融資型クラウドファンディングのファンドの中には、マイクロファイナンスという金融機関へ融資するものがあります。
本記事では、マイクロファイナンスがどういった金融機関なのか、またマイクロファイナンス案件に投資する際のメリットやデメリット、注意点も挙げていきます。
目次
- マイクロファイナンスとは
1-1.途上国に置かれる金融機関
1-2.途上国の経済を発展させる役割を持つ - 融資型クラウドファンディングのマイクロファイナンス案件とは
2-1.マイクロファイナンスへの融資を行う案件
2-2.マイクロファイナンス案件の持つ意義 - 融資型クラウドファンディングのマイクロファイナンス案件のメリット
- 融資型クラウドファンディングのマイクロファイナンス案件のデメリット・注意点
- まとめ
1.マイクロファイナンスとは
マイクロファイナンスとはどういった金融機関なのかを確認しておきましょう。
1-1.途上国に置かれる金融機関
マイクロファイナンスは途上国において運営される小口融資専門の金融機関です。
先進国における銀行などの一般的な金融機関は、一定以上の規模を持つ法人や事業者を対象に事業資金の融資を行います。
しかし途上国の小口事業者や個人は信用度がまだ低く、なかなか融資を受けることができないケースも少なくありません。資金調達の厳しさから、その国の産業が発展しにくいという問題があります。
そこで東南アジアなどの国には、公的な金融機関としてマイクロファイナンスが設置され、小口事業者や個人に対し資金を融資しています。融資の際には担保などの資産保全対策が行われますが、マイクロファイナンスではそういった担保などは不要であり、その代わり毎日の売上などからこまめに資金回収を行うという違いがあります。
1-2.途上国の経済を発展させる役割を持つ
マイクロファイナンスは、国が設けた公的な金融機関であるため、小規模法人や個人などでも融資を受けやすくなっています。
マイクロファイナンスの事例として有名な機関のひとつに、東南アジアのバングラディシュにおけるグラミン銀行があります。マイクロファイナンスが個人などに融資をすることにより、小規模でも農業や産業が発達する手助けとなっています。
2.融資型クラウドファンディングのマイクロファイナンス案件とは
では、融資型クラウドファンディングにおけるマイクロファイナンス案件は、どういった特徴を持つのでしょうか。その内容を見ていきましょう。
2-1.マイクロファイナンスへの融資を行う案件
融資型クラウドファンディングは、投資家から少額ずつお金を集め、資金を必要とする事業者に融資を行います。マイクロファイナンス関係のファンドでは、投資家から集めた資金は途上国にあるマイクロファイナンスに融資されることになります。
マイクロファイナンスは融資型クラウドファンディングから融資を受けた資金を使い、小口で小規模事業者や個人などに資金を融資します。なお、前述したようにマイクロファイナンスの案件では原則として担保などは設定されません。
2-2.マイクロファイナンス案件の持つ意義
マイクロファイナンス関連のファンドは、東南アジアなどを中心とした途上国の産業を地盤から発展させることに大きく寄与します。そのため、社会的な意義を大きく持つファンドと言えるでしょう。
途上国でなかなか資金調達ができない事業者の選択肢となり、同時に投資として利益を期待することもできるので、社会貢献と資産形成の両立ができるという点が特徴的なファンドと言えます。
3.融資型クラウドファンディングのマイクロファイナンス案件のメリット
マイクロファイナンス案件のメリットは、先に挙げたように社会貢献できる点です。資産を増やすだけでは物足りない、何か人の役に立つ投資をしたい方にとっては、マイクロファイナンス案件に投資をすること自体に意義を感じることもあるでしょう。
また、ハイリスクな案件であるために想定利回りも高めに設定されています。元々途上国は政策金利自体が年利5%以上と高いことも多く、マイクロファイナンス関係の案件もそれ以上の金利で小口事業者に融資します。このような背景から、高金利での融資を行うため、投資家へ分配される利回りも高めに設定されているのです。
また、マイクロファイナンスの場合融資先が複数の小規模事業者に分散されるため、融資先の分散というリスク対策が行われています。融資先のうち何%か債務不履行となる小口事業者がいても、融資先を分散していることから資金を回収できる可能性が高まります。
ただし、担保を取っていないためある程度の債務不履行は発生するものと見込んだ上で、投資判断を行うことが重要となります。一つの案件に資金を集中させず、余裕資金で投資を行うなどリスクヘッジをしていきましょう。
4.融資型クラウドファンディングのマイクロファイナンス案件のデメリット・注意点
マイクロファイナンス案件のデメリットとして、資金回収リスクが挙げられます。通常の事業融資を受けられない借り手への融資は少なからずリスクが高いと言えるためです。
借り手の農家同士の相互監視や、商店の場合日々の売上からの回収などで回収リスクを小さくしていますが、それでも一定の回収リスクは有るものと考えておきましょう。
また、前提として経済が不安定な途上国への融資であるということにも注意が必要です。現地通貨の価値が変動しやすいため、融資先から資金回収に成功したとしても為替の状況によっては損失が発生することもあります。
このような為替リスクの対策として、為替ヘッジ(両替予約権)が設定されているファンドを選ぶと良いでしょう。例えば、「クラウドクレジット」や「COMMOSUS」では、為替ヘッジが設定されているファンドも扱っています。
その他にも紛争などがある国の場合、紛争が激しくなれば個人での農業運営に大きな影響が出る可能性があります。借り手が小規模であると、事業がすぐに縮小や廃業される可能性も高まります。
まとめ
本記事では、融資型クラウドファンディングにおけるマイクロファイナンス案件の特徴や投資の注意点についてお伝えしてきました。
マイクロファイナンス案件に投資すれば資産形成を行うだけではなく、途上国の経済成長に寄与することが可能です。また同時に年利5%以上など一定の利回りを狙うことができ、分散融資によるリスク対策が行われていることもメリットと言えるでしょう。
一方でマイクロファイナンスが置かれるのは途上国であるため、経済が不安定であったり、政情不安が発生しやすいといった問題点もあります。
融資型クラウドファンディングに投資をする時は、様々な国、様々な事業、異なる形態の融資先への分散投資を行い、問題が発生した時でもリスクをカバーができるような対策を行っておきましょう。
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