ソーシャルレンディングの投資先を選ぶ時は、その会社の事業登録に注意

2018年、ソーシャルレンディング業界では、投資家に対する分配金の遅延などの問題が頻発しました。遅延や貸し倒れは、投資家としては利益を最大にする上でできるだけ避けたいリスクです。

今回は、現在ソーシャルレンディングの領域で起きている問題と照らし合わせて、投資先を見極めるポイントをお伝えしたいと思います。

目次

  1. ソーシャルレンディングの運用には、2つの事業登録が必要
    1-1.第二種金融商品取引業とは
    1-2.貸金業登録とは
  2. 第二種金融商品取引業免許取得事業者に対する監査などの取り組み
    2-1.金融庁の監査が入る
    2-2.定期的にセミナーなどに参加する必要がある
  3. 免許を取得していないソーシャルレンディング業者に起こり得るリスク
    3-1.第二種金融商品取引業に登録していなかったことにより、起きた問題
    3-2.第二種金融商品取引業に登録しているからといっても、安心とは限らない
  4. まとめ

1.ソーシャルレンディングの運用には、2つの事業登録が必要

ソーシャルレンディングを運用するためには、2つの事業登録が必要になります。第二種金融商品取引業免許の取得に伴う事業者登録と、貸金業への事業登録です。

1-1.第二種金融商品取引業とは

2007年9月に定められた第二種金融商品取引業とは、主にいわゆる集団投資を対象とした免許制度です。ソーシャルレンディングにおける第二種金融商品取引業への事業登録は、投資案件を組成して、複数の投資家から資金を募集するために必要となります。

第二種金融商品取引業は第一種金融商品取引業と比べると、参入に関する規制が比較的緩くなっています。第二種金融商品取引業免許取得事業者が可能な事業は、以下のようになっています。

  • 信託受益権の売買
  • 売買の媒介
  • 募集の取扱い(媒介)
  • ファンドの自己募集

*関東財務局「第二種金融商品取引業関係(登録等)」より

そして、登録業者には、法律の遵守や内部管理体制の整備、投資家の保護などが義務付けられています。

また、自主団体として、『一般社団法人第二種金融商品取引業協会』というものがあります。自主的に業界セミナーなどを開催し、市況や法律の扱いに関する情報の共有や、事業登録者の社内管理体制の整備に努めています。

一方で、現在、日本でソーシャルレンディング事業を展開している会社の全てが、第二種金融商品取引業者として登録しているわけではありません。その中で代表的な会社は、maneoマーケットを利用している会社です。

  • LCレンディング
  • ガイアファンディング
  • アメリカンファンディング
  • クラウドリース
  • スマートレンド
  • グリーンインフラレンディング
  • さくらソーシャルレンディング
  • キャッシュフローファイナンス
  • アップルバンク

これらの会社は案件の組成をmaneoマーケット社に委託し、自らは融資を受ける事業者の斡旋及び貸金業務を行っています。

1-2.貸金業登録とは

ソーシャルレンディングのスキームは、「投資」ではなく「融資」です。従って、貸金業登録も必要とされます。

貸金業登録は、本社を置く自治体に対して登録を行います。二つ以上の自治体にまたがっている場合は、国に対して登録を行います。その事業内容としては、以下のような事を行います。

  • 消費者金融業
  • 手形割引業
  • 事業者金融業(不動産担保金融業者等)
  • 貸付業(カード会社や信販会社、百貨店やスーパーなど)

*東京都産業労働局「貸金業の登録とは

第二種金融商品取引業と貸金業の管轄についてですが、第二種金融商品取引業は金融庁財務局、貸金業登録は自治体もしくは国となっています。

逆に言えば、これらの事業に登録していない会社に対しては、監督する立場の組織がありません。そのため、問題が発生したときでも、金融庁による定期的な検査や監査が行われない、または、行えないのです。

2.第二種金融商品取引業免許取得事業者に対する監査などの取り組み

第二種金融商品取引業免許取得事業者に関しては、以下のような義務・特徴があります。

2-1.金融庁の監査が入る

定期的に金融庁の監査が入ります。金融庁の監査では、その会社のこれまでの取引事例や反社会的勢力との交際、社内のコンプライアンス遵守方針の確認や、セキュリティ体制などもチェックされます。この監査により、不祥事が発覚することもあります。

金融庁の監査の結果、実際に問題が発覚したのが、ラッキーバンクやみんなのクレジット、トラストレンディングです。

また、社内でも、第二種金融商品取引業としての研修を行う必要があります。貸金業、金融商品取引業などの法令に関する社内勉強会、及び、知識の定着化などの取り組みもチェックされます。つまり、「法律を知りませんでした」と言い訳ができないようになっています。

2-2.定期的に業界団体のセミナーへの出席も行う

先に挙げたように、第二種金融商品取引業には、業界内の自主団体があります。登録事業者は、業界団体が開催するセミナーに定期的に参加しなければいけません。業界内の問題を知らずにはいられないような体制が、整えられているのです。

また、関連業界の問題をセミナーで学び、自社の取り組みに活かすことも研修では行われますし、不祥事を起こして行政処分を受けた会社の問題点を研修で取り上げることもあります。

3.事業登録を行っていないソーシャルレンディング会社で起こり得るリスク

では、実際に事業登録を行っていないソーシャルレンディング会社には、具体的にどのような問題が起こりえるのでしょうか。

3-1.第二種金融商品取引業に登録していなかったことにより、起きた問題

maneoのホームページを見ると、以下のような記載があります。

  • maneo株式会社「貸金業登録番号」東京都知事(4)第30795号
  • maneoマーケット株式会社「金融商品取引業者」関東財務局長(金商)第2011号
  • maneoマーケット株式会社「加入協会」一般社団法人第二種金融商品取引業協会

*上記は2019年1月時点のもの

maneo社およびmaneoマーケット社は貸金業と金融商品取引業者の登録、さらには、先に挙げた『一般社団法人第二種金融商品取引業協会』に参加していることがわかります。

しかし、問題を起こしたグリーンインフラレンディングのホームページを見ても、企業情報として、貸金業登録番号や金融商品取引業者としての登録番号が記載されていません。

ガイアファンディングのホームページも同様に、貸金業、第二種金融商品の登録番号のいずれも記載されていません。そのため、この2社で問題が発生したときも、金融庁の調査が直接入っているわけではなく、調査の目はmaneoマーケットに向かっているのです。

この2社に関するmaneoマーケットのリリースを見ても、「ガイアファンディグやグリーンインフラレンディングと連絡を取り」という記載がよく見受けられます。つまり、問題が起きても、強制調査の権限を持った組織がなく、問題の解明までに長時間を要することもあるのです。

11月に一斉遅延を起こしたガイアファンディングでは、maneoマーケットを利用して集めたお金を子会社に移動し、その子会社が貸金業免許を取得。そして、アメリカの不動産会社に融資を行っていたという事実をmaneoマーケットが発表しています。

以下、文章を引用します。

利息の遅延を認識して以降、maneoマーケット社は、ガイアファンディング社に対して、
借り手からの返済状況を含む資金の到達状況、遅延の原因、延滞解消の見込みに関する質問への回答を
要請するなどにより情報収集を試みております。
しかしながら、ガイアファンディング社のファンドスキームについては、
現地の最終貸付先への貸付けまでに3社(※)の法人を経由しており、
今般の利息の支払いの遅延が最終貸付先からの返済の遅延なのか、
または、3社のいずれかの法人に資金が滞留しているのかについて、継続して確認をしている状況です。

引き続きmaneoマーケット社は、上記についての確認と共に、
個別ファンドごとの状況についても、具体的な償還及び分配の計画等に関する情報収集に努めて参ります。
※3社の法人とは、ガイアファンディング社の海外の子会社、海外関連会社、米国関連会社を指します。
この米国関連会社を通じて現地の最終貸付先への貸付が行われます。

このように、第二種金融商品取引業に登録していない業者は、問題が発生したときの対応の遅れや、問題が表面化した際のリスクが登録事業者よりも高くなっています。

なお、maneoマーケットは、一連の流れを受けて12月3日に『経営改善委員会』の設置を発表して、具体的な改善内容を提示しています。以下、引用します。

1.経営改善委員会設置の目的経営改善委員会(以下「本委員会」といいます。)には、上記業務改善計画の履行状況を検証していただくとともに、以下の事項についての提言を頂くことといたします。

・営業者選定基準の見直しをはじめとする各種の業務改善策
・金融商品取引業者として十分な業務運営態勢を構築するためのコーポレートガバナンス態勢の見直し

2.委員の構成本委員会の委員は、金融やコーポレートガバナンスに精通した弁護士等の専門家から選定しております。なお、各委員と当社との間には、独立性及び中立性に影響を及ぼすような関係はありません。

委員長 佐藤明夫(佐藤総合法律事務所弁護士)
委員 上條崇(PwCあらた有限責任監査法人シニアアドバイザー)
委員 三浦隆治(株式会社MeUアドバイザーズ公認会計士)

3.今後のスケジュール本委員会からは、平成30年12月末を目途として上記の提言に係る基本方針を提示した上で、平成31年3月末を目途としてかかる基本方針に基づく具体的な提言を行うとのスケジュールが示されております。

ソーシャルレンディング業界最大手としての今後の取り組みや、責任を果たすことを期待したいところです。

3-2第二種金融商品取引業に登録しているからといっても、安心とは限らない

一方、第二種金融商品取引業免許を取得している会社であっても、必ず安心して投資ができるとは限りません。みんなのクレジットにせよ、ラッキーバンクにせよ、第二種金融商品取引業及び貸金業に登録済みでした。それにもかかわらず、問題が起こっています。

みんなのクレジット、ラッキーバンク、トラストレンディングと、グリーンインフラレンディング、ガイアファンディングの違いは、前者は行政処分を受けて問題が発覚したこと、後者は全案件の返済遅延により、深刻な問題が発覚したことです。

第二種金融商品取引業登録事業者でも、問題のあるソーシャルレンディング会社は、複数存在しましたし、金融庁の監査が入るまで問題が発覚しませんでした。そして、最終的には、みんなのクレジットとラッキーバンクは債権をサービサーに譲渡しました。結果として、投資家への返金額はみんなのクレジットがわずか3%、ラッキーバンクも資産価値の高い不動産担保があると謳いながら、実際には30%程度の返済しか行われなかったと発表されています。

まとめ

第二種金融商品取引業に登録していない会社は、問題が起きても監査や調査できる監督元がないため、問題の解決まで長期化する傾向がありますし、根本的な解決自体も不明です。

一方、第二種金融商品取引業と貸金業登録を行っていた会社でも、実際に問題が起きました。返済遅延は債権のサービサーへの譲渡、及び、投資家は大きな痛手を受けるなど、望ましくない形で一応の解決を見せています。

今後は、投資先として利用するソーシャルレンディング会社の条件として、

  • 第二種金融商品取引業を取得している
  • 監査の結果、問題が起きていない、もしくは、問題が起きても改善が行われ、投資家保護の取り組みが行われている
  • 厳しい審査を受けた株式の上場会社

などを満たす会社を選ぶようにすると良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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