レバレッジ型・インバース型投資信託のメリット・デメリットは?販売額の多い銘柄も

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レバレッジ型・インバース型投資信託は、通常の投資信託に比べて値動き幅が大きく、短期間の運用向きといった点が特徴です。独自のメリットやデメリットもいくつかあるため、投資の際には事前に理解しておくことが必要です。

そこで今回は、レバレッジ型・インバース型投資信託の特徴やメリット・デメリットを解説します。投資信託選びのご参考にしてください。

目次

  1. レバレッジ型・インバース型投資信託の主な特徴と種類
    1-1.指標に対して数倍の運用成果を目指すファンド
    1-2.指数と同じ方向で動くレバレッジ(ブル)型ファンド
    1-3.指数と反対方向へ動くインバース(ベア)型ファンド
  2. レバレッジ型・インバース型投資信託のメリット
    2-1.短期投資でも一定の利益を得られる可能性がある
    2-2.空売りのように下落相場でも利益を得る機会がある
    2-3.リスクヘッジも可能
  3. レバレッジ型・インバース型投資信託のデメリット
    3-1.短期間に大きな損失リスクがある
    3-2.ボックス相場では利益を得にくい
    3-3.取引コストが高め
  4. 販売金額の多いレバレッジ型・インバース型投資信託は?
    4-1.SBI-SBI日本株4.3ブル
    4-2.大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100
    4-3.SBI-SBI 日本株3.8ベア
  5. まとめ

1.レバレッジ型・インバース型投資信託の主な特徴と種類

レバレッジ型・インバース型投資信託の「レバレッジ」とは、「てこ」のこと、「インバース」は「逆の・反対の」を表す言葉です。基準指数(日経平均など)に沿った運用を目指すインデックス型と異なり、指数の2倍・3倍の値動きになるよう設計されています。

それでは、レバレッジ型・インバース型投資信託の特徴を詳しく見ていきましょう。

1-1.指標に対して数倍の運用成果を目指すファンド

レバレッジ型投資信託とは、日経平均株価やTOPIXといった指数に連動しつつ、倍以上の運用成果を目指すファンドのことです。またインバース型は指数と反対に数倍の値動きをするファンドです。

たとえば日経平均株価が、1日に100円動いたと仮定します。レバレッジ型投資信託は、日経平均株価100円の値上がりに対して、200円や300円の値上がりとなる設計になっています。

てこを意味するレバレッジという言葉は、金融業界では主に借り入れを意味しており、それにより預かり額以上の資金を運用する(レバレッジを効かせる)ことで大きな値動きを実現しています。

基準となる指数に対して数倍の変動率を目標とするファンドは、全てレバレッジ型・インバース型投資信託に区分されます。

1-2.指数と同じ方向で動くレバレッジ(ブル型)ファンド

レバレッジ投資信託は「ブル型ファンド」とも呼ばれています。ブル型ファンドの「ブル」とは角の付いた牛のことです。横から見ると頭から生えた角が右上がりの形になることから、指数の上昇に沿って値上がりするファンドを指します。

特徴は、指数に対して2倍や3倍の値動きとなる点です。たとえばAという指数に対して2倍の運用を目指している場合、A指数が1日に10%の上昇を記録すると該当ファンドは20%程度の値上がりを記録します。

また、A指数が10%下落すれば、ファンドも20%程度値下がります。このように指数の上昇・下落と同じ方向に価格変動し、なおかつ変動率が数倍になるのがレバレッジ型の特徴です。レバレッジ型ファンドでは、指数が上昇することで利益を得られます。

1-3.指数と反対方向へ動くインバース(ベア)型ファンド

インバース型ファンドまたはベア型ファンドは、特定の指数に対して反対方向に動くよう設計されたファンドです。また、ベアとは熊のことで、ブルとは逆に値下がりを意味する言葉です。

値動きの特徴は、指数に対して2倍・3倍の変動率および反対方向に動く点です。たとえばBという指数に対してマイナス2倍の運用を目指している場合、B指数が1日10%上昇するとベア型ファンドは20%値下がりします。

主に市場が下落基調・急落相場であればあるほど、利益を得やすいのが大きな特徴です。

2.レバレッジ型・インバース型投資信託のメリット

レバレッジ型・インバース型投資信託に関するメリットは複数ありますが、ここでは主なメリットを3つ解説します。リスクを許容した上で積極的に運用したい方や、短期的な投資を目標としている方はメリットを得やすい投資信託でもあります。

  • 短中期投資でも利益を得られる可能性
  • 下落局面で利益を得られる
  • リスクヘッジ可能

それでは各メリットについて確認していきましょう。

2-1.短期投資でも一定の利益を得られる可能性がある

レバレッジ型・インバース型投資信託は、主に1日や数日、数週間といった短期投資向きのファンドです。なぜなら、基準となる指数の上昇率・下落率に対して、数倍の変動率を記録するほど値動きが激しいためです。

また、レバレッジ型・インバース型投資信託には、指数の変動率に対して3.7倍や4.3倍といった高い倍率設定のファンドもあり、それだけ短期間に急激な価格変動も発生します(例:指数の1%の上昇に対して、3.7%や4.3%の変動)。

インデックス型ファンドなどと比較した場合、短期間にハイリターンも期待できます。たとえば、以下のような状況であれば、レバレッジのメリットを活かせるでしょう。

  • 市場全体が1日や数日で、10%など大きな変動を記録
  • 日経平均株価が1日で数千円以上上昇もしくは下落
  • 市場全体が一定期間(数週間)上昇もしくは下落し続けている

一定のリスクを理解した上で、積極的に運用したい方はレバレッジ型・インバース型投資信託を検討してみるのもいいでしょう。

2-2.空売りのように下落相場でも利益を得る機会がある

インバース型投資信託は、空売り(資産の下落で利益を得られる取引方法)のように下落局面で利益を得ることが可能です。
基準となる指数が下落するほどインバース型投資信託は値上がりし、レバレッジによって変動率も高くなるため、指数に対してマイナス2倍・3倍・4倍といった大きな上昇率を期待できます。

具体的には、市場が天井付近(買いが減少し始めている状況)の場合・突発的な事象によって下落相場へ転換した場合などでは含み益を得られます。

2-3.リスクヘッジも可能

レバレッジ型・インバース型投資信託は、組み合わせることで指数の上昇・下落どちらのケースでも利益を伸ばせるので、リスクヘッジとしても活用できます。リスクヘッジとは、リスクをできる限り抑えられるよう対策を施すことです。また、投資におけるリスクとは、主に資産価値の変動を表します。

たとえば、株式のインデックス型投資信託を2~3本保有しているとします。市場が下落基調へ転換した場合、インデックス型投資信託は含み益の減少・含み損となります。そこで基準となる指数が下落しているインバース型投資信託を購入すると、継続して指数が値下がりした場合に含み益を得られるので、インデックス型投資信託の拡大した含み損を何%かカバーできる、というわけです。

他には、レバレッジ・インバース型投資信託どちらも保有し、指数の上昇・下落どちらかに動いた直後に、利益が得られるファンドのみ保有し続ける方法も選択できます。

3.レバレッジ型・インバース型投資信託のデメリット

短期間に一定の利益を得られるのも魅力なレバレッジ型・インバース型投資信託ですが、デメリットも複数存在します。

  • 短期間に大きな損失リスク
  • ボックス相場と相性が良くない
  • 取引コストが高め

それでは、デメリットも確認していきましょう。

3-1.短期間に大きな損失リスクがある

レバレッジ型・インバース型投資信託は、基準となる指数に対して数倍の値動きを記録するため、状況によっては短期間に大きな損失を被る可能性もあります。

損失が発生するのは、以下のようなケースです。

  • レバレッジ型投資信託:基準となる指数が下落
  • インバース型投資信託:基準となる指数が上昇

さらにレバレッジ倍率に応じて価格変動が激しくなったり、先物商品を投資対象にするファンドでは基準価額に下げ圧力を生むロールオーバーコストが定期的に発生したりもするため、一般的に長期運用向きではありません。そのため、長期的に積立投資を行いたい方や、リスクを抑えた資産運用計画を立てている方にはデメリットの大きいファンドでもあります。

対策としては、インデックス型投資信託などで分散投資を積極的に進めたり、レバレッジ型・インバース型投資信託のみ数日~数週間の運用に留めたりといった方法も考えてみましょう。

3-2.ボックス相場では利益を得にくい

レバレッジ型・インバース型投資信託は、ボックス相場向きのファンドではありません。

ボックス相場は小さな上昇や下落を繰り返し、トレンドのない状態を指します。そしてレバレッジ型・インバース型投資信託は、ボックス相場で損失を発生しやすいという特徴もあります。

方向感を見出すことのできない場面では、レバレッジ型投資信託への投資は控えたほうが望ましいといえます。

3-3.取引コストが高め

レバレッジ型・インバース型投資信託は、基準となる指数に対して倍率をかけた利益を目標として運用を行うファンドです。そのため運用会社の運用難易度が高くなり、リスクも高まります。

運用会社は、運用によって負うリスク(運用難易度が高い、運用にかかる情報収集の負担など)を、購入手数料や信託報酬でカバーしています。そのため、一般的にレバレッジ型投資信託の取引コストは、インデックス型投資信託よりも高めになります。

運用益ばかりに注目せず、購入時・運用中・売却時にどの程度費用がかかるのか事前に確認しておきましょう。

4.販売金額の多いレバレッジ型・インバース型投資信託は?

以下では販売金額の多いレバレッジ型・インバース型投資信託をご紹介します。2020年8月3日~8月31日における、SBI証券の販売金額人気ランキングから該当する上位3ファンドを選択しました。

※9月10日時点の情報です。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

4-1.SBI-SBI日本株4.3ブル

SBI-SBI日本株4.3ブルは、国内の公社債に投資を行うファンドで、特に株価指数先物取引を積極的に活用し、株式市場全体の値動きの4.3倍程度の成果を目指して運用されます。集計時点において、SBI証券での販売金額ランキングでは第2位となっています。

高いレバレッジ倍率により、日本の株式市場が好調であれば大きな基準価額の値上がりが期待できます。2020年9月10日時点における基準価額騰落率は、6ヶ月間で+46.45%、2017年12月からの設定来では▲49.90%と高い騰落率を見せています。

基準価額 5,007円
純資産額 11,746百万円
運用会社 SBIアセットマネジメント
信託報酬(税込) 0.968%
NISA対応 あり
積立投資 未対応

4-2.大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100

大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100はSBI証券での販売金額ランキング3位を誇るファンドで、NASDAQ100指数(米ドルベース、為替ヘッジあり)の値動きの2倍程度を目指して運用が行われます。こちらも株価指数先物取引を積極的に活用し、レバレッジ効果を実現しています。

NASDAQは米国の代表的な株価指数の1つで、米国株式市場の成長に伴い、当ファンドの基準価額も上昇します。基準価額騰落率は3ヶ月で22.74%、6ヶ月で56.78%、1年で77.95%、そして2018年10月の設定来では104.25%と、米国株価の上昇を反映したパフォーマンスとなっています。

SBI証券では当ファンドを100円から積立投資できるので、レバレッジ商品でありながらドルコスト平均法によりリスクを軽減した投資も可能となっています。

基準価額 20,427円
純資産額 25,785百万円
運用会社 大和アセットマネジメント
信託報酬(税込) 0.99%
NISA対応 あり
積立投資 対応

4-3.SBI-SBI 日本株3.8ベア

SBI-SBI 日本株3.8ベアは、株価指数先物取引を積極的に活用し、日本の株式市場全体の3.8倍程度逆となる運用を行うファンドです。日本株が下落した際には基準価額が大きく上昇し、逆に市場が好調の場合は大きく下落することになります。

日本の株式市場はアベノミクスの影響などもあり、2013年頃からほぼ一貫して上昇傾向にありました。直近でもコロナショックによる一時的な暴落はあったものの、大規模な金融緩和政策により株価は復調しています(9月10日時点)。そのため、現状では当ファンドの基準価額は下落基調にありますが、今後株式市場が軟調になった際には利益が期待できます。

基準価額 1,927円
純資産額 5,100百万円
運用会社 SBIアセットマネジメント
信託報酬(税込) 0.913%
NISA対応 あり
積立投資 未対応

まとめ

レバレッジ型・インバース型投資信託は、数日や数週間単位で一定の利益を得たい方には比較的メリットのあるファンドです。また、指数が下落していた場合は、インバース型投資信託を購入することで利益を得られます。

さらに通常の投資信託とは異なり、基準となる指数に対して2倍や3.7倍、4.3倍といった倍率で値動きするのも大きな特徴です。短期間に利益を得たい場合などに魅力のあるファンドの一方、大きな値動きやコストの高さなどから、初心者や長期保有者には注意が必要だといえます。

レバレッジ型・インバース型投資信託に関心がある方は、気になるファンドの運用実績や特徴をよく調べたうえ、慎重に投資判断を行いましょう。

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菊地 祥

FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。