ソーシャルレンディングサービスを提供する「クラウドバンク」が、2020年10月に新規ファンドとして「米ドル建分散型先進国ローンファンド」の提供を始めました。
クラウドバンクは、2013年10月にサービスを開始し、2021年2月時点でファンドへの応募金額1273億円超、デフォルト率0%(2020年12月末時点)、平均利回りは7.09%(※2019年3月末までの3年間に運用したファンド実績)となっています。米ドル建てファンドは、同社のこれまでの案件と比較してどのような違いがあるのでしょうか。
そこで本記事では、このファンドの特徴やメリットやリスクなどを取り上げていきます。クラウドバンクへの投資や米国ソーシャルレンディング案件への投資を検討されている方はご参考下さい。
クラウドバンク
サイト名 | クラウドバンク |
URL | https://crowdbank.jp/ |
運営会社名 | 日本クラウド証券株式会社 |
本社所在地 | 東京都港区六本木七丁目15番7号 新六本木ビル 6F |
設立 | 1993年(旧 ディー・ブレイン証券) |
代表取締役 | 神 恭平 |
資本金 | 1億円(平成31年3月31日現在) |
売上高 | 17億9百万円(2019年3月期実績) |
社員数 | 20名(平成29年8月31日時点) |
上場有無 | 非上場 |
サービス開始年月 | 2013年12月 |
参考利回り | 5.80%(※2022年3月末までの1年間に運用終了した税引前のファンド実績値) |
投資金額 | 1万円から |
投資実行額・応募総額 | 1273億円超(2021年2月時点) |
運用期間の目安 | 最短2ヶ月~最長36ヶ月 |
※2021年2月時点の情報となります。最新情報に関しては上記サイトを御覧ください。
目次
- クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドとは
1-1.米ドル建てで運用、償還も米ドル
1-2.複数の事業者へ融資先を分散 - クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドのメリット
2-1.融資先が分散される
2-2.営業者報酬が低く、利益が出る可能性が高い
2-3.融資先を絞って不況対策を行っている
2-4.信頼性の高い担保が設定されている - クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドのリスク、デメリット
3-1.為替差損が発生する可能性がある
3-2.先進国経済の落ち込みの影響を受ける可能性がある
3-3.他の案件と比べて利回りはやや低め - まとめ
1.クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドとは
クラウドバンクが提供する「米ドル建分散型先進国ローンファンド」の概要を見て行きましょう。
1-1.米ドル建てで運用、償還も米ドル
クラウドバンクを通じて投資家が投資した資金は米ドルで運用され、また運用終了後の償還も米ドルで行われます。投資家は資金を償還された後は、自由なタイミングで両替することができます。
1-2.複数の事業者へ融資先を分散
米ドル建てファンドでは、100以上にわたる事業者へのローンにより構成された金融商品取得のために、融資が行われます。特定の事業者に対する融資ではないので、融資先が分散されていることも大きな特徴です。
ローンに組み入れられた事業者の一部でデフォルトが起きても、ファンド全体における影響は限定されており、返済リスクを軽減することが可能となっています。
2.クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドのメリット
次は、クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドへ投資をする際のメリットを見ていきましょう。
2-1.投資先が分散される
米ドル建てファンドは複数のローンが組み入れられた金融商品の取得に使われています
ひとつの融資先だけに限定したファンドの場合、デフォルトが発生すると投資家は大きく資産を減損する可能性が含まれています。しかし、米ドル建てファンドでは投資先が分散され、リスクも分散されている特徴があります。
融資先が分散されることで、企業先で貸し倒れが起きたとしてもそのリスクは一部に限定され、一定の利益を確保しやすくなっています。
2-2.営業者報酬が低く、融資先企業の負担が小さい
クラウドバンクの通常案件の営業者報酬は貸付額の1.5%ですが、米ドル建てファンドにおける営業者報酬は、貸付額に対し0.5%に設定されています。(2021年2月時点)
そのため融資先企業への負担も小さく、デフォルト発生リスクを低くしています。投資家にとっては、利益獲得の可能性が高まると言えるでしょう。
2-3.経済状況に合わせて融資先の組み入れを行っている
2021年現在、アメリカも新型コロナウイルスの流行による経済不況、いわゆるコロナ禍の影響下にあります。これを受け、米ドル建てファンドでは、コロナ禍でも需要が見込める医療、医薬品セクターのローン組入率が高くなっています。
経済状況に合わせてファンドの組入を入れ替えることで、収益を獲得する機会を積極的に狙っていると言えるでしょう。
2-4.担保が設定されている
米ドル建てファンドでは、100以上の企業に対するローンで構成されていますが、その各ローンは設定された担保から優先的に弁済される権利を有しています。
そのため、デフォルトが発生しても担保を処分した資金から優先的に投資元本や利息の返済を受けられます。ただし、投資金の元本返済が保証されているわけではなく、担保以上の損失が出てしまうと元本が毀損してしまう可能性もあるため注意しましょう。
3.クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドのリスク、デメリット
ここまでご紹介したように、様々メリットがあるこのクラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドですが、リスクやデメリットも存在しています。それぞれ見て行きましょう。
3-1.為替差損が発生する可能性がある
クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドは、米ドルで運用されます。そのため、案件の運用が成功しても為替変動の状況次第で為替差損が発生する可能性があります。
ただし、米ドルで償還されるため、自分で両替のタイミングを任意で選ぶことができます。相場が自分に有利に変動したところで日本円に両替すれば、為替変動益を狙うことも可能です。米ドル建てファンドでは、円と米ドルの為替状況にも注意しておきましょう。
3-2.先進国経済の落ち込みの影響を受ける可能性がある
米ドル建てファンドでは、融資先が全てアメリカや欧州などの先進国となっています。アメリカやヨーロッパは、新型コロナウイルス流行の影響による経済の影響が非常に大きく、GDPも2020年後半は大きく下落する見込みとなっています。
そのため、アメリカや欧州経済の落ち込みにより、ローンに組み入れられている企業が影響を受けることもありえます。このようなリスクに備え、日本とは異なる経済状況の変化についても把握しておくことが重要です。
3-3.他の案件と比べて利回りはやや低め
米ドル建分散型先進国のファンドの利回りは、2021年2月時点で提供されている案件を見ると、4%から5%の間となっています。
クラウドバンクの他の案件と比べれば、その数字はやや低めと言え、よりリスクをとっても収益性の高い案件を探している方にとっては、検討が難しい水準と言えます。
一方で、利回りがやや低めであり、かつ営業者報酬も0.5%と他の案件よりも低水準であることから、融資先の金利負担が少なく、デフォルト発生リスクは低い案件であると言えます。
ソーシャルレンディング投資では、高利回りであるほど融資先の返済負担が大きくなりデフォルトリスクが上昇していきます。利回りを単純に比較するだけでなく、リスクとリターンのバランスをとりながら、慎重に検討してみましょう。
まとめ
クラウドバンクの米ドル建分散型先進国ローンファンドは、複数のリスク対策が行われている資産保全性の高いファンドだと言えます。
しかし、米ドル建てであることから、為替リスクやアメリカ国内の経済状況の影響を受ける点には注意が必要です。
ファンドの融資先がアメリカや欧州の企業となるため、新型コロナウイルスの影響や、米を中心とした先進国経済の先行きにも警戒しておきましょう。
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