既存株主のANRI、グローバル・ブレイン、B Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、三井住友信託銀行、FFGベンチャービジネスパートナーズのほか、新規引受先として楽天証券、国内機関投資家(社名非公開)、Hanwha Asset Management、Cygames Capital、マーキュリアホールディングスなどを引受先とした第三者割当増資に加え、みずほ銀行、千葉銀行、商工中金を借入先とした。
デットファイナンスの背景として、同社は「世界的な金融引き締めの影響により2022年は株式市場やIPO前後の企業の資金調達環境が悪化し、デットファイナンスによる調達手段の活用が進んでいる」と説明。既に米国ではIPO前後の企業によるデット調達が選択肢の一つとして浸透しており、多くの企業で活用されている。22年には、日本でも100億円規模のデットでの調達を発表するIPO前後の企業が複数現れ、11月に政府が公表した「スタートアップ育成5か年計画」では銀行などによるスタートアップへの融資促進に言及されるなど、デットでの資金調達/資金供給への注目度は高まりつつある。
一方で、日本におけるスタートアップのIPO前後の課題の一つとして、レイターステージスタートアップへのエクイティでの資金供給が十分でない点が挙げられる。これにより、事業が成熟しきらないタイミングでIPOをせざるを得ない事例も発生している。加えて、IPO後の資金調達環境も十分とは言えない。「上場後の株式の低流動性、低出来高等を背景に、機関投資家の投資対象から外れ、時価総額が上がりにくい状態となったことで、取り得るエクイティファイナンスの手段が限定的となっている上場企業も少なくない」とファンズ社は指摘する。
Fundsは、このような成長企業の資金調達課題に対して、独自のデットファイナンスによって、ポストIPO企業や上場を目指しているレイターステージのスタートアップ企業に調達手段を提供。国内におけるデットでの資金調達需要拡大に伴い大きく事業成長を進めてきた。大手金融機関との連携強化で、22年9月には楽天証券を通じたファンドの募集の取扱いを開始。また、22年10月には三菱UFJ銀行が展開する資産形成をサポートする総合サービス「Money Canvas」上での募集の取扱いを開始し、販路を拡大している。足元では、ユーザー登録数が7万3000名に、またファンド公開数は累計約280本、累計募集額が300億円を突破した。
ファンドの募集実績では株式会社マネーフォワードが借り手となる「マネーフォワードファンドMEファンド#1」を公開し、10億円の募集が申込ベースで満額達成。上場を目指す成長スタートアップでは、マイクロファイナンス事業を展開する五常・アンド・カンパニー株式会社が累計で13億円の調達を実施(23年2月末日現在)するなど、成長資金需要に応えるダイレクトデットのプラットフォームとしてFundsの利用が拡大している。
今後も投資家が安心して活用できるようサービス改善を図るとともに、ポストIPO企業とIPOを目指す成長スタートアップ企業に対してはデットファイナンスのサポートの拡大を推し進め、国内No.1のデットファイナンスの総合プラットフォームを目指す。
今回調達した資金は約1100兆円(22年9月時点)の家計に眠る預貯金を、Fundsを通じて成長企業に循環させていくことで経済を活性化すること、また成長企業に対してはデットファイナンスのサポートを拡大していくため、Fundsの機能充実や連携パートナーの拡大、また顧客獲得のための新たな施策や事業展開に向けた人材獲得およびマーケティング費用に充当する。
Fundsは、個人が1円から上場企業などに間接的に貸出しができるオンラインプラットフォーム。これまで上場企業を中心とした80社が組成する183のファンドを募集し、分配遅延・貸し倒れは無い(23年2月末日現在)。
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※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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