現在、多くのネット証券がサービスを提供しており、さまざまな選択肢から自分に合ったサービスを選ぶことができるようになっています。ですが、そのぶん多すぎてどこを選べばいいのかわからない、となる場合もあるでしょう。
そこで今回は、ネット証券各社の人気を探るため、シェア上位の会社についてリサーチしてみました。口座開設数と売上からどの証券会社がユーザーに選ばれているか見てみましょう。
※本記事は2022年4月11日時点にリサーチを行い執筆しています。最新情報とは異なる可能性もあるため、データの詳細は各社のWebサイトなどでご確認ください。
目次
1.比較するネット証券会社とデータ
まずは、シェア上位を比較する対象となる証券会社を紹介します。
いわゆる「大手ネット証券会社」と呼ばれるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券の各証券会社に、GMOクリック証券、岡三オンラインの2社をプラスした合計7社でシェアの比較を行います。
また、比較するデータは以下の通りです。
- 口座開設数
- 営業収益(≒売上高)
- 新規口座開設数
口座開設数を確認することで、顧客数を見ることができます。つまり、口座開設数が多い証券会社ほど、多くの投資家に選ばれているといえます。
営業収益とは、証券会社の売上高に当たる数値です。株式売買を仲介する委託手数料や証券会社が株式を売買して得ることができるトレーディング収益など、証券会社が挙げた収益のすべてを合計したものが営業収益です。営業収益が高いほど、証券会社の事業は順調だと考えられるため、経営上の心配が少ない証券会社であると判断することができます。
また新規口座開設数では、直近の証券会社の人気を測ることができます。この数値が大きいほど、人気と勢いのある証券会社であると考えられます。
なお、今回は各証券会社のホームページの情報、もしくは決算情報、決算用資料などから筆者独自にリサーチをしています。
2.ネット証券会社各社の口座開設数のシェア率比較
まずは、口座開設数のシェア率を比較してみましょう。このデータについては2022年4月時点の総合口座の開設数をリサーチしています。
口座開設数のシェア率(※ここでは、7社全体の口座開設数を100%として各社の割合を算出)は以下のようになりました。
会社名 | 口座開設数 | シェア率 |
---|---|---|
楽天証券 | 7,141,203 | 38.3% |
SBI証券 | 6,036,230 | 32.3% |
マネックス証券 | 2,185,769 | 11.7% |
auカブコム証券 | 1,408,685 | 7.5% |
松井証券 | 1,328,282 | 7.1% |
GMOクリック証券 | 479,534 | 2.6% |
岡三オンライン | 80,241 | 0.4% |
口座開設数のシェア率トップは楽天証券で約38.3%(約714万口座)、次点はSBI証券で約32.3%(約604万口座)です。今回リサーチした7社のシェアのうち、楽天証券・SBI証券の2社で7割以上のシェアを占めていることがわかりました。
楽天証券は安価な取引手数料や幅広い投資サービスと充実した投資情報の提供、楽天ポイントとの連携などで、業界内の勢力を拡大している証券会社です。2021年12月に証券総合口座数が700万口座に達しており、後発ながら幅広く認知された証券会社となっています。
次点のSBI証券は楽天証券と同様に業界トップクラスの安価な取引手数料やIPO取扱件数の多さといった強みを持っており、業界内でも口座開設数が多い人気の証券会社です。
複数の証券会社に総合口座を開設している投資家が多いため、上記データが実績を正確に反映しているとはいえませんが、それでも楽天証券とSBI証券の強さが際立っているといえるでしょう。
3.ネット証券会社各社の営業収益のシェア率比較
次に、営業収益のシェア率比較を見てみましょう。こちらは各証券会社の直近の通期決算データをリサーチしています。
※以下のシェア率は、7社全体の営業収益を100%として各社の割合を算出していますが、通期の決算タイミングが四半期ずれている会社もあるため、あくまで目安の参考値として御覧ください。
会社名 | 営業収益 | シェア率 | 決算期 |
---|---|---|---|
SBI証券 | 1,603億5,600万円 | 37.6% | 2021年3月期 |
楽天証券 | 895億7,500万円 | 21.0% | 2021年12月期 |
マネックス証券 | 779億500万円 | 18.3% | 2021年3月期 |
GMOクリック証券 | 459億2,400万円 | 10.8% | 2021年3月期 |
松井証券 | 300億8,200万円 | 7.1% | 2021年3月期 |
auカブコム証券 | 194億4,200万円 | 4.6% | 2021年12月期 |
岡三オンライン | 27億310万円 | 0.6% | 2021年3月期 |
営業収益のシェア率では、トップがSBI証券でシェア率が37.6%(約1,604億円)、次点が楽天証券でシェア率が21.0%(約896億円)を誇っています。
SBI証券は投資信託や外国株式投資など業界でもトップクラスの豊富な商品数や投資に関する情報を提供していることに加え、各種セミナーの実施件数などでも他社にアドバンテージを有しています。また、各種キャンペーンも頻繁に実施するなど、顧客の投資活動を促しているといえます。
4.ネット証券会社各社の新規口座開設数のシェア率比較
最後に新規口座開設数のシェア率を紹介します。こちらは各証券会社の直近通期でどれだけ新しく口座が開設されたのかをリサーチしました。
会社名 | 新規口座開設数 | シェア率 |
---|---|---|
楽天証券 | 2,070,000 | 59.2% |
SBI証券 | 911,448 | 26.0% |
マネックス証券 | 248,661 | 7.1% |
auカブコム証券 | 147,789 | 4.2% |
松井証券 | 90,293 | 2.6% |
GMOクリック証券 | 22,639 | 0.6% |
岡三オンライン | 8,249 | 0.2% |
新規口座開設数では、楽天証券が直近の年度で約207万口座の新規口座開設を獲得しており、シェア率が59.2%に達するという結果でした。次点のSBI証券が約91万口座・シェア率26%ですから、上位2社で約85%のシェアを占めていることになります。
楽天ポイントで投資信託や国内株式などが購入できる「ポイント投資」や、楽天のクレジットカード決済で事前入金不要で行える投資信託の積立投資、投資金額に応じてポイントが貯められるサービスなどを提供しており、投資初心者にとって利用しやすいサービスとなっていることが要因と考えられます。
楽天証券の発表によると、2020年時点で新規口座開設数は3年連続業界最多となっており、2016年には新規口座開設者の51%だった30代以下の顧客が、2021年11月末時点で68%に増加していることからも、このことが推察できるといえるでしょう。
まとめ
今回はネット証券7社のシェア率を比較してみました。口座開設数、営業収益、新規口座開設数を比較すると、SBI証券と楽天証券が人気を二分していることがわかります。
ネット証券にはそれぞれ異なる特徴や強みがあるため、これから証券会社を選ぶ方は、どの証券会社が人気なのかという点も参考にしつつ、自身の投資目的やスタイルに合った強みやサービスを有しているかどうかという観点から比較検討してみてはいかがでしょうか。
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山本 将弘

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