ソーシャルレンディングのクラウドクレジットが決算を発表。その内容は?

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海外の案件を専門に取り扱っているソーシャルレンディング会社、クラウドクレジット。他のソーシャルレンディング会社にはない特徴を持った会社として、テレビ番組に取り上げられたり、自社でもテレビCMを放送したりするなど、積極的に広報活動を展開しています。

また、社長の杉山智之氏は著書も出版していて、ソーシャルレンディング会社の社長の中でも情報の発信に取り組む姿勢が顕著に伺えます。そういった点から、今、注目を浴びる国内のソーシャルレンディング会社の一つと言えるでしょう。

そのクラウドクレジットが6月4日に、2018年12月期の決算を発表しました。その内容を確認してクラウドクレジットの現状などを読み取っていきたいと思います。

クラウドクレジット

サイト名 クラウドクレジット
URL https://crowdcredit.jp/
運営会社名 クラウドクレジット株式会社
本社所在地 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル802
設立 2013年
代表取締役 杉山 智行
資本金等 20億8,454万6千円(2018年11月30日時点)
売上高 非開示
社員数 38名(2018年2月調査時点)
上場有無 非上場
サービス開始年月 2014年6月
参考利回り 5.7%~12.4%
投資金額 1万円から
投資実行額・応募総額 220億7,109万円(2019年9月時点)
運用期間の目安 最短7ヶ月~最長66ヶ月

※2019年9月時点の情報となります。最新情報に関しては上記サイトを御覧ください。

目次

  1. 2018年12月期は5.6億円の赤字
    1-1.クラウドクレジットの決算は前期より赤字が増大
    1-2.クラウドクレジットは高コスト体質?
  2. クラウドクレジットは企業の出資を積極的に受けている
  3. クラウドクレジットの今期の展望は
  4. まとめ

1.2018年12月期は5.6億円の赤字

クラウドクレジットが6月4日に発表した決算は、こちらのリンクから確認できます。

また、2018年12月期における連結決算の資料サマリーも、こちらから確認できます。

1-1.クラウドクレジットの決算は前期より赤字が増大

発表された決算の内容を見ると、2018年12月期の赤字は約5億6,000万円となっています。前期にあたる2017年12月期の赤字が約1億9,600万円だったことから、残念ながら赤字は増大しています。

また、赤字の累計額を示す利益剰余金が▲13億4,800万円と、これも2017年12月期よりも大幅にマイナスが増大しています。

1-2.クラウドクレジットは高コスト体質?

原因として考えられるポイントは二つあります。まずソーシャルレンディング会社の中で、クラウドクレジットはかなり規模の大きな会社であり、社員数が多いことです。

こちらのリンクから採用情報を見てみると、社員数は55名となっています(2019年6月19日時点)。他のソーシャルレンディング会社と比べてもかなり社員数が多く、常に様々なポジションの求人情報を出しています。積極的に人材を採用する点は企業として評価に値しますし、攻めの姿勢を崩さない社風だと言えなくもないのですが、社員を増やすと必然的に人件費がかさみます。

そして、広告宣伝費などもかなりの負担になっています。先のリンクにあった連結決算における収支の内訳を見てみると、人件費・広告宣伝費・支払手数料・支払報酬料等が含まれる一般管理費が8億5,700万円となっています。

販売管理費が膨らんだ理由には、2018年に放送したテレビCMの影響もあると思われます。前期と比較した数値はわかりませんが、けっして小さくない金額と言えるでしょう。

一方で、同社の営業者報酬は2億6,000万円です。また、外国通貨の利息収入が1億4,300万となっていて、この2つが主な売上です。それらに対し、一般管理費が8億5,700万というのは、どう見ても肥大した金額になっています。売上高はファンド寄与までを含めれば9億500万円ですが、その数字を含めたとしても一般管理費の額は大きいと言わざるを得ません。

2.クラウドクレジットは企業の出資を積極的に受けている

売上に対してこれほど管理費が多く、赤字が続いている場合、通常の企業であれば倒産の危機から逃れられないかもしれません。しかし、クラウドクレジットは積極的にベンチャーキャピタルや大手企業の出資を受けるなど、資金の調達に成功しています。

例えば2018年11月30日には、以下の発表を行っています。

・マネックスグループ株式会社の子会社、マネックスベンチャーズ株式会社(既存株主)
・ヤフー株式会社の子会社、YJキャピタル株式会社が運用するYJ3号投資事業組合
・ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の子会社、ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社を有限責任組合員、グローバル・ブレイン株式会社を無限責任組合員とするSFV・GB投資事業有限責任組合
・SBIホールディングス株式会社の子会社であるSBIインベストメント株式会社が運用するSBIAI&Blockchain投資事業有限責任組合

同社は上記の4社から7.5億円の資金調達に成功しています。2018年9月分と合わせれば、総額は8.8億円に達しています。これだけの資金調達に成功した理由としては、証券会社や外国の金融機関での勤務経験がある杉山社長の人脈と言えるかもしれません。

また、積極的に役員の採用なども行っていて、そういった人材が抱える人脈が資金調達に寄与していることも想像できます。資金調達が得意という点は、他のソーシャルレンディング会社との競争において優位に立つことにつながりますので、まさにクラウドクレジットならではの強みと言えるでしょう。

3.クラウドクレジットの今期の展望は

そのように好調なクラウドクレジットですが、先ほどの連結決算報告書の中では以下のような記載を行っています。

1-3月については、ファンド販売額は計画値を下回ったものの、収益性の高いファンドの貢献で売上高は対計画値で上振れ致しました。また、費用面においては、投資効率をより厳密に意識した運営を行うことで、対計画値でコスト削減を実現しております。4月・5月は、3月より増大しつつある償還額の再投資促進活動が功を奏し、ファンド販売額が大幅に伸長しました。結果、今期はこれまで対計画比で赤字幅の大幅な縮小を達成しております。

2019年1月~3月期は当初の予定よりも募集金額が下回ったものの、売上自体は目標を達成しているとしています。また、コスト削減にも成功していて、4月~6月期は売上の目標値を達成しそうな勢いということです。

2018年6月にクラウドクレジットの累計募集金額は、100億円を突破しました。2019年6月上旬時点で198億円超えの販売実績を達成し、同年6月中にも200億円に到達する勢いを見せています。つまり、この1年間で募集金額を100億円も伸ばすことに成功しているのです。

黒字化はまだ達成できていないものの、資金調達により財務状況をカバーしつつ、人材の採用や海外支社の展開による投資案件の確保など、今後の事業の拡大と黒字化への布石は十分に打たれていると言えそうです。

一方で、海外の案件が中心となると、当然に為替変動の影響を受けますし、日本に比べれば、情勢が不安定な国も多くあります。そのため杉山社長は、投資対象の分散を常に提唱しています。クラウドクレジットに投資する中で、投資家としても投資先の分散は心がけなければいけませんし、同時にクラウドクレジット1社のみに投資することの危険性も知っておかなければいけません。

募集実績の伸び率から営業状況を推測する限りでは、クラウドクレジットのソーシャルレンディング事業は上昇傾向にあると言えるでしょう。今後は売上だけではなく、同時に利益も重視していく姿勢を示しています。2019年12月度の単年度決算の発表では、念願の黒字化が達成されているかもしれません。

まとめ

海外案件に特化したクラウドクレジットは、特徴のある方針を持った国内のソーシャルレンディング会社です。しかし、2018年12月期の決算情報は赤字が増大するなど、販売管理費の著しい増加もあって決して楽観できる状況とは言えません。

それでも、多くの企業から出資を受けることに成功していて、クラウドクレジットの事業の将来性に期待する企業が多いことが分かります。累計募集金額の実績は急激に伸びているため、クラウドクレジットの事業自体は順調に推移していると言えるでしょう。

クラウドクレジットがいつ黒字化を達成できるのか、今後は投資家がしっかりと情報の把握に努めていかなければいけません。そして、投資先として妥当かどうかを検討していくと良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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