オーナーズブックの平均利回りとリスクを最新の案件から分析

東証マザーズの上場企業である株式会社ロードスターキャピタル。同社が運営するソーシャルレンディングサイトが「オーナーズブック」です。全ての案件に不動産を担保に設定しており、融資先の事業は不動産関係です。

今回はオーナーズブックの最近の案件を例に挙げながら、投資先としての妥当性を計ってみましょう。

目次

  1. オーナーズブックの2019年10月~12月の動向
    1-1.案件の募集数
    1-2.案件の平均値
    1-3.不動産の種類
  2. 最近のオーナーズブック案件から見たリスク要因
    2-1.融資はシニアローンが目立つ
    2-2.エクイティ型案件は満額に達せず
    2-3.自社への融資案件も登場
  3. オーナーズブックの案件の投資先としての妥当性
  4. まとめ

1.オーナーズブックの2019年10月~12月の動向

まず、2019年10月から12月までのオーナーズブックの直近の案件から、どのような趣旨に基づいて募集が行われているのか、調べてみました。

1-1.案件の募集数

オーナーズブックにおける2019年10月から12月までの募集案件数は11件です。1ヶ月あたりの募集件数は3~4件になります。

1-2.案件の平均値

2019年10月から12月に募集した全ての案件をリスト化してみました。

案件名 募集金額(百万円) 予定利回り(年利%) 運用期間(ヶ月) 種類
港区マンション第4号第1回 64.35 4 25 シニア
千代田区オフィス第4号第1回 200 2.5 20 メザニン
港区レジデンス第1号第1回 100 4.5 25 シニア
千代田区商業ビル用地第1号第1回 100 4 25 シニア
品川区商業ビル素地第1号第1回 8.3 4.5 25 シニア
中野区戸建素地第1号第2回 3 4.5 26 シニア
南青山商業ビル素地第1号第1回 800 4 13 シニア
新宿区商業ビル第2号第2回 100 4 37 メザニン
墨田区マンション用地第2号第1回 65 4.5 13 シニア
US非上場eREIT第1号ファンド 333 4.6 62 エクイティ
世田谷区戸建用地第1号第1回 90 4 14 シニア
累計募集金額 1,965,350,000円
平均利回り 4.10%
平均運用期間 25.9カ月

最も利回りが低い案件は年利2.5%で、逆は年利4.6%です。平均した利回りは4.1%になりました。また、11の案件の中で最も短い運用期間は13カ月間で、その反対は62カ月間です。平均した運用期間は25.9ヶ月でした。

1-3.不動産の種類

対象となる不動産の種類を調べると、住宅用の土地が5件でした。内訳は、マンションの用地が3件で、戸建ての用地が2件です。また、用途的に商業用ビルが4件、オフィスビルが1件です。さらには1件、アメリカの非上場e-REITに関する案件もありました。

2.最近のオーナーズブック案件から見たリスク要因

これらのデータから、オーナーズブックの案件からはどのようなリスクが考えられるのでしょうか。

2-1.融資はシニアローンが目立つ

融資のタイプは、11案件のうちシニアローンが8件、メザニンローンが2件、そして、エクイティ型案件が1件でした。

シニアローンはデフォルト(債務不履行)時に優先的に返済されるローンであり、後述のメザニンローンと比べて返済リスクが比較的小さい傾向です。逆に、メザニンローンの案件は一般的に、リスクが高い代わりに利回りなどの条件に幅を持たせています。

しかしオーナーズブックの案件を見る限り、シニアローンとメザニンローンの利回りに目立った差はありません。案件個別の事情もあるかと思いますが、メザニンローン案件で利回りの低いファンドについては、自分なりに調べてこれといった理由がわからない場合(都心・駅近・築浅の物件で返済の可能性がきわめて高いなど)には、他の案件への投資を優先してみると良いでしょう。

2-2.エクイティ型案件は満額に達せず

一方で、一件だけ募集が行われたアメリカのe-REITエクイティ型案件は、オーナーズブックの案件の中では大変珍しいことですが、満額に達しませんでした。募集額の66%しか資金が集まらなかったのです。

理由は、50万円ずつしか投資できないエクイティ型という敷居の高さ、そして、62カ月という運用期間の長さなどが挙げられるでしょう。利回りは4.6%と、オーナーズブックの案件では比較的高かったのですが、まとまった資金の拘束が5年以上にわたることで、リスクが懸念された様子です。

また、この案件は米ドル建てのため、為替変動のリスクも孕んでいます。為替相場の変動次第では為替差益が生じ、利回りが上がる可能性はあるのですが、2019年末のドル・円相場は110円前後で推移しています。相場を省みると、円安よりも円高方向の振れ幅が大きいため、円高による為替差損の可能性が十分にあります。

そのため、約5年半後に有利な結果に動くかどうかの予測が立てにくく、投資家にとってリスクが高いということで敬遠されたと考えられます。

2-3.自社への融資案件も登場

直近の2019年12月に募集が行われた案件の融資先は、ロードスターキャピタルです。

オーナーズブック上で募集された同案件は、ロードスターキャピタルファンディングからロードスターキャピタルに融資する形を取っています。事実上の自社募集・自社融資の案件であり、投資家はオーナーズブックの事業資金を投資していることになります。

スキーム上は問題ありません。上場企業であるロードスターキャスキャピタルが融資先ですから、資本力があるという点では投資リスクは高くはないでしょう。ただし、同案件の資金の用途は明かされていません。リスクというほどではありませんが、投資家としてその事実は押さえておきましょう。

3.オーナーズブックの案件の投資先としての妥当性

オーナーズブックの案件の平均的な利回りは4%前後で、運用期間は1年半から2年間です。最近のソーシャルレンディング業界と照らし合わせても、利回りは特別低くありません。ただし、運用期間は2年前後のものが多く、やや長めです。

それでも、抽選制度が導入されるなど、オーナーズブックの募集状況を見る限りでは投資家からの人気は高く、勢いは衰えを見せません。

倒産リスクやコンプライアンスリスクがある中小のソーシャルレンディング会社に何度も投資するよりは、信頼の厚い会社に運用を一任するほうが良い、安定した配当が定期的に受けられるので良い、と考える投資家も少なくありません。

今後は運用期間2年の案件に投資する場合、期間中に東京オリンピックを挟みます。東京オリンピックの終了後、不動産関係の景気が急速に悪化する事態は考えにくいのですが、それでも、何かしらのリスクが発生する可能性は捨てきれません。

少なくともリスクを織り込んだ上で、オーナーズブックの長期の案件に投資する必要があるでしょう。

まとめ

オーナーズブックの案件は中程度の利回り、長期間の運用期間という案件が目立ちます。ソーシャルレンディングサービスの中でも比較的人気が高いオーナーズブックですが、アメリカのe-REITエクイティ型案件では満額の資金が集まりませんでした。

ソーシャルレンディング以外の事業も好調なロードスターキャピタルですが、これまでの実績が必ずしもリスクが存在しないことへの担保になるわけではありません。投資家としては常に最新の情報を把握しながら、投資の妥当性を判断するようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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