ソーシャルレンディングの3つの失敗事例から考える失敗しないための教訓とは?

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2018年は複数のソーシャルレンディングサービスで行政処分などの問題が起こり、投資元本の返済遅延が発生しました。投資家の読者の中にも運用中の資金が返済されず、分配金も支払われていないという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、そういったソーシャルレンディング投資の失敗を避けるため、失敗事例を参考にしながら、投資家としては何を心がければいいのかをお伝えします。

目次

  1. ソーシャルレンディング投資家に多い3つの失敗事例
    1-1.1社への集中投資で、殆どの投資用資金が返済されないままになる
    1-2.利回りの高い会社に投資したが、返済遅延が起きている
    1-3.運用期間の長い案件ばかりに投資したので、資金をずっと拘束されている
  2. 3つの失敗を防ぐには
    2-1.必ず分散投資を心がける
    2-2.利回りの高さはリスクの高さだと考える
    2-3.運用期間が長い案件ばかりに投資しない
  3. まとめ

1.ソーシャルレンディング投資家に多い3つの失敗事例

2018年はラッキーバンクの行政処分から始まり、グリーンインフラレンディング、ガイアファンディング、キャッシュフローファイナンスなど、多数の会社で大規模な返済遅延が発生しました。

多数の募集案件の中では、案件ごとのリスクはある程度発生し得るものとして投資家も覚悟しておかなければいけませんが、ソーシャルレンディング会社が運用中の案件が、一斉に返済遅延になるようなリスクは避けたいものです。

そこで、まず2018年にどのような問題が起きたのか、そしてその結果、どのような状況に陥る投資家が現れているのかを確認しましょう。※なお、この記事の情報はすべて2019年2月7日時点のものです。

1-1.1社への集中投資で、殆どの投資用資金が返済されないままになる

ラッキーバンク、グリーンインフラレンディング、ガイアファンディングでは、運用中の案件がほぼ一斉に返済遅延を起こしました。投資家に支払われる予定であった分配金は停止され、ラッキーバンクは元本の3割で担保を処分。あとの2社は元本が返済されない状態に陥っています。

2019年に入ってからは、クラウドリースでも運用中案件の半数以上が返済遅延に陥るなど、ソーシャルレンディング会社自体の事業者リスクに巻きこまれる投資家が増えています。

それどころか、1社に集中投資をしていたことで、運用中のソーシャルレンディング資金のほとんどを引き出せない場合もあります。投資用の余剰資金を1社に集中投資していたばかりに、運用資金がどの程度戻ってくるのかがわからない状況に陥った投資家も現れています。

1-2.利回りの高い会社に投資したが、返済遅延が起きている

2018年に大規模な返済遅延を発生させた会社を見ると、大半が好利回りを謳っていた会社です。

ラッキーバンクは7%から10%と、ソーシャルレンディング業界の水準よりも高い利回りを提供していました。さらに、担保に都心の不動産を設定するなど、投資の安全性をアピールしていたのです。そのため、投資家からの人気も高く、募集開始からわずか10分で募集金額上限まで行くことも多くありました。

グリーンインフラレンディングは平均10%、高いものでは13%と、ソーシャルレンディング業界の中でも、かなり高い利回りを投資家に対して提供していました。しかし、2018年7月に運用中の案件が一斉に返済停止状態に陥り、その運用資金は投資家に対して全く返済されていません。maneoマーケットでの募集も停止中です。

グリーンインフラレンディングでは、太陽光発電やバイオマス発電事業への投資を謳っていましたが、国の買取も期待できる確実性の高い発電事業への投資ということで、130億円もの金額を運用中でした。しかし、返済停止に陥ってからは発電事業などの売却が進まず、半年以上経過しても投資家への返済が進んでいない状態です。

ガイアファンディングは、アメリカの不動産投資案件を専門に取り扱うソーシャルレンディング会社です。こちらも平均10%前後と、業界水準よりも高い利回りを投資家に提供していたのです。しかし、2018年11月頃から返済が滞るようになり、その後は投資家に対して現況報告を定期的に行っているものの、返済自体は全く進んでいません。

利回りの高さはリスクの高さに等しいと断言できるわけではありませんが、大規模な返済遅延を発生させている会社の共通点は、10%前後という高い利回りを投資家に提供していたことでした。

因果関係を考えると、高い利回りを提供する会社は、それ以上の高利で事業者に貸付を行っているということなので、融資を受ける事業者側にとっても負担が大きく、返済リスクが高いのです。それゆえに、事業者側からの返済が滞り、返済遅延に繋がる可能性が高いという状況にあったのです。

1-3.運用期間の長い案件ばかりに投資したので、資金をずっと拘束されている

長期運用案件に投資している場合、列挙した事業者リスク、案件リスクに巻き込まれる可能性が高くなります。融資先の事業が成功すれば、融資したお金はきっちり返済されます。また、担保の不動産が高値で売却できれば、貸し倒れが起きても投資家にはその売却資金から元本の返済が行われます。

しかし、事業の成否や不動産の売却価格は、景気の影響を強く受けます。景気の低迷は事業の失敗を招く原因になり、担保の不動産が高値で売れにくくなります。景気の変動を見ながら投資先を柔軟に変化させるには、長期運用案件に投資するよりも、短期運用案件を中心に投資した方が良いと言えます。

投資家も長期間安定した収益が得られるだろうと、長期の運用案件にばかり資金を集中させていると、景気や市況の変動リスクに巻き込まれる可能性が高くなるのです。

2.3つの失敗事例を防ぐには

これら3つの失敗事例を防ぐため、投資家はどのようなリスク対策を心がければ良いのでしょうか。

2-1.必ず分散投資を心がける

まずは分散投資が必須になってきます。一つのソーシャルレンディングサービスに100万円を投資して、その会社でほぼ全ての案件の返済遅延が起きてしまうと、最悪の場合、100万円全てを失う可能性も出てきます。

ラッキーバンクの場合、大規模な返済遅延が発生し、その後遅延した案件は債務不履行を起こしました。その際、実際に担保を売却して投資家に返済できたお金は全体の32%のみでした。全損ではないにせよ、長期間利益が出ない状態で投資金が拘束されれば、それだけ投資機会の損失が生まれます。

また、本来は投資用の資金があるにもかかわらず、ローンの返済ができなくなり自宅を失うことだってあるかもしれません。1社に集中投資するのではなく、複数のソーシャルレンディング会社に投資することでリスク分散を図りましょう。そして、投資金が全て返済遅延状態に陥る事態だけは避けましょう。

2-2.利回りの高さはリスクの高さだと考える

利回りの高さは、返済遅延リスクにつながります。借りる側としても返済金利が高ければ、それだけ返済のハードルが高くなります。融資を受けたものの事業で思ったように利益が出ず、当初決められた金利を返済できなければ、担保などを処分して返済するしかありません。無担保の高金利案件の場合、投資家への返済もおぼつかなくなる可能性が高くなります。

一方、ソーシャルレンディングでは担保価値が不明なことが多く、担保リスクも投資家が考えるべきリスクの一つになっています。安全策を採るのであれば、比較的利回りの低い案件を選びましょう。また営業者利回りや、最終的な貸付利率を公表しているソーシャルレンディング会社を選びましょう。

2-3.運用期間が長い案件ばかりに投資しない

運用期間が長いソーシャルレンディング案件は再投資の手間もかからず、運用期間のタイムロスも発生しません。運用期間が2年の投資案件でしたら、2年間は分配金を毎月受け取ることができます。しかし、長期運用案件は様々なリスクに巻き込まれる可能性が高いことは、先にお伝えしたとおりです。

ソーシャルレンディング投資は、まだ日本では歴史が浅い状況にあります。それだけにソーシャルレンディングのリスクや全体像はまだ全容が明らかになっているとは言いがたく、これから先も法改正や制度改革が行われる可能性があります。

様々なリスクを回避していくため、短期案件を中心にソーシャルレンディング投資を行い、また状況に応じてソーシャルレンディングだけではなく、他の投資手法も検討しましょう。

まとめ

2019年は、ソーシャルレンディング業界にとって大きな一年になるかもしれません。これまで融資先が開示されていなかったリスクが問題視され、情報開示の要請が投資家から増えています。それに応える形で、金融庁が具体的な法改正を行う可能性もあるのです。

投資家としては自分で情報を収集しながら、より慎重に案件やソーシャルレンディング会社を見極めていく眼が必要になるでしょう。資金が手元にあるからと一気に投資するのではなく、投資先の会社、事業、タイミングなどを計りながら資金を分散させ、リスク回避を心がけましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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