投資型クラウドファンディングでは特定の事業や企業、不動産に間接的に投資することが可能です。ただし、株式投資のように売買が自由に行えず、運用期間中は資金がロックされてしまうというデメリットがあります。
一部のサービスを除いて途中解約や権利の譲渡ができないため、ファンドの運用期間について熟慮しておかないと、さまざまな弊害が出る可能性もあります。
そこで今回は投資型クラウドファンディングの運用期間の目安について紹介します。また、運用期間の長短によるメリットとデメリット、途中解約ができるサービスについても解説しますので、参考にしてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 投資型クラウドファンディングとは
1-1.融資型クラウドファンディング
1-2.株式型クラウドファンディング
1-3.不動産投資型クラウドファンディング - 投資型クラウドファンディングの運用期間の目安
- 運用期間が短い投資型クラウドファンディングのメリット
3-1.投資リスクを抑えられる
3-2.投資先を流動的に変更できる - 運用期間が短い投資型クラウドファンディングのデメリット
4-1.投資効率が悪くなる
4-2.投資に適した案件がいつもあるとは限らない - 運用期間が長い投資型クラウドファンディングのメリット
5-1.長期的なリターンを期待できる
5-2.投資にかかる時間やコストを削減できる - 運用期間が長い投資型クラウドファンディングのデメリット]
6-1.市況の変化の影響を受けやすい
6-2.他の投資対象に資金を移せない - 途中解約ができる投資型クラウドファンディング
- まとめ
1.投資型クラウドファンディングとは
投資型クラウドファンディングとは、クラウドファンディングの種類の1つで、さまざまな事業に投資して分配金などのリターンを得ることを目的にした投資方法です。
投資型クラウドファンディングには主に下記のものがあります。
- 融資型クラウドファンディング
- 株式型クラウドファンディング
- 不動産投資型クラウドファンディング
1-1.融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)は、事業者が投資家から募った資金を企業に融資するタイプのクラウドファンディングです。返済される利息から発生した分配金がリターンとなります。
1-2.株式型クラウドファンディング
株式型クラウドファンディングは、事業者が投資家から出資を募り、未上場企業やベンチャー企業に出資をします。出資した企業の未公開株をリターンとして受け取り、企業がエグジット(M&AやIPO)を達成した場合、未公開株の売却益を期待できます。
1-3.不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングは、投資家から集めた資金を元手にして、事業者が不動産の取得・運用を行います。不動産の賃料収入から支払われる分配金がリターンとなります。
2.投資型クラウドファンディングの運用期間の目安
投資型クラウドファンディングで提供されるファンドには、運用期間が設定されています。運用期間はファンドによって異なり、投資家は自分の状況やポートフォリオに合ったファンドを選択することが重要なポイントとなってきます。
また、運用期間はクラウドファンディングの種類によっても多少違いがあります。融資型・不動産投資型・株式型それぞれの運用期間の目安は下記の通りです。
- 融資型:数ヶ月~3年程度
- 不動産投資型:3ヶ月~2年程度
- 株式型:運用期間の設定なし(エグジットが条件となるため)
融資型クラウドファンディングの運用期間は、短いものなら数ヶ月から6ヶ月程度、長いものなら1年から3年程度となります。融資型クラウドファンディングでは、融資先企業が返済を前倒しすることで早期償還となることも多く、実際の運用期間は短くなることがあります。
不動産投資型クラウドファンティングの運用期間は、短いもので3ヶ月程度~1年程度、長いもので2年~3年程度のものがあります。
一方、株式型クラウドファンディングでは、特定の運用期間は設定されていません。というのもリターンとして受け取れる未公開株はエグジット(M&AやIPO)によって株式を売却しない限り利益が発生しないためです。
実際にエグジットを達成した企業の数は少なく、達成できたとしても出資した時点で運用期間は知ることはできません。
3.運用期間が短いファンドのメリット
運用期間短いファンドのメリットは以下の通りです。
- 投資リスクを抑えられる
- 投資先を流動的に変更できる
3-1.投資リスクを抑えられる
投資型クラウドファンディングのリスクとして、多くのサービスやプラットフォームで途中解約に対応していないことが挙げられます。
このようなリスクがある中、運用期間が短い場合、経済状況や市況などが劇的に変化する可能性は低くなり、大きな損失に繋がりにくいといえます。
3-2.投資先を流動的に変更できる
投資先を流動的に変更できるのも、運用期間が短いファンドに投資するメリットです。
運用期間が短いということは、投資資金が戻ってくるまでの時間が短いということでもあります。例えば、運用期間中により良い投資先を見つけたとして、運用期間が短いと償還された投資資金を別の投資先に早く回すなどの方法も検討することができます。
4.運用期間が短いファンドのデメリット
運用期間が短いファンドを利用するデメリットは下記の通りです
- 投資効率が悪くなる
- 投資に適した案件がいつもあるとは限らない
4-1.投資効率が悪くなる
運用期間が短いファンドでは、投資効率が悪くなるというデメリットがあります。
投資型クラウドファンディングでは、投資先への入金から実際の運用開始までかかる日数や、運用終了から口座に資金が戻ってくるまでに日数がかかります。それぞれの日数が2週間かかったとした場合、運用期間(=資金の拘束期間)に対して1ヶ月のロスが発生し、その間は資金が運用されないことになります。
4-2.投資に適した案件がいつもあるとは限らない
短期運用のファンドを利用した投資を行う場合、投資効率を上げるためには新しいファンドを探し続ける必要があります。
ただし、ファンドの運用が終わるタイミングで、次の投資対象となるファンドが見つかるとは限りません。ファンドが見つからない期間は、投資資金を遊ばせてしまうことになります。
5.運用期間が長いファンドのメリット
運用期間が長いファンドのメリットは下記の通りです
- 収入を期待できる
- 投資にかかる時間やコストを削減できる
5-1.長期的なリターンを期待できる
運用期間が長いファンドは、貸し倒れやデフォルトのなどが発生しない限りは長期的なリターンを期待できるというメリットがあります。運用期間が長ければ長いほど、分配金を得る期間も長くなるためです。
ただし、運用期間が長い分、経済状況や市況の影響を受けるリスクは高まるので注意しましょう。
5-2.投資にかかる時間やコストを削減できる
投資型クラウドファンディングの大きなメリットの一つに、一度投資をすれば運用修了後に元本が償還されるまで特にやるべきことがなく、運用にかかる手間が非常に少ないという点があります。
運用期間が長いファンドに投資した場合、新しいファンドを探す手間も少なくなり、さらに投資にかかる時間やコストを削減することに繋がります。
6.運用期間が長いファンドのデメリット
運用期間が長いファンドのデメリットは下記の通りです
- 市況の変化の影響を受けやすい
- 他の投資対象に資金を移せない
6-1.市況の変化の影響を受けやすい
運用期間が長いファンドは、市況の変化の影響を受けやすいというデメリットがあります。
投資を行う際は将来的な経済状況なども考慮して判断を下す必要がありますが、運用期間が長期になるほど、明確に予測することが難しくなっていきます。
運用期間が長いファンドへ投資する場合、事業や運用の先行きについて判断しなければならない変数が増えるため、投資家にとってのデメリットとなり得ます。
6-2.他の投資対象に資金を移せない
運用期間が長いファンドへの投資では、投資資金を他の投資対象に移しにくいというデメリットがあります。
運用期間が長いと、投資資金が拘束される期間も長くなります。また投資型クラウドファンディングの多くのプラットフォームでは、原則として途中解約ができません。そのため、一度投資をしてしまうと、その資金を他の投資や消費活動に利用することが難しくなります。
7.途中解約ができる投資型クラウドファンディング
投資型クラウドファンディングのプラットフォームのなかには、 途中解約ができるサービスがあります。ここでは途中解約に対応している2つのサービスをご紹介します。
- COZUCHI(コヅチ)
- 大家どっとこむ
「COZUCHI」はLAETOLI株式会社が運営している不動産投資型クラウドファンディングです。COZUCHIでは、COZUCHIも会員登録後のマイページより案件運用途中でのキャンセルが可能です。ただし、案件によっては手数料の支払いが発生するケースがあるため注意しておきましょう。
【関連記事】不動産投資型クラウドファンディングCOZUCHIの評判は?メリット・デメリットや登録手順も
「大家どっとこむ」は、2020年12月に開始した株式会社グローベルスが運営する不動産投資型クラウドファンディングです。大家どっとこむでは、案件の運用中であってもSTOスキームを用い、出資持分を他者に譲渡できる点が特徴的です。
【関連記事】大家どっとこむの評判・口コミは?メリット・デメリットや始め方も
なお、上記のサービスはどちらも間接的に不動産へ投資を行う不動産投資型クラウドファンディングとなっています。
融資型クラウドファンディングでは、クラウドファンディングを介して集めた資金を特定の企業や事業に融資を行い、貸付金利による収益が分配金の原資となります。一括返済による早期償還の可能性はありますが、返済が行われないと元本の回収ができないため、投資家側から途中解約をすることができません。
株式型クラウドファンディングサービスでも、非上場企業の株式を譲渡することは非常に難しく、運用途中の換金は難しいといえます。さらに、多くの非上場企業は株式に譲渡制限をつけており、この場合は企業に無断で株式を売買することはできません。
このような背景があることから、比較的に他者へ権利の譲渡がしやすい不動産投資型クラウドファンディングでは、途中解約ができる案件が提供されることがあります。ただし、不動産投資型クラウドファンディングの中でもキャンセル可能なサービス・案件は一部となっており、多くのプラットフォームではキャンセルができない契約内容となっていることに注意しましょう。
まとめ
今回は投資型クラウドファンディングの運用期間の目安や途中解約ができるサービスについて紹介しました。投資型クラウドファンディングのファンドの運用期間は3ヶ月程度の短いものから、3年程度の長いものまでさまざまです。
投資家は運用期間を自由に選択できるため、運用期間の長短により発生するメリットやデメリットを理解しておくことが大切です。資金を一つの案件に集中させず、バランスをとった案件選びを検討されてみると良いでしょう。
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山本 将弘
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