BIS(国際決済銀行)は9月16日、Facebookが主導する仮想通貨プロジェクトLibraの担当者と金融当局がスイス・バーゼルで会合を開いたと発表した。報道によれば、G7中央銀行の作業部会を主導するECB(欧州中央銀行)のクーレ専務理事は「Libraのようなステーブルコインは深刻なリスクをもたらす」と指摘をしたという。
クーレ氏は、Libraが世界的な決済システムというスケールにおいて必要となるテストがされておらず、当局からは規制への対応が強く求められていると語った。会合では、ステーブルコインによってもたらされる規制の問題についても議論され、Libraが多くの深刻なリスクを引き起こす可能性があることから、規制当局によるLibraの承認基準は高くなるとした。フランス、およびドイツもユーロ圏財務大臣会議でLibraが金融の安定とさらには金融主権にリスクをもたらすとしており、7月にはG7が規制上の懸念が全て解決される必要があるとしている。
規制当局の厳しい姿勢の一方、Libraは今回の面会について「建設的だった」としており、中央銀行や規制当局と協力することを約束したとしている。Libraはブロックチェーンが新しい技術で金融システムとどのように適合するかを慎重に検討する必要性についても言及している。今やLibraプロジェクトの代弁者とされるデイビット・マーカス氏は、Libraは新しい通貨の創造ではなく、既存の通貨の上で実行される支払いネットワークになるよう設計されており、金融権力に対する脅威ではないと述べている。
各国はLibraに対して厳しい姿勢で臨む状況が続いている。もちろん、Libraのようなステーブルコインを歓迎する声もあるが、通貨発行益をもつ国々がLibraを容易に承認するとは考えにくい。規制がどのように構築されていくのか、今後の動きに注視していきたい。
【参照記事】FBや中銀がリブラ議論 承認のハードル「高い」
立花 佑
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