ソーシャルレンディングでノンリコース案件に投資するときの注意点

ソーシャルレンディング投資をするためには、融資に際して設定された条件をよく知り、リスク対策を図る必要があります。ソーシャルレンディングに限らず、融資にあたってリコースローンおよびノンリコースローンと、融資の責任のうえで範囲の違いが設けられるケースが見られます。

そこでノンリコースローンが意味する条件とは、一体どのようなものなのか、実際のソーシャルレンディング案件を見ながら確認していきます。

目次

  1. ノンリコースローンとは
    1-1.返済の範囲が限定されたローンである
    1-2.融資が下りにくく、金利も高くなる傾向にある
    1-3.リコースローンとは
  2. ソーシャルレンディングにおけるノンリコースローン
    2-1.maneoマーケットの案件で確認
    2-2.クラウドバンクはリコースローンを採用
    2-3.第一順位に抵当権が設定されても、満額戻ってくるとは限らない
  3. まとめ

1.ノンリコースローンとは

ノンリコースローンは、日本語にすると「責任財産限定特約付貸付融資」と呼ばれます。ノンは英語で「否定」の接頭語です。リコースは遡及、すなわち「顧みること」を指します。この場合は「融資先に対して一定の範囲までしか保証を顧みない」という意味となるのです。

1-1.返済の範囲が限定されたローンである

個人・法人を問わず、一般的に金融機関から融資を受ける場合、貸付金の返済ができないときのための担保を設定します。返済に遅延が生じたり、返済不能状態に陥ったりした場合、金融機関は担保に設定した抵当権を発動し、担保を処分することで資金を回収します。

例えば1,000万円を個人に融資し、不動産を担保に設定していたとします。担保を売却して800万円しか返済できなくても、担保を処分したことで残り200万円は返済の義務がなくなるというわけではありません。

しかし、ノンリコースローンの場合は、設定した担保のみに責任が限定されます。担保を処分した後の残債を返済するために、融資を受けた債務者が他の財産を処分する必要がないローンなのです。

日本ではあまり使われる方式のローンではありませんが、海外ではノンリコースローンによる融資はよく行われています。2008年のリーマンショックの引き金になった、アメリカの住宅市場におけるサブプライムローンもその一つです。

アメリカの住宅ローンの大半はノンリコースローンにより融資が行われますが、ノンリコースローンの場合、担保力が求められます。サブプライムローンショック時には土地の価格が大幅に下がり、その結果、担保力が下がったことで多くの人が住宅ローンの一括返済を迫られることになりました。

しかし、返済できる人は少なく、それが住宅ローン市場の崩壊のきっかけになったのです。そのような問題が発生するほど、海外ではノンリコースローンはよく使われているのです。

1-2.融資が下りにくく、金利も高くなる傾向にある

借りる側にとって有利な条件を設定できることが、ノンリコースローンの特徴です。融資を受ける側にとっては、処分する財産が担保のみに限定されるため、たとえ融資を受けた事業で失敗して返済が満足にできなくなったとしても、担保以外の会社の不動産や現金、設備などを処分する必要がありません。損失を一定の範囲内に抑えることが可能です。

当然ながらそのような条件のローンは、金融機関の審査も非常に厳しくなってきます。日本ではそもそもリコースローンが一般的であり、ノンリコースローンで融資を行う金融機関はほとんどありません。ノンリコースローンで融資する場合、融資側もリスクを背負います。そのため、責任の範囲を限定する代わりに、金利を高くするなどの条件を設定するのです。

1-3.リコースローンとは

反対にノンリコースローンではないローン、リコースローンとはどういったものでしょうか。先の例で挙げた1,000万円の融資を引き合いに出せば、担保を処分しても800万円しか返せなかった場合、残債の200万円を返済するために他の財産を処分して返済する義務を負うことになります。

日本では住宅ローンの融資を受けた後に返済が滞ってしまった場合、自宅を売却したとしても残債を全て返せなければ、手持ちの現金で返済する、または、金融機関との相談のうえで返済の条件をゆるめ、残債を少しずつ返済するなどの措置をとらなければいけません。リコースローンのほうが、金融機関のリスクは低くなります。

2.ソーシャルレンディングにおけるノンリコースローン

ソーシャルレンディング業界でも、ノンリコースローンはいくつかの会社で導入されています。その内容を確認してみましょう。

2-1.maneoマーケットの案件で確認

こちらのmaneoマーケットの案件ですが、ページ下部に以下のような記載があります。

maneo社と事業者Cの融資契約は、「責任財産限定特約付融資契約(ノンリコースローン)」の取扱いとして対応します。

事業者Cの返済原資は、事業者Cを貸付人・不動産事業者FBを借入人とする本件貸付債権に限定され、事業者Cがmaneo社に返済できなくなった場合でも、事業者Cの保有する他の財産に対する強制執行はできません。

ノンリコースローンとして融資するとの旨が、はっきりと記載されています。事業者Cがmaneoマーケットに返済できなかった場合、事業者Cの保有する他の財産への強制執行はないとされています。

担保の記載は以下のようになっています。

融資は3,000万円(第1次~第2次募集)

事業者Cは不動産事業者FBに対する融資に際し、不動産事業者FBが所有する土地を担保として設定いたしますが、担保物件の評価(TAS評価)は約4,200万円となっております。

となっています。3,000万円の募集案件に対し、担保物件の評価は4,200万円となっているので70%程度のLTVに抑えられています。担保価値は十分にあるかもしれませんが、不動産は売却したとしても想定通りの値段で売れるとは限りません。

ノンリコースローンであるため、3,000万円の融資の返済が滞ったときは、不動産事業者FBの土地を売却する以外に資金を回収する手段がないのです。

2-2.クラウドバンクではリコースローンを採用

大手ソーシャルレンディング会社の一つ、日本クラウド証券が運営するクラウドバンクでは、2019年4月から一部の案件において融資先や担保の詳細な情報を掲載しています。閲覧は会員限定であるためここには掲載できませんが、クラウドバンクに電話で確認したところ、クラウドバンクではリコースローンとして融資を行っているとの回答でした。

時間があれば投資の前に、他のソーシャルレンディング会社にも確認しておくと良いでしょう。

2-3.第一順位に抵当権が設定されても、満額戻ってくるとは限らない

また、上記のmaneo案件では、以下のような記載もあります。

事業者Cは、担保物件である土地に対し、第1順位の根抵当権を設定いたしますが、maneo社では事業者Cへの融資に際し、上記根抵当権に質権を設定いたします。

担保に対して第一順位の根抵当権が設定されています。第一順位であれば担保を処分して得られた資金は優先的に回収されますが、ノンリコースローンの場合は4,200万円の土地が2,000万円でしか売れなかったとしても、それ以上の返済義務を負うことはありません。

現金や会社の資産などを別に処分して返済が行われることがないため、担保順位が第一順位だからといって安心できるわけではないのです。それだけに担保の所在地や建物の種類、築年数などが公開されている案件を選び、自分で担保の価値を確認する必要が出てくるでしょう。

まとめ

ソーシャルレンディングの貸付金利は低く見積もっても5~10%の水準が一般的ですが、案件によっては10%以上になることも考えられます。一般的な金融機関が法人に融資するときの金利よりも、はるかに高い金利となっています。

ノンリコースローンによって、借入側は返済の義務を一定の範囲内に限定できるものの、ソーシャルレンディングにおいては相応に高い金利での契約を行っていることが考えられます。案件や会社によってリコースローン・ノンリコースローンかは異なりますが、それぞれによってリスクを測るポイントも変わってきます。

ソーシャルレンディング案件のリスクを確認するときは、

  • 融資がノンリコースローンであるのかどうか
  • 担保の評価額はいくらなのか
  • 誰が担保の評価付けを行ったのか
  • 抵当権の順位

など、詳細な情報を詳しく確認した上で投資判断をしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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