「エクイティファイナンスを通じて日本経済を元気に」ファンディーノマーケットが描く未来の金融の形

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成長著しい様々なベンチャー企業に少額から投資できる株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」。株式購入後は数年以上の保有が必要となる流動性の低さが課題となっていましたが、2021年12月8日に未上場株式のマーケット「FUNDINNO MARKET(ファンディーノマーケット)」の提供を開始しました。2022年1月末にはサービス開始後初となるマッチング期間が終了し、7.8倍の値上がり事例も発生するなど投資家からの関心が高まっています。

今回は、株式会社ファンディーノのCMOである向井 純太郎さんに、ファンディーノマーケットについての利用状況や取引の仕組み、今後の展望などについて詳しくお話をお伺いしました。未上場株への投資やクラウドファンディング投資に関心がある方はぜひご参考下さい。

話し手:株式会社ファンディーノ CMO 向井 純太郎氏

    2001年上智大学理工学部卒。日本ヒューレットパッカードにて、金融機関向けにエンジニア、コンサルタント、プロジェクトマネージャーとして従事した後、2011年にライフネット生命に入社。システム企画を経てマーケティング部にてWEBマーケティングを担当。その後、お申込みサポート部部長として、CX(カスタマーエクスペリエンス)を強化。国内生保初のLINEサービスの立ち上げ等に従事。2018年に株式会社GRCSにて、BtoBマーティングと採用チームを立ち上げる。2019年株式会社日本クラウドキャピタルに入社。CMOとして広報・マーケティングの業務を行う。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄などへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

記事目次

  1. ファンディーノマーケットの利用状況について
  2. 他の証券会社の株主コミュニティとの違いは?
  3. ファンディーノマーケットでの取引の仕組みや注文などについて
  4. 第1期の取り扱い企業や取引事例について
  5. 今後のサービス改善や中長期での計画について
  6. ファンディーノマーケットの利用を検討されている方へ
  7. 編集後記

Q.ファンディーノマーケットを開始されてからの投資家さんや企業さんのご利用状況はいかがでしょうか?

状況としては立ち上げ当初に想定していた動きに近しいものになっています。ファンディーノマーケットは「まずはスモールに始めてオペレーションをしっかり確立させよう」というところで始めさせていただいており、日本で初めてのサービスになりますので、皆様に知っていただいて使っていただくということが大切だと思っています。

未上場株の売買ができる「ファンディーノマーケット」

未上場株の売買ができる「FUNDINNO MARKET」

ファンディーノマーケットは、株主コミュニティという制度を利用しているため、上場企業の株式投資に慣れている方にとっては仕組みやサービスが使い慣れない・使いにくいという面があり、ユーザーの皆様に慣れていただく期間というのは必要だと考えています。

FUNDINNO MARKETと上場株マーケットの違い

Q.現在のファンディーノマーケットの銘柄数やご利用者数はどれぐらいでしょうか?

まずはコミュニティ周りの統計情報についてお話させていただきます。日本証券業協会さんでもオープンになっている情報ですが、私の方で概略をつかみやすいように加工してあります。株主コミュニティ制度は2015年から始まっていて、取引額としてはだいたい月平均5億円ぐらいで推移しているような制度になっています。

店頭取引での約定金額

以下は各会社が取り扱っている銘柄数です。我々は12月から参入しており、1月末までの2ヶ月で5銘柄扱っております。

株主コミュニティの組成数

そういった中で、株主コミュニティの参加者数は2022年1月28日時点で、当社で約1000人弱がご登録いただいているような状況になっています。

株主コミュニティの参加者数

今は、今村証券さんやみずほ証券さん、みらい證券さんが横並びぐらいで多いのですが、ぜひここ2、3ヶ月ぐらいで銘柄数や参加者数を増やして、この領域でNo.1だと言えるようにしていきたいと思っています。

Q.他の証券会社さんの株主コミュニティとは何か違いがあるのでしょうか?

一番大きいところは、株主コミュニティという制度が元々はインターネットでやる想定ではなかったので、当社のファンディーノマーケットが唯一インターネットで取引できる(※2022年2月時点)という点です。他の会社さんの株主コミュニティで取引する際は対面やお電話でのお申し込みになるかと思います。

また、審査の面では、企業様がファンディーノマーケットをご利用いただくに際は、ファンディーノと同じレベルの審査(※注)を通過する必要がありますので、弊社がしっかりと審査させていただいた企業様のみがファンディーノマーケットをご利用可能となっています。

※注 ファンディーノでは、株式の発行・募集を希望する企業に対して審査を実施しています。企業や事業に対して詳細な調査とリスクの洗い出しを行い、その審査方針も「将来的にスケールする可能性のある会社かどうか?」「革新性はあるか?」「独自性はあるか?」といったような明確な基準となっています。審査を担当するのは会計士など専門知識を有する者を中心とした専門家チームで、その後の審査会議においては多数決ではなく、会議メンバー全員一致で決定する、という厳しい基準で審査を行っており、審査の通過率は現状5%程度となっています。

Q.取引の仕組みや注文の流れなどについて、詳しくご教示ください

まず、株主コミュニティでの取引は上場企業の株のように常にリアルタイムでお取引がされていくようなものではありません。基本的にご注文はいつでもできますが、マッチング期間というものを設けており、1ヶ月に1回、1週間程度の期間があります。その期間でマッチングがされて初めて取引が完了するようなイメージになっています。

そのため、注文を出してから取引が成立するかどうかがわかるまで結構なタイムラグがあり、投資家の皆様からすると少しじれったいところもあるかと思いますので、その辺は申し訳ないなと思っております。

FUNDINNO MARKETでの取引サイクル

注文を出す上で重要な判断材料となる最新の企業情報については、ファンディーノマーケットのログイン後の画面で各企業の株主コミュニティに参加をしていただくと、その企業のプレスリリースやメディア掲載情報、事業提携情報など企業の最新ニュースを拾ってくる機能をご提供させていただいています。また、BS・PLといった財務三表なども掲載していますので、かなりリッチな企業情報を確認できるようになっています。

現在の注文価格については、株主コミュニティごとに注文を問い合わせていただくことで、弊社からメールが送られてきて現在の最新の注文状況が見れるようになります。また、取引価格については買い注文・売り注文のうち、先に発注が行われた注文価格でマッチング相手が探されます。たとえば、最初に2000円で売り注文が出された場合、その後に買い注文が1900円、2100円、2500円の順で入ったとすると、2100円で買いを入れた方がマッチング相手となり、価格については一番初めの売り注文で出された2000円が取引価格となります。第1期(2022年1月末時点)の取引では最大で7.8倍の価格で売却ができた方もいらっしゃいました。

なお、各企業の取引実績について、先月いくらで取引されていたのかという情報を見ることも可能です。さらに重要な判断な材料の一つとして、企業のこれまでの株価推移(登記情報から確認し、ファンディーノ以外での資金調達や分割なども加味したもの)の情報も確認できます。株式発行の登記簿を取り寄せて、それをご自分で整理して、というのは個人投資家の方には負担が大きい作業になるかと思いますので、ぜひご注文前に活用いただければと思います。

Q.第1期で取り扱いのあった企業は、どういう経緯で今回募集をすることになったのでしょうか?

まず弊社から発行者の皆様に、「ファンディーノマーケットで個人投資家間での売買をできるようにします」というお話をご連絡させていただきました。それに対して、IRに特に力を入れてらっしゃる会社様がお手を挙げられたという次第です。また、最初にお手を挙げられた企業様は財務の健全性も非常に高かったという印象があります。

ファンディーノマーケット第1期の取り扱い銘柄

ファンディーノマーケット第1期の取り扱い銘柄

弊社としても、ファンディーノの発行企業様のうちIPO実績があるのはまだ1社だけ(※2021年3月に琉球アスティーダスポーツクラブが東京証券取引所「TOKYO PRO Market」に上場)で、投資家の皆様にイグジットの機会を提供することは重要だと思っていましたので、そういった意味で、今回のファンディーノマーケット第1期の取引完了を終えたことで、やっとスタートラインに立てたかなと考えています。今後も月に1回マッチングがありますので、また良いご報告をしていくことができればと思います。

また、これは2022年3月以降に予定しているのですが、私達からアナリストレポートというものを出して、その企業に対する第三者的な視点でのレポートをご提供することで、投資家の皆様に役立つ情報として使っていただければと考えています。未上場株のアナリストレポートは現在世の中には出回っていないものだと思いますので、初めての取り組みとして出させていただこうかなと思ってます。

Q.今後のサービス改善や中長期で計画していることについてもお聞かせください。

まずは皆様に使っていただけるサービスにしていきたいので、今は月に1、2銘柄というペースで増やしていく予定なのですが、2023年ぐらいからもう少し銘柄数を増やしていきたいと思っています。

また、皆様に使っていただくには、サービスとしての使いやすさも重要と考えています。その点については2つありまして、1つはセカンダリーマーケットということで、投資家の皆様が色々な銘柄を売買できるようになるためには、企業側にとってもファンディーノマーケットがもっと魅力的になる必要があると思っていますので、発行市場として資金調達ができるという機能も2022年中に実装する予定で考えています。

もう1つは、個人投資家の皆様だけではなく、法人の投資家の皆様も今年の夏か秋ぐらいにはご利用できるようにしていきたいなと思っています。M&Aとまではいかないのですが、ファンディーノマーケットを通じて企業の株式を取得することができるようにしていきます。また、法人投資家様の保有株をファンディーノマーケットで売り出せるようにしていければとも考えています。法人投資家が株を売り出す理由は、いくつかあるのですが、中にはファンドの償還期限が近づいていて「そろそろ手放したいな」というケースもありますので、もしその投資先が順調に推移している会社さんであれば、個人投資家の方にとって魅力的な投資機会になってくると考えています。

上記以外にも、私達が「ぜひやりたい」と思っていることがありまして、もちろん相手があってのことなのですが、ファンディーノマーケットに「誰もが知っているあの会社が!」と言っていただけるように、上場間近と言われているような有名ベンチャー企業さんや、最近当社でも応援を始めたソーシャルベンチャーさん、上場しないと決めていらっしゃる大企業さん、他にも全国の中小企業さんなどにもぜひお使いいただきたいと考えています。

特に、地域経済を支える全国の中小企業の皆様には、融資以外にもエクイティファイナンス(※新株発行による資金調達)という資金調達手段を活用していただきたいという思いがあります。これによってエクイティファイナンスもどんどん広まっていきますし、日本全国に元気になってほしいので、ぜひ地方からも元気な企業がいっぱい入ってきて活躍してくださるようなエコシステムを作っていきたいなと思います。

安定している中小企業さんであれば配当を出すということもできるかと思いますので、例えばこれまで融資手数料として支払われていたコスト分を投資家さんに配当や株主優待として還元していただくことで、中小企業の皆様にとってもエクイティでより柔軟な資金調達を実現しつつ、新たな応援者層も獲得していけるのではないかと考えています。

Q.ファンディーノマーケットの利用を検討されている方にメッセージをお願いいたします。

ファンディーノマーケットでは現在、株主コミュニティの運営にかかる費用や投資家様にとっての有益な情報の提供を続けていくために登録料(月契約1,100円・税込/年契約11,000円・税込)を設定させていただいているのですが、この登録料や売買手数料(売買代金の5.5%・税込)などが無料となるキャンペーンを2022年6月末まで実施しています。中を覗いていただいたりしながら価値があるかどうかを判断していただければと考えています。

登録料などについては正直なところ「料金が高い」というお声も頂戴しており、キャンペーン期間中にご利用をいただいたユーザーの皆様からのお声をもとに、今後適切な課金形態・金額を判断していければと考えています。上場企業の取引と比べるとかなり違う部分もありますが、ぜひ楽しんでファンディーノマーケットの情報に触れていただいて、サービスの使い勝手が悪いところはフィードバックしていただければ改善していきたいなと思っております。

我々としては日本経済を活性化していきたいという想いでこのサービスを立ち上げましたので、ぜひ投資家の皆様とともに良いサービス、良いプラットフォームへと改善していければ幸いです。

編集後記

向井さんからお話を伺うなかで、ファンディーノマーケットはファンディーノの発行企業の売買だけを行う場にとどまらず、日本のすべての未上場企業と投資家をエクイティファイナンスという手段でつなぐ金融プラットフォームとしての可能性を強く感じました。

未上場企業の中には、上場することに価値を感じていないという企業や「上場はデメリットのほうが大きい」と感じている企業も少なくありません。一方で、投資家としてはIPOやM&Aといった形でないとイグジットが難しいという課題がありました。今後、ファンディーノマーケットの利用が増えれば、投資家は上場を目指さない企業にも投資がしやすくなり、企業側にとっても上場・M&A以外でイグジット手段のグラデーションが生まれることになります。

また、国内の中小企業に関しては、安定した黒字経営で地域経済を支えているにも関わらず、創業者や経営者が高齢化していることもあり廃業を余儀なくされるケースも増えています。こうした企業がエクイティファイナンスを通じて多様な投資家とつながりをもつことができれば、投資家は地域の未上場企業を応援しながらリターンを得ることができ、企業側は新たな後継者との出会いやこれまでにはない事業存続の道なども見えてくるのではないでしょうか。

未上場株への投資を検討されている方はもちろん、地域経済の活性化や全国の中小企業を応援したいといった方も、ファンディーノマーケットの今後の動向にぜひ注目してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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