貸付ファンドFundsと伊藤忠商事の業務提携、投資への影響は?

クラウドポートが運営しているソーシャルレンディングサイトのFunds。2019年1月からの運営開始にもかかわらず、半年強で1万人以上の会員を獲得するなど、投資家から高い支持を得ています。

そんなFunds(クラウドポート社)が、日本でも有数の大手商社である伊藤忠商事と業務提携することが2019年8月29日に発表されました。そこで2社の業務提携の内容と、ソーシャルレンディング業界や投資家に与える影響などを考えてみました。

目次

  1. 伊藤忠とFundsの業務提携の狙いは
    1-1.伊藤忠が融資先の斡旋を行う
    1-2.伊藤忠の金融ノウハウを活かした商品開発を行う
  2. 伊藤忠のソーシャルレンディング事業への出資事例
    2-1.クラウドクレジットにも出資済み
  3. ソーシャルレンディング投資家に与える影響は何か
    3-1.Fundsの取扱い案件数の増加
    3-2.Fundsの案件における条件の多様化
    3-3.ソーシャルレンディング投資のポピュラー化
  4. まとめ

1.伊藤忠とFundsの業務提携の狙いは

伊藤忠商事によるこちらのプレスリリースでは、伊藤忠とFundsの業務提携の狙いが記載してあります。

伊藤忠の発表では、国内企業における個人向け社債の規模は約1.5兆円とのことです。年間における発行額の規模は一定の範囲で推移していますが、企業の資金調達手段として社債の比率はまだまだ低いとの見解を示しています。日本においても企業が個人から資金を調達する可能性は高く、拡大する市場への進出の足がかりとしてクラウドポートと提携したとしています。

日本におけるソーシャルレンディングの市場規模はおよそ2,000億円弱(矢野経済研究所調べ、2018年度)となっています。年々成長を続けていますが、それでも海外と比較すれば市場は小さいとも言えます。

1-1.伊藤忠が融資先の斡旋を行う

上記のリリースから、伊藤忠との業務提携によってFundsに生じる効果を具体的に確認しましょう。

伊藤忠商事はビジネスの共同開発を目的として顧客紹介に関する契約を締結し、クラウドポートの初の戦略的事業パートナーとなりました。今後、個人投資家の拡充を支援すると同時に、伊藤忠商事グループのネットワークを活用して、資金調達需要のある企業にクラウドポートのサービスを紹介してまいります。

ここに取り上げられているように、クラウドポートと伊藤忠は戦略的事業パートナーとして伊藤忠商事グループ間のネットワークを活用します。具体的には、伊藤忠が資金調達需要のある企業に対しFundsを紹介するといった取り組みが行われます。

Fundsを通してクラウドポートの融資先が増えれば、Fundsのサービス需要も安定し、また資金調達がしたい企業も新たな資金調達ルートを確保しやすくなります。そのため伊藤忠との提携は、クラウドポートと企業、双方にとってメリットがあるのです。

1-2.伊藤忠の金融ノウハウを活かした商品開発を行う

もうひとつのポイントとして、クラウドポートは伊藤忠の金融ノウハウを活かした商品開発を行うとしています。

加えて、これまでの伊藤忠商事の金融事業のノウハウを活用してクラウドポートと共同で様々な金融商品の組成・販売を検討し、資産運用市場の活性化に寄与することを目指してまいります。

クラウドポートにおけるソーシャルレンディング案件の増加や条件の多様化、さらにソーシャルレンディング以外の商品の開発にも期待が持てます。より確実性の高い保証をもったソーシャルレンディング案件の組成なども期待できるかもしれません。

2.伊藤忠のソーシャルレンディング事業への出資事例

伊藤忠がソーシャルレンディング事業に出資しているのはFundsだけでありません。他社の事例も見てみましょう。

2-1.クラウドクレジットにも出資済み

伊藤忠は、海外の案件を専門に取扱うソーシャルレンディング会社のクラウドクレジットにも、すでに出資をしています

伊藤忠がクラウドクレジットに出資したのは2015年でした。2015年は、ソーシャルレンディング市場が現在に比べて著しく小規模であった時期です。この段階から伊藤忠はソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)事業に着目し、出資することで将来的に大きな事業に発展する可能性があると見込んでいました。

クラウドクレジットは複数の会社から出資を受けていますが、その中でも初期の段階で伊藤忠から出資を受けた結果、大きく成長を遂げました。伊藤忠においてはフィンテック分野に対して積極的に投資していて、他のソーシャルレンディング会社にも出資を行う可能性はゼロではありません。引き続き注目していきたいところです。

3.ソーシャルレンディング投資家に与える影響は何か

伊藤忠とFundsが業務提携を行ったことで、ソーシャルレンディング業界と投資家にどのような影響が及ぶかを考えてみました。

3-1.Fundsの取扱い案件数の増加

最も効果が期待できるのが、Fundsの案件数の増加です。Fundsは2019年1月にソーシャルレンディング事業を展開した直後から、投資家から多くの支持を得ています。募集を開始した直後に投資金額の上限に達してしまうほど人気のため、現在のFundsは募集時に抽選制度を導入しています。

しかし、伊藤忠との業務提携によって融資先が増えれば、案件の供給が安定する可能性があります。もしそうなれば、投資家は焦らずに「投資したいタイミング」で「投資したい金額」を随時、ソーシャルレンディング投資に回すことができるようになるでしょう。投資家は大きなメリットを享受できるのです。

一方、現行の抽選制度ですと、どうしても投資の可否が運任せになってしまいます。人気が高いFundsだけに、案件数の増加は投資家にとって望まれるところです。

3-2.Fundsの案件における条件の多様化

業務提携のもう1つの効果として、新しい金融商品の開発も投資家に影響を及ぼします。Fundsが組成するソーシャルレンディング案件でも、金利や運用期間、保証や担保などの条件や貸付けの仕組みなどが多様化する可能性があります。

さらに、新しい金融商品の開発によって安全を確保したもの、高い収益性を見込んだ投資商品がFundsを通じて投資家に提供されることも考えられます。

3-3.ソーシャルレンディング投資のポピュラー化

国内でも非常に高い知名度を持つ一流商社の伊藤忠が斡旋した企業への融資であれば、融資先に一定の信用がおけるものとしてより安全に投資できるようになるでしょう。また、伊藤忠が大きく関与することでソーシャルレンディング業界全体への信用が高まれば、投資家や投資金額の増加につながる可能性があります。

さらに、ソーシャルレンディング投資が一般的な投資手法として定着することにより、ソーシャルレンディング業界が活性化し、ひいては誰もが利用できる新しい資産運用の形として国内で定着するかもしれません。

まとめ

伊藤忠とFundsの業務提携により、Fundsには案件数の増加や多様な投資商品を開発・提供できるようになるなどのメリットがあります。これらのFundsのメリットは、ソーシャルレンディング投資家にとってもメリットになります。

今回の業務提携は、伊藤忠にとっては拡大が期待される分野への将来的な投資の意味合いが強いと言えます。同社は2015年にはすでにクラウドクレジットに出資していました。今後はFundsに続いて他のソーシャルレンディング会社への出資もあるかもしれません。

伊藤忠などの大手企業がソーシャルレンディング業界に携わることで、不祥事のニュースが目立つソーシャルレンディング業界が信用を回復し、投資家にとってより安全な投資先が増えていく日も近くなることでしょう。

伊藤忠やベンチャーキャピタルがどのようなソーシャルレンディング会社に投資していくのか、これからの動向に注目したいものです。

The following two tabs change content below.
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチームは、ソーシャルレンディングや金融知識が豊富なメンバーがソーシャルレンディングの基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」