不動産投資型クラウドファンディング案件の中には、保育園を運営するための資金を募集する案件も見られます。
しかし、保育園はマンションやオフィスとは性質が異なるため、どのようなポイントに気を付けて投資を検討したら良いのか判断が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、投資先として適切なのかどうかを判断するため、その特徴やリスクを確認していきます。保育園のクラウドファンディング案件に興味がありつつも、投資に迷われていた方はご参考下さい。
目次
- 不動産投資型クラウドファンディングの保育園案件とは
1-1.保育園の開設に必要な資金を集める
1-2.利益は保育園の運用益から配当される - 不動産投資型クラウドファンディング、保育園案件のメリット
2-1.認可保育所であれば補助金が支給される
2-2.自治体によっては待機児童が多く、需要は多い - 不動産投資型クラウドファンディング、保育園案件のリスク
3-1.事故による児童の減少や職員退職のリスク
3-2.運営元のリスク - まとめ
1.不動産投資型クラウドファンディングの保育園案件とは
まず、不動産投資型クラウドファンディングにおける保育園案件はどういった性質を持つ案件であるのか見ていきましょう。
1-1.保育園の開設に必要な資金を集める
不動産投資型クラウドファンディングの保育園案件とは、主に保育園施設の開園のための資金を募集する案件を指します。全体的な案件数が少ないものの、CREAL(クリアル)などの不動産投資型クラウドファンディングサイトで募集されることがあります。
また、保育園を開設するにあたっては、児童福祉法により一定の敷地や面積、設備を持つことが定められています。
乳幼児専用の小規模の保育園も設立されていますが、基本的に保育園では子供を遊ばせることができる園庭がなければ、園の設立が認められません。(*厚生労働省「幼稚園と保育所の基準の比較」を参照)
そのため、一定の敷地面積が必要となりますが、都心で十分な敷地を確保するためには大きな資金が必要となります。そこで、不動産投資型クラウドファンディングを通じ、保育園用の敷地と建物の建築費用を募集している背景があります。
1-2.利益は保育園の運用益から配当される
保育園の不動産投資型クラウドファンディング案件の配当は、保育園を運用して得られた利益から配当されます。
不動産投資型クラウドファンディングを通じて資金を調達し、不動産物件を運営して得られた資金を投資家に配当し、最終的には施設を売却して得られた資金で投資家に元本を返済するという仕組みになっています。
2.不動産投資型クラウドファンディング、保育園案件のメリット
資金の用途や利益の配当に関するスキームは、他の不動産投資型クラウドファンディング案件と変わりありません。
そこで、投資家として重視すべきことは、保育園ビジネスがきちんと利益を出せるビジネスモデルであるかを見極めること、ビジネス上のメリットなどを知っておくことです。
そこで、保育園運営というビジネスモデルのメリットや収益性について確認していきましょう。
2-1.認可保育所であれば補助金が支給される
保育園を運営するには、自治体の認可を得る必要があります。
東京都においては、主に「認可保育所と認定こども園」、「認可外認証保育所」、「認可外保育施設」という三つのタイプの保育所に分かれています。(*東京都福祉保健局「認可外保育施設に関するQ&A」を参照)
認可保育所や認定こども園は、が東京都の定める基準に適合した設備の条件を備えていれば、自治体から一定の補助金が支給されます。
また、認可外認証保育所は東京都独自の制度で、こちらも自治体から補助金が出ます。
一方、認可外保育施設は行政が認可しているものの、一定の基準を満たしていないために補助金が得られない、もしくは補助金が少額である保育所です。
これらは東京都の自治体における制度になります。自治体ごとに保育所の制度や補助金の支給の有無について事前にチェックしておきましょう。保育所の運営に関しては、基本的には一定の基準を満たしていれば、運営資金の大半は補助金によってまかなわれます。
2-2.自治体によっては待機児童が多く、需要は多い
一方で、保育所を運営しても預かる子供がいなければ、自治体からの補助金が減ってしまうので収益性が悪化します。
そこで重要なのは、保育所のあるエリアにおいて保育所の需要を見定めることです。設立予定のエリアでの待機児童数などを調べ、保育所の需要を確認しておきましょう。
待機児童とは、児童を受け容れる保育所の定員がオーバーした結果、保育所に預けられないまま自宅で過ごしている乳幼児のことを指します。
東京都でも2019年4月時点で3,600人以上の待機児童がいます。(*東京都「都内の保育サービスの状況について」を参照)
待機児童が多い自治体はそれだけ、いまだに保育所の供給が需要に追いついていない状態です。新規に保育所を建設しても、需要が見込めるエリアだと言えます。
逆に、地方では保育所が余っているエリアがあります。子供が集まらないため、閉園する保育園も出ています。待機児童の数を見ることが、そのエリアにおける保育所の需要を見定める一つの指標になるでしょう。
3.不動産投資型クラウドファンディング、保育園案件のリスク
ここまで保育園案件のメリットについてご紹介しました。しかし、乳幼児を預かる場である以上、保育所の運営には非常に繊細な業務体制が求められます。
保育所ならではのリスクを知っておきましょう。
3-1.事故のリスクや職員退職のリスク
保育所で起こりうる事故のリスクとして、保育士が子供から一時的に目を離した途端に事故が発生し、子供が急死してしまう事故のリスクが考えられます。
また、保育所ならではのリスクが職員の退職に伴うリスクです。設立されている保育園の数に対して勤務できる保育士が少なく、オーバーワークが続いている保育所も存在します。
そのため、経営者と保育士が対立して保育士が一斉に退職してしまい、経営できなくなるケースもあります。保育園に関しては保育士の退職リスクも気をつけておく必要があるでしょう。
3-2.運営元のリスク
保育園は社会に必要な施設であるため、倒産しても行政からの依頼で他の会社が代わって経営する場合もあります。
しかし、運営元が代わると職員と新しい経営者との間で労働問題などが発生し、経営が不安定になってしまう可能性があります。
また、株式会社の場合、保育園という公共性の高い施設と利潤を求めるという会社の目的が時には相反します。
保育所は公共施設であるため、利益が出ないからといって、簡単に閉園できるものではありません。しかし、経営実績がない株式会社の中には、想定した収益が得られず、安易に閉園しようとする企業も存在します。
保育園の運営元が株式会社である場合、保育園の運営実績の有無を確認してから投資を検討しましょう。
まとめ
保育園案件は、運営資金の大半を自治体の補助金に依存するので、そこがメリットにもデメリットにもなります。待機児童の多いエリアであれば需要もあり、補助金を活用しながら収益を上げられる可能性は高いと言えるでしょう。
しかし、保育所ならではの人材リスク、事故リスクも存在します。国家資格者によるオペレーションが必要な施設だけに、十分に運営実績のある運営元であるかどうかを見極めて投資するようにしましょう。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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