MACDは国内外の機関投資家によく使用されるインジケーターの1つです。投資の世界では、機関投資家がどのようなインジケーターを使用してトレードをしているかを理解すると、他の個人トレーダーに差を付けられます。なぜなら、機関投資家の投資行動は、相場に大きな影響があるからです。
そこで今回は、知っておきたいMACDの使い方について、プロトレーダーの筆者が解説します。
※本記事は2023年5月11日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- MACDをプロトレーダーが解説
1-1.MACDの概要
1-2.MACDの特徴 - MACDの仕組みや見方
2-1.MACDの仕組み
2-2.MACDの見方 - MACDを使用したエントリー方法
3-1.買いエントリーにはゴールデンクロスとヒストグラム
3-2.売りエントリーにはデットクロスとヒストグラム
3-3.MACDを使用する際の注意点2つ - まとめ
1.MACDをプロトレーダーが解説
1-1.MACDの概要
MACD(Moving Average Convergence Divergence・マックディー)は、「移動平均収束拡散」又は「移動平均収束乖離」などとも呼ばれるインジケーターです。1979年にジェラルド・アペル氏(Gerald Appel)によって制作されました。
1-2.MACDの特徴
MACDの特徴は、指数平滑移動平均線(EMA)をベースとした2本の線で示されるインジケーターである点が特徴です。指数平滑移動平均線は、直近の値動きに比重を置いて計算します。そのため、単純に指定した期間の平均値を用いる単純移動平均線と比較して、より直近の値動きに敏感に反応します。
つまり昨日や今日といった、より直近の価格の比重が高いため、直近で発生した振り幅の大きな動きを反映した平均線が描かれます。
2.MACDの仕組みと見方
2-1.MACDの仕組み
※以下、画像は全てTradingViewより筆者作成
MACD(上に図の一番下のインジケーター)は、指数平滑移動平均線(EMA)がベースの2本の線(オレンジと緑のライン)とヒストグラムという棒グラフ(紫とピンク)、そして中央のゼロラインから構成されているインジケーターから構成されます。
基本となる線は、EMAは短期と中期の2本です。短期の線をシグナル(オレンジ)、中期の線をMACDライン(緑)と呼びます。
デフォルトのパラメーターではシグナルは9期間です。MACDラインは『短期EMA(5期間)-長期EMA(20期間)で計算されています。
ヒストグラムは、MACDラインの数値からシグナルに数値を引いた、(乖離)を棒グラフで表しています。
インジケーターの中央にあるゼロラインは完全に均衡のとれた状態を示しています。ゼロラインより上がプラスの領域(ピンク)、ゼロラインより下がマイナスの領域(紫)となります。
シグナルとMACDラインがゼロラインを中心に上下することで、トレンドの方向と強さを表現しています。
2-2.MACDの見方
MACDの基本的な見方を解説します。まず、中央のゼロライン、シグナルとMACDラインの位置関係でトレンドを把握します。
MACDラインがゼロより上の水準で推移している場合は上昇トレンドです。MACDラインがゼロより下の水準で推移する場合は下落トレンドにあると解釈します。
ヒストグラムの棒グラフの高さは、シグナル線とMACDラインの乖離の度合いでもあります。乖離の度合いが大きければ、トレンドの勢いがあると判断できます。
またヒストグラムの高さがなくなる時は、シグナルの数値とMACDラインの数値の差がゼロになったことを意味します。トレンドが終焉したと判断できます。
3.MACDを使用したエントリー方法
最後にMACDを使用するエントリー方法について解説します。
3-1.買いエントリーにはゴールデンクロスとヒストグラム
MACDを使用して買いでエントリーする場合は、まずトレンドを確認し、大きなトレンドが上昇トレンドにあるか、下方向への乖離率が大きい事を確認します。
次に買いサインの確認として、MACDラインがシグナル線を下から超えるゴールデンクロスを確認します。リスクを取れる場合には、ゴールデンクロスの発生を見越せる時点でもエントリーは可能です。
また、ヒストグラムがマイナスからプラスへと変わっている事を確認できれば、買いのエントリーが可能であるとインジケーターが示している事になります。
実際に国内株式のチャートを見て、確認してみましょう。これはある銘柄の日足のチャートです。
青い枠内を見てください。この銘柄では、10月14日にMACDでゴールデンクロスが出現しました。ヒストグラムがマイナスからプラスへ変化するMACDの「買いサイン」がでています。
当日は短期の移動平均線である5日平均線をブレイクし、その4日後に1,000円程度の上昇をしています。その後も、基本的にMACDでデッドクロスは発生せず、保有していた場合は1,500円ほどの含み益がある状態です。
つまり、10月14日にMACD上の「買いサイン」が点灯し、その際に買いでエントリーをすることで、5%の利益が獲得できるチャンスがあったと言えます。
株取引の売買をする際は成り行き注文か、より短い時間足を利用したテクニカル分析によるエントリールールに沿って、エントリーしましょう。
3-2.売りエントリーにはデットクロスとヒストグラム
売りエントリーは買いエントリーの逆で考えますが、売りでエントリーする場合は、まず、トレンドを確認し大きなトレンドが下降トレンドにあるか、上方向への乖離率が大きい事を確認します。
次に、売りサインの確認として、MACDラインがシグナル線を上から超えるデットクロスを確認します。
リスク許容度が高い場合は、デットクロスが発生する事を見越せる時点でもエントリーが可能です。また、ヒストグラムがプラスからプラスへと変わっている事を確認できれば、売りのエントリーが可能であるとインジケーターが示している事になります。
上記はある銘柄の日足のチャートです。青枠をご覧ください。この銘柄では、9月17日にMACDでデットクロスが出現し、ヒストグラムがプラスからマイナスへ変化するMACDの「売りサイン」がでています。
当日は窓開けをした下落で、窓埋め達成などもありながらも、サイン発生後、12日後に約3000円、10%以上の大きな下落をしています。なお、FXにおける窓とは、ローソク足とローソク足の間に空間を指します。
このケースは、9月17日にMACD上の「売りサイン」が点灯し、その際に売りエントリーをすることで、10%以上の利益が獲得できるチャンスがあったと言えます。
なお売りエントリーの場合も、実際に売買をする際は成り行き注文か、より短い時間足を利用したテクニカル分析によるエントリールールに沿ってエントリーをしてみてください。
3-3.MACDを使用する際の注意点2つ
最後にMACDを使用する際の注意点を2つ解説します。
横ばいのレンジ相場には弱い
MACDが頼りになる局面はトレンドが発生している局面です。レンジ相場では、シグナルとMACDラインの差がつきづらくなります。
明確なトレンドが発生した後から使用すれば、インジケーターから導かれる予想とは逆方向に相場が動く現象を避けやすくなります。トレンドの終盤はレンジ相場になりやすいため、注意しましょう。
他のインジケーターと組み合わせて判断をする
MACDは万能ではありません。テクニカル分析は、複数のインジケーターを組み合わせて使用しましょう。
MACDと相性の良いインジケーターとして、ストキャスティクスやRSIなどがあります。これらのインジケーターと組み合わせることによってより精度の高いトレードが可能になるでしょう。
4.まとめ
本記事では、プロトレーダーの筆者がMACDを解説しました。興味を持った方は、利用の開始を検討してみてください。
中島 翔
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