ソーシャルレンディングでは、一度投資を行ったら後はほぼ作業が発生しないため不労所得を得ることができます。そのため、不労所得の金額を増やしたい方は、ソーシャルレンディングにできるだけ資金をつぎ込んでもよいと考えるかもしれません。
しかしリスク対策の意味で、ソーシャルレンディングにはある程度の投資戦略が必要です。そこでこの記事では、例として手元に100万円ある場合、どういったポイントを押さえながらソーシャルレンディング投資の戦略を立てればよいのか、お伝えします。
目次
- なぜ投資戦略が必要なのか
1-1.ソーシャルレンディング会社発のリスクを避けるため
1-2.融資先に伴うリスクを避けるため
1-3.運用期間に伴うリスクを避けるため - 100万円をソーシャルレンディング投資に回すときの考え方
2-1.最低でも3社程度を利用する
2-2.投資する事業の分野を分ける
2-3.融資先の企業について確認する
2-4.一度に資金を投入しない
2-5.条件の良くない案件が多い場合、あえて投資しないという決断も - 運用シミュレーション
- まとめ
1.なぜ投資戦略が必要なのか
まず、なぜソーシャルレンディング投資には戦略が必要なのでしょうか。それには3つの理由があります。
1-1.ソーシャルレンディング会社発のリスクを避けるため
一社にソーシャルレンディング投資用の資金をすべて投入してしまうと、そのソーシャルレンディング会社が倒産したときのリスクの度合いが高くなります。会社が倒産してしまうと、デポジットとして預け入れた資金が返却される可能性が低くなりますし、運用中の案件に関しては返済の見通しが立たなくなります。それらは破産管財人次第ということも言えます。
案件の運用も、ソーシャルレンディング会社が無くなってしまえば、予定通りにスケジュールが進行しないこともあります。実際にいくつかのソーシャルレンディング会社では、運用中のほぼ全ての案件で返済遅延が発生し、返済期限を過ぎても投資家に返還されない状況が続いています。現在でも無事に案件を運用しているソーシャルレンディング会社でも、そのような事態が起こらないとは限りません。
1社に100万円を投入すると、問題が発生したときに100万円すべてが拘束されるおそれがあります。しかし、3社間で均等に分散しておけば、その中の1社で大きな問題が生じても、拘束される資金は1/3で済みます。
1-2.融資先に伴うリスクを避けるため
ソーシャルレンディング会社だけではなく、ソーシャルレンディング会社を通じた投資先、つまり融資先の会社の分散を図ることも重要です。一社の案件に集中して投資した場合、その会社が倒産したときに元本が満額の状態で戻らないことがあります。担保を処分しても返済に必要な資金を十分に確保できず、巨額の損失が発生した事例もあるのです。
また、一社に絞って投資すると、属する業界のリスクに巻込まれる可能性があります。例えば担保付きであるからといって、特定の不動産会社の案件に限って融資してしまうと、不動産業界の市況が悪化したときに影響を直に受けることになります。
投資先の会社および投資する業界については、投資を分散させるように心がけましょう。
1-3.運用期間に伴うリスクを避けるため
一度にまとまったお金を投資してしまうと、そのお金がすべて運用期間に伴うリスクを負うことになります。
ソーシャルレンディングの大きなデメリットの一つに、投資中はその資金を1円も引き出せないことが挙げられます。あなたのお金であるにもかかわらず自由に引き出すことはできず、ソーシャルレンディング案件の運用が終わるまでは元本が戻りません。
例えば、大病をわずらってまとまった金額の治療費が必要になったものの、ソーシャルレンディングの投資金が引き出せないために治療が受けられない。そのような事態はできる限り避けたいものです。
2年以上の長期の運用案件になると、原則その期間中は収入を受け取り続けることができるため、そのぶん収入が安定するメリットがあります。しかし、投資期間中に市況の変化によって会社が倒産する、または業界の景気が悪化するおそれもあります。
投資案件を選ぶにあたって、必ずしも長期の案件がすべて悪いというわけではありません。長期と短期の案件を上手に組み合わせ、ある程度の期間が経過したら資金の一部が戻ってくるようなポートフォリオを常に組むようにしましょう。
2.100万円をソーシャルレンディング投資に回すときの考え方
では実際にまとまったお金をソーシャルレンディング投資に回すとき、どのようなポイントを押さえておくべきでしょうか。その中で特に重要な考え方をお伝えします。
2-1.最低でも3社程度を利用する
投資するソーシャルレンディング会社は、最低でも3社程度に分散しましょう。ソーシャルレンディング会社はどこも口座開設費や口座維持費が無料です。複数の会社に口座を開設しても、ランニングコストはかかりません。積極的に口座を開設しましょう。そして、いろいろな会社の案件をチェックして分散投資を行いましょう。
2-2.投資する事業の分野を分ける
投資する事業の分野も分けましょう。不動産開発分野・太陽光関連の発電分野・事業資金を必要としている会社へ融資する分野・海外への投資など、ソーシャルレンディング案件の投資対象も最近では多様化しています。
一つの業界に限定するのではなく、様々な事業の分野に投資することがリスクの分散につながります。
2-3.融資先の企業について確認する
ソーシャルレンディングでは、2019年3月から融資先の匿名化が解除されました。そのため、ソーシャルレンディング会社によっては融資先の名称を確認することができるようになっています。融資先の企業名を確認したうえで、1社への資金の集中を避けたポートフォリオにすることを推奨します。
2-4.一度に資金を投入しない
また、一度に大量の資金を投入しないことも重要です。今後のソーシャルレンディング業界においてどのような形で市況に変化が生じるのか、現時点ではまだ分かりません。状況を見ながら少しずつ資金を投入していくことで投資のタイミングをずらし、市況の変化に伴うリスクを軽減するのが重要です。
2-5.条件の良くない案件が多い場合、あえて投資しないという決断も
投資に回せる100万円を持っているからといって、必ずしもその資金の全てを投資する必要はありません。「今月は良い案件が見当たらないな」と思ったときは、あえて投資を見送るのも選択肢の一つです。
投資初心者は、投資から退場しないことをまずは心がけましょう。そのためには、投資金の致命的な損失を避けなければいけません。ここぞというときに良いソーシャルレンディング案件がある場合には、給料の2カ月分など、ある程度まとまった資金を投入しても良いでしょう。反対に条件の良いものがなければ、見送る勇気も時には必要なのです。
3.運用シミュレーション
毎月10万円を10回に分け、一年間に100万円を投資したときのシミュレーションを考えてみました。投資する案件の種類・運用期間・利回りのそれぞれを適度に分散しています。
※表内の数字は利益分配による収入額を表す(単位:円)
投資を始めて1年目、10万円ずつを毎月投資した結果、資金の100万円を原資に38,411円の利益を得ることができました。単純な表面利回りは約3.8%です。実際にはここから税金が引かれるので、もう少し利回りは低くなります。
あまり利回りが高くないと感じる方もいるかもしれませんが、上記に示したシミュレーションでは毎月10万円投入しているものの、常に100万円を運用しているというわけではありません。10万円×12ヶ月=120回の運用機会がある中、シミュレーションでは55.8%しか運用していないのです。
実際に10案件に投資している12月では、単月で5,000円ほどの収入を得ています。2年目に入って稼働率を高めれば、収入はもっと増やすことができます。仮に上記シミュレーションにおいて108/120の割合で稼働率を90%とした場合、収入は61,732円、表面利回りは6.17%になります。
これぐらいの収入を目標に、100万円を運用してみてはいかがでしょうか。ただし、先に述べた通り、資金が返ってこなくなる可能性もあるため、分散投資でリスク軽減を図ることが安定した利益確保のためには欠かせません。
4.まとめ
ソーシャルレンディング投資を安全に行うには、一つの会社・案件・業界に資金を投入するのではなく、様々な形で分散して投資していくべきです。そうすればたとえ元本が喪失したとしても、ダメージは限定的になります。
大きなダメージを防ぐことができれば、ソーシャルレンディング投資を継続することができます。投資を継続できれば、10年後・20年後には大きな資産を築くことにもなるかもしれません。
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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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