金融庁の注意喚起に見るソーシャルレンディング投資の問題点

金融庁がソーシャルレンディングへの投資にあたっての注意を呼びかけている。内容は①ソーシャルレンディングの仲介者は第二種金融商品取引業の登録を受ける必要があり、登録を受けていない業者の募集等は、詐欺的な商法である可能性が高いため、一切関わらない、②登録業者であっても金融庁や財務局がその業者の信用力等を保証するものではない。業者の情報をできる限り確認し、その業者の信用力を慎重に見極めるとともに、取引内容を十分に理解したうえで、投資を行うかどうかの判断をすることが重要、③ソーシャルレンディングへの投資にあたっては、投資者への情報開示が十分に図られているかどうか、また、貸付先の返済遅延やデフォルトなどのリスクがあることを十分に認識した上で、適切な投資判断をする、④高い利回りなど限られた情報のみで投資判断を行うことなく、業者が提供する様々な情報を確認する。利回りだけを強調し、リスクに関する情報が明示されていない業者との取引は注意-という4点。当局の注意喚起により、クラウドファンディングをめぐる不正が改めて浮き彫りになった。

ソーシャルレンディングは新規・成長企業など資金の借り手と資金提供者(投資者)をインターネット経由で結び付け、多数の資金提供者から少額ずつ集めた資金を融資する仕組み。少額から投資が可能なことやオンラインサービスの充実で市場は急増しており、矢野経済研究所は2017年度(2017年4月~2018年3月)の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比127.5%増の1700億円と推計。うち貸付型(ソーシャルレンディング)は約1534億円と全体の9割を占める。また、2018年度(2018年4月~2019年3月)は、前年度比20.3%増の2,044億円と見込まれている。市場が急拡大する一方で、不正などの問題点も指摘されており、同庁の注意も現状の改善に向けたアクションとみられる。

同庁は「ソーシャルレンディングの仲介者は、ファンド持分の募集又は私募の取扱い等に該当するため、金融商品取引法の規制対象となり第二種金融商品取引業の登録を受ける必要がある」と前置きし、「登録を受けていない業者の募集等は、詐欺的な商法である可能性が高いため、一切関わらない」と注意を呼び掛ける。

指摘事例として、担保設定をしていないものが存在しているにも関わらず、貸付債権が保全されているかのような誤解を与える表示、ファンド償還金に他のファンドの出資金が充当されている状況、第二種金融商品取引業者の代表者が自身の借入れ返済等に出資金を使用している状況、グループの増資資金に出資金が充当されている状況、正式な不動産鑑定評価を行ったものではなく対外的に公表できない不動産価格をウェブサイトに掲載し、担保評価について誤解を与える表示、ウェブサイト上の資金使途の表示と実際の資金使途が同一となっているか確認せず、事実と異なる表示のまま取得勧誘を継続した虚偽の表示、などが示されている。

これまで、ソーシャルレンディングに関しては、貸付先の情報が開示されているなど一定の要件を満たすと貸金業者扱いになり、貸金業登録が必要となる場合もあった。同庁は3月、投資家への情報開示について、貸付先の情報が開示されていても、貸付先が法人であり、事業スキームが商法上の匿名組合契約によるもので、投資者と借り手が接触を禁止する措置が図られている場合には、貸金業登録は不要とする解釈を示した。現在、貸付先にかかる情報開示の具体的な内容について今月12日までパブリックコメントを募集中だ。

【参考記事】ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください(金融庁)
【参考記事】矢野経済研究所・国内クラウドファンディング市場の調査(2018年)

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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