日本国内のソーシャルレンディング会社は、年間に数社ずつですが徐々に増えつつあります。そして、日本国内だけではなく、海外の事業に投資できるソーシャルレンディング会社も増加しています。
そこで、国内で営業しているソーシャルレンディング会社の中で、海外の案件に投資できるサイトがどの程度あるのか、まとめました。
目次
- 海外のソーシャルレンディング案件の魅力
1-1.利回りが高いものもある
1-2.分散して投資できる
1-3.為替の変動による利益が望める - 海外の案件を取り扱うソーシャルレンディングサイト
2-1.クラウドクレジット
2-2.クラウドバンク
2-3.ネクストシフトファンド
2-4.オーナーズブック
2-5.クラウドリアルティ
2-6.コモサス - 海外のソーシャルレンディング案件に投資するときの注意点
3-1.カントリーリスク
3-2.為替変動リスク - まとめ
1.海外のソーシャルレンディング案件の魅力
まずは、海外の案件に投資する必要性と海外案件ならではの魅力をチェックしておきましょう。
1-1.利回りが高いものもある
海外の案件の場合、日本国の法律の制限を受けない部分も存在します。例えば貸金業法の規定では、国内で他社に融資を行うときの利回りの上限は、最大で15%までと定められています。しかし、海外の案件に融資を行う会社は、各国が定めた法律の制限を受けるため、国内とは融資の条件や利回りが違うこともあります。
そのため、海外案件においては年間の予定利回りが8%~10%など、国内案件ではなかなか見当たらない非常に高い利回りのものが見つかるのです。ソーシャルレンディング投資で収益性を追求したい人にとって、海外の案件ならではの利回りの高さは魅力的に映るでしょう。
1-2.分散して投資できる
国内の案件に絞って投資していると、日本の景気が悪化したときに大きな損害を被る可能性があります。しかし、複数の海外の案件に投資しておけば、国内の景気の影響を大きく受けず収入が安定しやすくなります。海外の案件に分散して投資することで、リスクの分散を図ることができるのです。
1-3.為替の変動による利益が望める
海外の案件には円建てではなく、当事国の通貨で運用されているものがあります。例えば、アメリカの事業者向けの案件にはドル建てのものがあります。
仮に1ドル100円のときに1万ドルを投資したとします。運用の終了時に1ドルが110円になっていたら、日本円に両替すれば110万円になります。つまり、事業の運用益だけではなく、為替変動による利益も発生するのです。インカムゲインとキャピタルゲインという2種類の利益の獲得こそ、海外の案件の魅力の一つです。
2.海外の案件を取り扱うソーシャルレンディングサイト
それでは、実際に海外の案件を取り扱っているソーシャルレンディングサイトを見ていきましょう。
2-1.クラウドクレジット
海外の案件を専門的に扱うソーシャルレンディング会社の代表格といえば、クラウドクレジットです。2012年からソーシャルレンディングサイトの運営を続けているクラウドクレジットは、国内のソーシャルレンディング会社の中でも老舗の1社です。現在の取り扱い実績は累計で270億円を突破し(2020年2月時点)、テレビ番組でも紹介されるなど、高い知名度を誇っています。
クラウドクレジットで取り扱う海外の案件は、欧州や米国などの先進国だけではなく、東南アジア各国や南米を含めた発展途上国などの20カ国以上にわたります。事業内容も個人向けやマイクロファイナンス機関への融資案件、法人向け案件など、多様です。
このような多様な案件に分散して投資することによって、安定した収益を目指すことができます。海外の案件に投資したいのであれば、まずはクラウドクレジットの案件をチェックしてみてはいかがでしょうか。
2-2.クラウドバンク
国内の累計募集額で国内第3位の実績を誇る日本クラウド証券。同社が運営するソーシャルレンディングサイトがクラウドバンクです。クラウドバンクの案件は、国内の不動産関係と太陽光発電関係が中心です。
最近では、海外の案件の取り扱いも始めており、例えばその中に米国の不動産を購入するためのファンドがあります。好景気に沸くアメリカに投資できるため、クラウドバンクの海外の案件も人気があります。
2-3.ネクストシフトファンド
鳥取発のソーシャルレンディング会社、ネクストシフトファンドも海外の案件を扱っています。累計募集額は1億円程度ですが、経営者の伊藤慎佐仁氏は数々の金融関係の会社で経営者を務めるなど、今後の手腕に期待できる人物です。
ネクストシフトファンドでは、社会的インパクトの創出が大きい案件に投資することができ、カンボジアやジョージアなどの途上国の事業者に対する融資の案件を扱っています。利回りも7%と高く、収益性と社会性の両立が目指せるサービスです。
2-4.オーナーズブック
東証プライム上場企業100%子会社のロードスターインベストメンツ株式会社が運営するソーシャルレンディングサイトがオーナーズブックです。オーナーズブックは不動産の案件を専門とし、担保として全ての案件に不動産を設定しています。
クラウドバンクと同様にオーナーズブックも、2019年から海外の案件を取り扱うようになりました。こちらも米国の不動産の案件が中心であるため、国内だけでなく、海外の不動産の案件に分散して投資できます。利回りなどの条件は、国内の案件と大差ありません。
2-5.クラウドリアルティ
様々な事業資金を募集するクラウドリアルティ。国内の事業開発向けの案件が中心ですが、過去にはエストニアの不動産担保ローンを募集した実績があります。(2019年は海外の不動産関係の募集は行われませんでした)
2-6.コモサス
2019年9月から運営がスタートしたコモサスは、株式会社コモサスが運営するソーシャルレンディングサイトです。ほとんどのファンドで1万円から投資可能で、予定利回り3.0%〜7.0%(2019年9月〜2021年8月の取扱実績、年率・税引前)となっています。
過去にはカンボジア農家支援ファンドやエチオピア環境リサイクルファンドが募集されたことがありました。
3.海外案件に投資するときの注意点
海外向けのソーシャルレンディングの案件は、その国ならではの事情が発生するため、国内よりもリスクが高い場合もあります。ここでは、投資する前に知っておくべき注意点を挙げておきます。
3-1.カントリーリスク
それぞれの国ならではのカントリーリスクは、知っておきたいものです。例えば、アメリカではハリケーンのような強烈な自然災害の発生で、不動産が被害を受けることがあります。その場合、家賃収入などが発生しなくなるおそれがあります。
途上国では融資の対象だった人物が失踪してしまったり、虚偽の担保が設定されたりするケースが見られます。また途上国の通貨は信用性に欠けるため、相場が大きく変動する可能性があります。利回りは高いのですが、安定性に問題があることも知っておきましょう。通貨に関しては、世界で信任されている通貨建ての案件を選ぶほうがリスクを避けられます。
3-2.為替変動リスク
先に為替変動に伴う利益の発生をメリットとして挙げましたが、逆に、為替変動に伴って損失が発生する可能性もあります。
1ドル100円のときに米ドル建て案件に投資し、案件の終了後に円高になって1ドル90円になった場合、1万ドルを日本円に換金しても90万円にしかなりません。従って、元本が1割分減少します。
元本を毀損するリスクを避けたい場合は、為替ヘッジを設定する案件を選ぶようにしましょう。為替ヘッジとは「通貨間の両替を予約すること」を意味しており、1年後に現在と同じ為替で両替できる権利をあらかじめ設定しておくものです。ただし、為替ヘッジには手数料が発生するため、収益性は低くなってしまいます。
現在の日本円と投資先の通貨の相場を見て、円高に振れそうな地合いの場合は、無理に海外の通貨建ての案件に投資するのは避けたほうが無難です。
まとめ
海外案件を取り扱うソーシャルレンディング会社は、クラウドクレジット以外にクラウドバンクやオーナーズブックといった大手にも広まりつつあります。また、途上国への支援を目的とした公共性が高い案件も増えるなど、ソーシャルレンディングを通じて社会貢献ができる案件もあります。
ただし、通貨リスクやカントリーリスクなど、国内の案件とは異なるリスクが存在します。リスクをしっかり把握してから投資先を選ぶようにしましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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