ソーシャルレンディングで投資する案件を選ぶときは、可能なかぎり返済の遅延や貸倒れが発生しにくい案件を選びたいものです。
ソーシャルレンディング会社が公開している情報をもとに、できるだけ安全な案件を選ぶために見るべき5つのポイントをお伝えします。
目次
- 公開されている情報をチェック
1-1.融資先の名前
1-2.融資先とソーシャルレンディング会社の関係性
1-3.融資先の財務情報 - 保証の内容
2-1.不動産担保の価値や所在地
2-2.担保がない場合はどのような保証がついているのか
2-3.無担保、無保証の場合は融資先の信用性 - 貸付時の設定金利
- 案件の運用期間
- 事業の種類
5-1.不動産関係の案件では不動産の価値をチェック
5-2.太陽光関連の案件は計画の内容を確認 - まとめ
1.公開されている情報をチェック
まず重要なのは案件に関する情報をチェックすることです。金融庁の方針の転換に伴って今年の春から融資先の匿名化の解除が行われるようになりました。同庁による指導の結果、ソーシャルレンディング案件でも公開される情報量が増えています。チェックするポイントは具体的には以下の3点です。
1-1.融資先の名前
まず融資先の企業名です。その案件では、どのような会社に融資しているのでしょうか。企業名がわからなければ、情報そのものの信用が難しくなります。できるだけ安全な投資先を選びたいのであれば、融資先の名前が公開されている案件を選ぶようにしましょう。
最近ではFundsなどでの案件で情報の公開が進んでいます。
1-2.融資先とソーシャルレンディング会社の関係性
融資先の企業名が公開されている案件を選んだら、次は融資先の企業とソーシャルレンディング会社の関係性のチェックです。過去に貸倒れが起きたソーシャルレンディング案件では、融資先の企業がソーシャルレンディング会社の親会社だった、などの資本上の関係がありました。
ソーシャルレンディング会社と融資先の会社に資本上の関係がある場合、ソーシャルレンディング会社が親会社に対して返済を求めにくくなります。ソーシャルレンディングの子会社が職務を全うできず、利益に相反する行為を繰り返せば、高い確率で返済に遅延のおそれが生じます。
まずは融資先の会社名をチェックし、ソーシャルレンディング会社と資本・人員ともに関係がない会社なのか、確認しましょう。もしくは、ソーシャルレンディング会社に直接問合わせてみるのも良いでしょう。
1-3.融資先の財務情報
もう1つチェックしたいのが融資先の企業の財務状況です。例えばクラウドバンクでは、融資先の名前が公開されている案件では同時に財務に関する情報も公開されています。返済できる見込みがある、倒産リスクがないなど、財務状況を見ながら判断しましょう。
2.保証の内容
万が一にも貸倒れが起きたとき、どのような保証が受けられるのでしょうか。保証や担保がない場合、貸していたお金がほとんど戻ってこない可能性もあるのです。
2-1.不動産担保の価値や所在地
ソーシャルレンディング案件では不動産を担保に設定しているものが多く見られます。オーナーズブックやレンデックスは不動産担保付きの案件を専門に扱っていて、ほぼ全ての案件に不動産が担保として設定されています。
残念ながら担保の住所などが詳細に記載されている案件はそれほど多くありません。それでも、担保の不動産がある市町村や最寄り駅の情報、面積などから大まかに価値を推し量りましょう。
不動産投資クラウドファンディングでは、担保などの運用される不動産の情報が詳細に公開されています。公開された情報から資産の価値や収益性が判断できるため、比較的安全に投資できます。
2-2.担保がない場合はどのような保証がついているのか
不動産を担保に設定していない案件は保証の有無をチェックしましょう。担保以外の保証と言えば代表者連帯保証や保証会社、債権などを設定していることが多くなります。保証として債権が設定されていれば、債務を持つ会社から債権を回収して換金することが可能です。
代表者連帯保証が設定されている案件もありますが、融資金額があまりにも大きくなる場合、代表者だけでは補償しきれないこともあります。過信はやめましょう。その他にも動産担保などが設定されていることがありますが、不動産に比べれば価値が変動しやすい傾向にあるため注意が必要です。
2-3.無担保、無保証の場合は融資先の信用性
2019年1月からソーシャルレンディングサイトを運用しているFundsは、基本的に無担保・無保証の案件を扱っています。代わりとして2019年7月以降は、ほぼ融資先の会社名が公開されています。
Fundsは上場企業、もしくは、革新的なビジネスに取組むベンチャー企業などに融資先を限定しています。それだけに融資先の企業名が保証になると考えられます。「無担保・無保証だが、上場企業だから貸倒れは起きにくいだろう」という固定観念を信用するかどうかは投資家個人の判断に委ねられます。
3.貸付時の設定金利
次にチェックしたいのは貸付時に設定された金利です。利息が高いかどうかの判断は、投資家に支払われる金利ではなく、実際にソーシャルレンディング会社が融資を行う際に設定した金利にもとづいて行います。
投資家に予定された利回りが5%だとしても、貸付金利が15%の案件は返済のリスクが非常に高いと言えます。逆に投資家への予定利回りが8%でも、貸付金利が10%であれば、返済のリスクはそれほど上がりません。
貸付金利を公開しているソーシャルレンディング会社にはレンデックスなどがあります。実際にどの程度の金利で貸付けているのか、チェックしていきましょう。
4.案件の運用期間
安全性を判断するうえで重要な情報源のひとつは案件の運用期間です。長期の運用案件になるとどうしても融資先の返済リスクや倒産リスク、ソーシャルレンディング会社の倒産リスクなどを無視できません。基本的には案件の運用が長期になればなるほど、そのようなリスクが発生する可能性は高まります。
ソーシャルレンディング会社では1カ月や3カ月といった極めて短期の案件を運用することもあります。運用期間によるリスクを避けたいのであれば、短期の案件を中心に投資していくと良いでしょう。
また、長期の運用案件に投資していると、市況の変化に伴うリスクを想定しなくてはいけません。2年や3年といった長期の案件の運用中に、リーマンショックのような経済危機が生じる可能性があります。
もちろん長期の運用案件だから危険、短期の運用案件だから大丈夫というわけではありません。短期の運用案件でも倒産のリスクや市況の変化に伴うリスクに巻き込まれる可能性はあります。ただ、可能性だけで見れば長期の運用案件のほうがリスクは上がります。
5.事業の種類
案件の事業の種類も投資の安全性をチェックするときの重要な要素です。
5-1.不動産関係の案件では不動産の価値をチェック
不動産関係のソーシャルレンディング案件では、運用される不動産の価値もチェックしておきましょう。案件には運用される不動産そのものが担保になっているもの、もしくは、融資先の事業者が保有する別の不動産が担保になっているものもあります。
不動産の担保価値が融資額よりも高ければ、もし貸し倒れが起きたとしても投資家は事なきを得る可能性は高くなります。どこの、どのような不動産を運用する案件なのか、確認しておく必要があるでしょう。
5-2.太陽光関連の案件は計画の内容を確認
ソーシャルレンディング案件には太陽光発電投資に関係する案件も多く存在しています。しかし、国が行っている電力の固定価格買取制度(FIT)は近日中に終了する見込みになっています。
太陽光発電装置の開発事業への投資は、今後はよく吟味する必要があります。従来ほど高額な電力の買取りは行われないため、収益性は今より低くなります。狙った値段で売却できなければ、損失が発生する可能性もあります。
一方で、過去に契約済みの太陽光発電装置を購入し、運用して収益を出そうという案件もあります。そのような案件では売電価格が高いものもあります。太陽光発電に関してはFITの契約内容をチェックすることです。収益性を判断する決め手になります。
まとめ
今回は5つのポイントを通じて案件の確実性、また、ソーシャルレンディング会社や融資先の企業の安全性を見定めることについて言及しました。
ソーシャルレンディング投資で安全に利益を上げたいのであれば、公開されている情報が多い案件を選びましょう。そして、情報をじっくりと吟味して投資先を選ぶようにしてください。
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