クラウドクレジットが2019年12月決算を発表、コロナウイルスの影響は?

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クラウドクレジットは高度経済成長のステージにあり、資金需要も旺盛な国のベンチャー事業者に向けた海外案件を専門に取り扱い、5.6%~12.0%(2020年6月時点)と高利回りのサービスを実現しているソーシャルレンディングサービスです。

他の国内のソーシャルレンディング会社にはない特徴を持っているソーシャルレンディングサイトとして、その独自性が投資家からの支持を受けています。

一方、これまでクラウドクレジットは黒字化を達成しておらず、毎年の決算は赤字となっていました。そのクラウドクレジットが2019年12月期の決算を発表しました。

結果はどのようなものだったのでしょうか、決算の内容を確認しましょう。

クラウドクレジット

クラウドクレジット
サイト名 クラウドクレジット
URL https://crowdcredit.jp/
運営会社名 クラウドクレジット株式会社
本社所在地 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル802
設立 2013年
代表取締役 杉山 智行
資本金等 20億8,454万6千円(2018年11月30日時点)
売上高 非開示
社員数 38名(2018年2月調査時点)
上場有無 非上場
サービス開始年月 2014年6月
参考利回り 5.6%~12.0%
投資金額 1万円から
投資実行額・応募総額 297億円超(2020年6月時点)
運用期間の目安 7ヶ月~66ヶ月

※2020年6月時点の情報となります。最新情報に関しては上記サイトを御覧ください。

目次

  1. クラウドクレジットの2019年12月期は3.89億円の赤字
    1-1.2018年12月期以降は赤字が減少
    1-2.2019年12月の売上は増加
    1-3.その他の財務内容も改善
  2. 2020年に入ってからのクラウドクレジット
    2-1.2020年3月期以降の目標額は未達成
    2-2.丸井グループから7億円の資金調達
  3. クラウドクレジットの今後をどのように見るべきか
    3-1.途上国に投資する場合、分散投資を検討する
    3-2.クラウドクレジットの事業者リスクにも考慮も
  4. まとめ

1.クラウドクレジットの2019年12月期は3.89億円の赤字

クラウドクレジットの2019年12月期の決算は、「2019年12月期連結決算資料サマリー」で確認することが可能です。

この決算資料を確認すると、2019年12月期の決算は3.89億円の赤字となっていることが分かります。決算資料のそれぞれの項目について見て行きましょう。

1-1.2018年12月期以降は赤字が減少

「2019年12月期連結決算資料サマリーには、2018年12月期の決算情報も掲載されています。2018年12月期と2019年12月期の主な財務を比較すると、以下の通りです。

下記の表は2018年12月と2019年12月の主な数値を抜粋したものです。それぞれの数値を比較してみましょう。

2018年12月末 2019年12月末
営業貸付金 10,062 12,795
顧客預り金等 12,032 16,215
売上高 1,309 1,847
売上原価 788 699
販売飛および一般管理費 857 892
当期純損益 -504 -389

*単位:百万円

22018年12月期の決算と比較した2019年12月期の赤字は、約1億1,500万円減少していることが分かります。また、ソーシャルレンディング事業の売上原価が減少しながらも売上が増加しています。

これらのことから、売上の増加と原価の減少によりによりクラウドクレジットの財務状況は改善されつつありますが、それでもまだ赤字を解消するには至っていないというのが同社の現状です。

一方で、「【CFOインタビュー】財務のトップが語るクラウドクレジットのこれまでとこれから」によると、クラウドクレジットでは2019年6月に初の単月黒字を達成しています。

黒字を毎月計上すれば、2020年12月期には黒字化が期待できそうですが、以下のような記載もあります。

ファンド販売額は1・2月については、計画を上回るペースで推移しました。

3月に入り、コロナウイルス蔓延による資本市場の混乱に伴い、お客様の投資意欲が減退し計画を下回りました。

2020年1Q(1~3月)の予算は達成しており、特に3月においては ・徹底したコストコントロールの継続 ・付加価値税の戻入 により当社初の単月における当期純利益の黒字を達成しております。 3月以降、事業環境が不透明になっていることから、2020年12月期の見通しについては必要に応じて柔軟に見直す方針です。

これをみると、新型コロナウイルスがクラウドクレジットの売上に大きな影響を与えていることが示唆されています。コロナショック後の売上が今後どのように推移していくのか、注目していきましょう。

1-2.2019年12月の売上は増加

クラウドクレジットの2019年12月決算をみると営業利益が増加していることがわかります。

下記は決算情報の補足の引用です。

貸付先匿名化解除を含む積極的な情報発信・各種キャンペーン展開等によりID登録者数約3.2万→4.3万、出資者数約1.4万→1.9万、預かり資産残高約110億円→147億円と事業規模は大きく成長。

月次のファンド販売額については、2019年12月に約16.8億円を記録し過去最大値を大きく更新。

クラウドクレジットの投資家会員数は大幅に増加し、2019年12月期には単月で16億8,000万円を集めることに成功していていることが分かります

1-3.その他の財務内容も改善

その他の財務内容から、固定費が8億9,200万円と多くなっています。

クラウドクレジットはリトアニアに支社や連結子会社を持ち、案件組成のために海外各国にスタッフを派遣しています。

また、税理士などの専門的なスキルを持った人材を継続的に採用しています。これらを見ると、人件費に経営資源を費やしていることがクラウドクレジットの赤字が続いている原因の1つであると言えるでしょう。

2.2020年に入ってからのクラウドクレジット

2019年の決算だけを見れば、決して悪い状況とは言えないクラウドクレジットですが、投資家会員数および募集金額の増加により好調な状態だとも言えます。

一方で、新型コロナウイルスは全世界に影響を与えており、前述したようにクラウドクレジットでもコロナショックの影響が見られます。ここからは2020年のクラウドクレジットの状況について見て行きましょう。

2-1.2020年3月以降の目標額は未達成

クラウドクレジットの決算情報の中には、以下のようなグラフが記載されています。

(*クラウドクレジット「2019年12月期連結決算資料サマリー」より引用)

このグラフから2020年1月及び2月は目標を達成したものの、3月以降は経済が混迷状況に陥ったこともあり、目標金額に到達していないことがわかります。

先の引用にもある通り、コロナショックがもたらす今後の影響についてクラウドクレジットは、2020年5月時点において把握できないとしています。

株価や為替の状況は2020年6月に入って上昇傾向にあり、コロナショック以前の数字に近づきつつあります。しかし、クラウドクレジットのソーシャルレンディングに関しては、今後どのような状況になるのか、予断を許さないと言えそうです。

2-2.丸井グループから7億円の資金調達

一方で、クラウドクレジットでは2020年5月に丸井グループ及びSFV・GB投資事業有限責任組合から7億円の資金調達に成功したプレスリリース「貸付型クラウドファンディングサービス運営のクラウドクレジット、 丸井グループなどから資金調達、第1回クローズ」を発信しています。

先に掲載した2019年12月期の決算には、丸井グループなどから調達した7億円は盛り込まれていないため、2020年上半期の時点でクラウドクレジットが保有する資金は決算時よりも潤沢であると言えるでしょう。

資金調達に成功し潤沢に資金がある状況であるため、赤字でも倒産に直結するリスクは少ないと考えられます。

ソーシャルレンディングでは事業者が破綻してしまう事業者リスクについて考えることが重要なポイントになります。資金状況が投資家としてはプラスに評価できる要素の1つになるでしょう。

3.クラウドクレジットで投資をする際の注意点

赤字経営が続く中、売上増によって単月での黒字化を達成しつつあるクラウドクレジットですが、2020年に入って発生したコロナショックの影響は大きいと言えるでしょう。

今後クラウドクレジットに投資するときは、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

3-1.途上国に投資する場合、分散投資を検討する

クラウドクレジット社長の杉山智行氏は「投資家は分散投資を心がけてほしい」と、クラウドクレジットのサイト上で呼びかけています。また、2020年に入り同社は、複数の国の案件に一度に投資できる機能を持たせたファンドパッケージの提供を始めました。

今後は分散投資に加えて、より慎重に、どの国がどのような経済状況に置かれているかを見極めながら、途上国だけでなく、比較的経済が安定している国への投資も検討しましょう。途上国の情勢は経済危機によって不安定になりやすく、為替相場の変動幅が大きくなるおそれがあるためです。

3-2.クラウドクレジットの事業者リスクにも考慮も

クラウドクレジットの赤字は2018年12月期よりも減少したものの、累積赤字をまだ解消できたわけではありません。

7億円の資金調達に成功するなど、同社は外部からの継続的な資金調達を行っていますが、外部からの資金調達に失敗すれば、クラウドクレジットの資金繰りは一気に苦しくなる可能性もあるでしょう。

クラウドクレジットの毎月の募集状況を客観的に捉えつつ、投資先としての是非を冷静に判断しましょう。

まとめ

クラウドクレジットは独自に開発した海外の案件を専門的に取り扱う特徴を持つことから、ソーシャルレンディング投資時の分散投資先として是非利用したいと思える会社の1つです。

ただし、これまでに募集した案件の運用実績を見る限りでは、日本国内で運用されるソーシャルレンディングの案件よりも海外の運用案件に返済の遅延やデフォルトなどが目立つため、リスクの回避に分散投資を検討しましょう。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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