ソーシャルレンディングは貸金によって収益を得て投資家に分配する仕組みのため、融資先の債務不履行があった時には大きな損失が起こる可能性があります。
ソーシャルレンディング投資の案件を比較するのであれば、募集条件の中で運用機関や利回りだけではなく、どのような担保がついているのかを見ておくことも損失を防ぐ対策として重要なポイントです。
そこで本記事では、不動産を担保に設定しているソーシャルレンディングサービス4社をご紹介します。
目次
- ソーシャルレンディングにおける不動産担保とは
1-1.債務不履行のときに担保を売却して投資家に出資金を返済できる
1-2.取得不動産を担保にすることが多い - 担保付きソーシャルレンディング案件を見るときのポイント
2-1.LTVを見る[PR]
2-2.物件の所在地を見て公示地価や路線価を調べる
2-3.抵当権の順位を調べる - 不動産担保付きのソーシャルレンディングサービス4社
3-1.クラウドバンク
3-2.OwnersBook(オーナーズブック)
3-3.バンカーズ
3-4.LENDEX(レンデックス) - まとめ
1.ソーシャルレンディングにおける不動産担保とは
ソーシャルレンディングにおける不動産担保とはどのような役割を持つのか見ていきましょう。
1-1.債務不履行のときに担保を売却して投資家に出資金を返済できる
ソーシャルレンディングにおける不動産担保は、融資先が債務不履行になった時に投資家に出資金を返済するための資産保全対策です。
ソーシャルレンディングは投資家から集めたお金を事業会社に融資し、その際の貸付金利が投資家に分配される投資手法です。融資先が債務不履行になってしまった場合に換金できる担保や出資金への保証がないと、投資家は出資金の多くを失う可能性があります。
一方、ソーシャルレンディングの投資先事業が不動産運用などであれば、不動産が担保設定されていることがあります。債務不履行になった際は担保不動産を売却することにより、投資家に出資金を返済することができます。
1-2.取得不動産を担保にすることが多い
ソーシャルレンディングの不動産担保は、取得する不動産が担保となっています。例えば、不動産会社が1億円の不動産を取得するために投資家から1億円を集めるような案件では、融資を受けた事業会社はその集めたお金を使い1億円の不動産を購入します。
この際に取得不動産に抵当権を設定することで、債務不履行になった場合には不動産を売却し、投資家に対して売却した資金で返済が行われます。
2.担保付きソーシャルレンディング案件を見るときのポイント
担保付きのソーシャルレンディング案件を見る時はどのような点に注意すると良いのか、重要なポイントを確認しておきましょう。
2-1.LTVを見る
ソーシャルレンディングの中には、LTV(LoantoValue)の数字を明らかにしているポータルサイトがあります。
例えば、融資した資金が8,000万円、不動産担保の金銭的な価値が1億円の場合、LTVは8,000万円÷1億円×100=80%です。融資した資金が7,000万円で不動産担保の価値が1億円であればLTVは70%となります。
このように、LTVとは融資を受けた資金額が担保不動産を金銭的に換算したときの価値に比べてどれくらいの割合を持っているかを示します。LTVの割合が小さいほど、出資金全額が返ってくる可能性が高く、低リスクの案件であると見ることができます。
2-2.物件の所在地を見て公示地価や路線価を調べる
ソーシャルレンディングの不動産関係ファンドの中には、運用対象及び担保である不動産の住所が大まかに公開されているものがあります。その他にも建物の面積や不動産の用途など、不動産に関する情報が公開されています。
これらの情報をチェックし、その土地の付近の住所の路線価や公示地価を、国税庁の「路線価図・評価倍率表」や、国土交通省の「地価公示・都道府県地価調査」で調べておくと良いでしょう。
このような調査を行うことで、担保不動産の評価に問題がなく妥当であるかどうかの判断に役立ちます。
2-3.抵当権の順位を調べる
ファンド情報を見るときには、抵当権の順位も調べておきましょう。抵当権の順位とは、担保の不動産を売却した時に何番目に債務が返済されるかを示した数値です。
抵当権の順位が低いと、担保不動産を売却しても優先順位が高い権利者から返済されてしまうため、低い順位の抵当権権利者にはわずかな金額しか返済されないことがあります。抵当権の順位が第1位であれば、優先的に債務が返済されるので、債務不履行に陥ってもある程度の資金回収を見込めます。
3.不動産担保付きのソーシャルレンディングサービス4社
実際に、不動産担保付きのソーシャルレンディングファンドを扱っているソーシャルレンディングサービスを見ていきましょう。
3-1.クラウドバンク
クラウドバンクは累計募集金額1,750億円以上と国内のソーシャルレンディングで第1位の取り扱い金額実績を誇るサイトです。クラウドバンクでは米国カリフォルニアの不動産を中心に、不動産担保付きファンドを扱っています。
クラウドバンクの予定分配率は年利で約5%前後、定期的に募集が行われているので、比較的投資しやすいソーシャルレンディングサービスです。また、クラウドバンクでは1750億円の募集実績があります。
3-2.OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBookは東証一部上場企業であるロードスターキャピタル株式会社が運営するソーシャルレンディングです。不動産会社が運営するため、OwnersBookの案件にはすべて不動産担保が設定されています。
利回りは3%~5%であり、月間12件のペースで募集が行われています。運用対象の不動産はマンション、オフィスビル、ホテルなど様々なものが見られます。
3-3.バンカーズ
バンカーズは、不動産担保ローンを運営する事業者への融資ファンドを扱っています。直接バンカーズのファンドに不動産担保が設定されているのではありませんが、不動産担保ローンを営む事業者の債権を担保に設定しているため、最終的な融資先が債務不履行になれば、不動産を処分して質権の返済が行われます。
このように、不動産事業者を介して間接的に不動産担保が設定されている状態のファンドが多くあるという点は、バンカーズの大きな特徴です。貸付手形を含めた変動制を採用しており、予定分配率は年利で2%~5%前後と幅広く、リスクとリターンのバランスを取った投資が可能です。
なお、バンカーズはSBIソーシャルレンディング社の発行済株式の全株を3月31日付で取得し、SBIソーシャルレンディングの事業継承を発表しています。2021年までSBIソーシャルレンディングが扱ってきた不動産担保付きファンドなどの募集も行われることが期待されます。
【関連記事】バンカーズHD、旧SBIソーシャルレンディングの事業を継承
3-4.LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は累計募集実績約200億円を超えるソーシャルレンディングです。LENDEXでも数多くの不動産担保付きファンドを扱っており、毎月10億円ほどの募集を続けています。
募集金額のボリュームが大きいことから投資しやすいソーシャルレンディングと言え、不動産担保がついていながら、予定分配率が7%以上の案件が多くあるという点も特徴的です。
まとめ
今回は、不動産担保ローン付きソーシャルレンディングサービス4社を紹介しました。不動産担保付きの案件を選ぶことで、貸し倒れが起きた時の損失を補填できるため、投資のリスクを抑えられるメリットがあります。
ただし、不動産担保と一口に言っても不動産の種類やLTVの数字、担保の順位によってリスクの許容範囲は変わってきます。ファンドの情報は入念に確認し、リスクを軽減する対策を心がけましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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