2019年にソーシャルレンディングが信用を得るために必要なものとは?

2018年はソーシャルレンディング業界において数々の問題が表面化した1年でした。投資家の中にはソーシャルレンディングという投資手法そのものに疑問を持ち、他の投資手法への転換を検討する人も現れています。

そこで、ソーシャルレンディングという投資手法、及び、ソーシャルレンディング会社が再び投資家から信頼されるようになるにはどのような問題点の解消に力を入れる必要があるのか、考えていきたいと思います。

目次

  1. ソーシャルレンディング投資家への情報開示の解禁
    1-1.融資先事業者の情報開示
    1-2.担保の詳細の表示
    1-3.融資スキームの詳細の表示
  2. 返済遅延発生時の対応
    2-1.問題解明の迅速化
    2-2.定期的な投資家への連絡
    2-3.資金回収手段の早期決定
  3. 第二種金融商品取引業事業者の対応力
    3-1.第二種金融商品取引業の代行に関する問題
  4. まとめ

1 ソーシャルレンディング投資家への情報開示の解禁

ソーシャルレンディング関連で発生した問題の中でも最大の懸念は、匿名組合契約や貸金業法によって投資家への情報開示が制限されていることです。ソーシャルレンディングなどの投資手法を管理する金融庁でも問題視し、2018年6月にはソーシャルレンディング業者に対して情報開示の整備を要請しています。

ただし、実際に情報開示の方針が変わった、開示が解禁されたという事実はなく、今もソーシャルレンディング会社が限られた情報のみを開示し、案件を募集する形となっています。

1-1 融資先事業者の情報開示

まず、求められるのは、集めた資金を融資する事業者の開示です。この情報が解禁されることにより、融資先の会社と資金を集めたソーシャルレンディング会社との関係、言うならば、親会社と子会社といった資本関係のつながりが明らかになります。

例を挙げると、ラッキーバンクやみんなのクレジットでは、子会社が親会社の事実上の集金部門として機能していました。金融庁の行政処分でもその点を指摘されています。親会社に対して子会社から強く返済を迫ることができない、また、親会社が倒産すれば子会社に飛び火するリスクが存在するのです。

12月に発覚したトラストレンディングの行政処分では、融資スキームの中に『官公庁関連の事業者が絡む』との記載がありましたが、実は虚偽を含むものでした。官公庁関連の融資となると信頼があり、投資家の中から積極的に資金を投入する方も出てきます。

融資先事業者の規模や財務状況を投資家が確認できることで、投資案件の安全性が上がります。

1-2 担保の詳細の表示

次に重視したいのは担保内容の詳細な情報開示です。maneoが20億円規模で投資家から資金を集めていた不動産担保案件で、返済遅延が発生しています。その案件の担保として設定された不動産の価値が大変低く、資金回収のめどが立たない可能性が強いなどと一般雑誌やウェブメディアにも取り上げられています。

また、ラッキーバンクは、『都心の資産価値の高い不動産を担保に設定している』という触れ込みで募集を募ってきました。しかし、実際にサービサーに譲渡された際の担保価値は、当初募集した金額の3割程度にすぎず、投資家が大きな損失を被る事態に陥っています。

国土交通省が管轄する不動産投資型クラウドファンディングの領域では、担保物件の住所まで詳細に表示され、投資家は不動産売買契約書に記載された担保の換金性を推し量る形で、投資が可能になりました。ソーシャルレンディングの場合は管轄が金融庁という点が異なるものの、担保に関する同様の情報開示を求めたいところです。

1-3 融資スキームの詳細の表示

融資に関するスキームの情報開示も必要と言えます。11月に発覚したガイアファンディングの問題では、同社のホームページに記載されていた融資スキームが、実態とは異なるものだったことが明らかにされています。

実際のスキームは、ホームページに記載されていなかった会社が3社も介在し、資金の流れが正確に把握できない状態でした。資金回収の解決方法が複雑化したため、maneoマーケットも実際の資金の流れがどのようになっているのか、現在も調査に努めている状況です。

融資スキームが明らかにされること、虚偽の内容を提示した事業者に罰則を科すことで、スキームの妥当性や信用性が把握されやすくなります。

2 返済遅延発生時の対応

次に求められるのは、実際に返済遅延が発生した時に、ソーシャルレンディング会社がどのような資金の回収を行い、投資家に速やかな説明が行えるか否かです。

2-1 題解明の迅速化

まず、望まれるのは、なぜ貸し倒れが起きてしまったのか、どこで資金が滞ってしまったのか、いつ頃返済が行われるのか、などの基本的な問題解明の迅速化です。

SBIソーシャルレンディングでは、今年いくつかの案件で貸し倒れが発生しました。しかし、問題を迅速に把握し、投資家にも速やかに状況を報告しました。資金回収についても任意売却によるのか、競売によるのか、案件ごとに最適なプランを打ち出し、現在は融資資金の9割の回収に成功しています。

一方で、ラッキーバンクでは2月の行政処分以降、5月に返済遅延が発生しました。その後は12月まで資金回収が遅々として進まない状態になり、最終的には投資家が望まないサービサーへの債権譲渡という形で返済を行っています。

グリーンインフラレンディングでは7月に全案件の返済遅延が発生し、その後JCサービス経由で何度か発表がありました。しかし、依然としてmaneoマーケットとの連携が上手く取れず、投資金の返済などの具体的な道筋が立っていません。

想定される返済遅延や貸し倒れ時の問題解決能力が、SBIソーシャルレンディング以外は極端に低く、逆に、同社は投資家から一定の評価を受けています。他のソーシャルレンディング会社も貸し倒れを起こさないこと以上に、貸し倒れの際にどのように資金を回収するのか、もっと真剣に考えて取り組む必要があります。

2-2 定期的な投資家への連絡

ソーシャルレンディング会社の姿勢に関する問題として、問題解決の進捗に関する投資家へのずさんな対応が挙げられます。

SBIソーシャルレンディングでは、返済遅延が起きた時も一週間ほどで対応策を発表し、プラン通りに資金回収を進めています。

一方、みんなのクレジット、ラッキーバンク、グリーンインフラレンディング、ガイアファンディングといった会社は、投資家への返済どころか、具体的な問題の把握すらできていません。よって、投資家が最も望んでいる資金回収プランの説明など、現在に至っても投資家目線の対応が取られていない状況です。

また、グリーンインフラレンディングやガイアファンディングを監視するべき立場であったmaneoマーケットも、監視体制が不十分でした。金融庁は、同社が問題の規模や詳細の把握ができていない点を指摘し、指導を行っています。

事態の把握と投資家への定期的な報告も、今後、ソーシャルレンディング会社が信頼を回復するために必要な活動と言えます。

2-3 資金回収手段の早期決定

上記と重複しますが、資金回収手段の早期決定もソーシャルレンディング会社に求められる対応の一つです。

ラッキーバンクは半年間、任意売却で担保不動産の処分を行っていましたが、実際にはほとんど行われませんでした。最終的には、ほぼ全ての担保をサービサーへの譲渡で処分しています。グリーンインフラレンディングも発電所や事業の売却を行っており、親会社のJCサービスから資金回収の見込みが立ったとの報告を受けていますが、少なくとも年内に返済される見込みはありません。

ガイアファンディングにおいては、発生から1ヶ月が経過してもなお、資金の流れが具体的に把握できていない状況です。

3 第二種金融商品取引業事業者の対応力

もう一つ問題視されるのが、第二種金融商品取引業事業者の融資先への審査、妥当性の判断、監視です。

3-1 第二種金融商品取引業の代行に関する問題

この問題で特にクローズアップするべきは、maneoマーケットです。maneoマーケットは第二種金融商品取引業免許を取得していますので、自社で匿名組合を結成して投資家から資金を募集できます。

しかし、第二種金融商品取引業免許の取得には、とても時間がかかります。そこで、ソーシャルレンディングを運営して利益を上げたい会社は、maneoマーケットのシステムを利用しています。つまり、maneoマーケットは、投資案件の募集を他社から委託されている業者でもあるのです。

maneoマーケットは、自社システムの利用料をソーシャルレンディング各社から徴収し、利益を生み出しています。maneoマーケット名義で資金募集を行っているため、投資家からの資金募集の際に生じた問題は、maneoマーケットの責任になります。

それにもかかわらず、maneoマーケットは融資案件や事業者が適当なものなのか、募集スキームが事実に即した内容で表記されているのかなど、案件や事業者の監視がまだ十分にできていない状況です。7月に金融庁から行政勧告を受け、8月に勧告に対する改善策を発表したにもかかわらず、11月にはガイアファンディングで管理面の問題が生じています。

ソーシャルレンディング業界の先駆者とも言えるmaneoマーケットですが、現在は残念ながら第二種金融商品取引業免許事業者として適正な業務が行われているとは言えない状況です。2019年は監視体制の抜本的な見直しが強く求められていくでしょう。

まとめ

投資家の立場から、2019年のソーシャルレンディング各社に求めたいものとは何でしょうか。

それはやはり、投資家に対する虚偽表記を一切含まない、投資・融資に関する正確な情報の開示でしょう。どういった会社に資金を貸し出すのか、融資先の会社は正しく事業を行っているのか、返済能力がある会社なのか、担保は評価額通りに売却できる見込みがあるものなのか、投資家はそういった情報を切に求めているのです。

ソーシャルレンディングに投資していて、損失が発生すること自体は問題ではありません。それは、投資である以上、リターンにはリスクがつきものだからです。問題なのは、ソーシャルレンディングの「投資家に融資差先などの情報を開示しないで資金を集められる」というスキームを悪用する業者です。

投資家は、自分の資産を守るためにも、投資案件以上にソーシャルレンディング会社の信頼性を自分自身の目で見極めることが重要になります。2018年にソーシャルレンディングの中で起こったことをもう一度振り返り、2019年には安定した利回りを実現できるように情報収集や分析を進めていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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