2021年現在、ソーシャルレンディングは高い利回りに対して貸し倒れの件数が少なかったことから、ここ数年で資産運用手段の一つとして知名度も上がりメディアでも取り上げられることが多くなりました。
しかし、業界としてはまだまだ発展途上の段階にあり、ソーシャルレンディングの中には過去には官公庁から行政処分を受けたことがあるサービスがあります。ソーシャルレンディング投資を検討する際は、これらソーシャルレンディング特有のリスクについて確認しておくことが大切です。
そこで本記事では、過去に行政処分を受けたことのあるソーシャルレンディングとその処分内容について解説します。ソーシャルレンディング投資を検討されている方はご参考下さい。
※本記事は2021年1月時点の情報をもとに作成されています。ソーシャルレンディングによる投資を検討する際は、最新情報についてご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。
目次
- ソーシャルレンディング会社に行われた行政処分とは
- 行政処分を受けたことのあるソーシャルレンディング
2-1.maneoマーケット
2-2.クラウドバンク - 行政処分を受けたことのないソーシャルレンディング
3-1.CRE Funding
3-2.オーナーズブック
3-3.Funds
3-4.クラウドクレジット
3-5.レンデックス - まとめ
1.ソーシャルレンディング会社に行われた行政処分とは
本記事での行政処分とは、「官公庁など行政を司る機関から業務体制の実効性をもった指導を受けること」を指しています。
ソーシャルレンディングを運営する際には第二種金融商品取引業登録及び、貸金業登録が必要です。そのため、ソーシャルレンディング事業者は問題がある場合、第二種金融商品取引業を管轄する関東財務局から通告や処分を受ける可能性があります。
行政処分を受けたソーシャルレンディング会社は、指摘された問題に対し改善報告などを行わなければ、ソーシャルレンディング業務を運営できなくなる可能性があります。
行政処分が発生する理由は様々ですが、問題がある事業運営を行っているとみなされた場合、処分を受けることとなります。
2.行政処分を受けたことのあるソーシャルレンディング
行政処分を受けたことがあるソーシャルレンディングと、その処分内容を見ていきましょう。
2-1.maneoマーケット
国内最大手の募集実績を持っていた、ソーシャルレンディング会社maneoマーケットは、2018年7月に金融庁財務局から行政処分を受けました。
またmaneoマーケットのシステムを利用していたソーシャルレンディング会社では、多数の返済遅延が発生しています。さらにmaneoマーケット本体での案件募集も、2019年7月から停止状態にあります。
その行政処分理由としてはソーシャルレンディング案件募集に関し、投資家に虚偽の表示をした行為があったとされています。
投資家から集めた資金を分別管理せず、募集内容に記載した用途と異なる内容で、資金を流用していたことが金融庁に問題視されました。またmaneoマーケットは、ソーシャルレンディングプラットフォームを構築し、多数のソーシャルレンディング会社にシステムを貸し出していました。
しかし、maneoのシステムを利用するソーシャルレンディング会社の案件や資金などが適切であるか管理できていなかったことも問題視されました。重大な問題があることを指摘された後に、業務改善や解決が見られなかったことから、現在は募集停止状態となっています。
2-2.クラウドバンク
クラウドバンクは、2014年からソーシャルレンディングを運営しており、2021年1月時点で1,220億円を超える募集実績を持つ、日本国内でも大手のソーシャルレンディングです。
堅調に募集実績を伸ばしているクラウドバンクですが、2015年、2017年の2回にわたって行政処分を受けています。
2015年の行政処分に関しては、顧客からの預かり金を適切に分別管理できていないことを、金融庁財務局に指摘されました。その際には3ヶ月の営業停止処分を受けていますが、システムを中心に業務改善を実行したことにより、その後業務を再開しています。(※関東財務局「日本クラウド証券株式会社に対する行政処分について(平成27年7月3日)」を参照)
2017年の行政処分は、事実に相違する広告を掲示していたということで金融庁財務局から行政処分を受けました。こちらは募集案件へのキャッシュバックキャンペーンを行うという内容の案件で、キャンペーンの手数料が還元されなかったことなどが指摘対象となっています。(※関東財務局「日本クラウド証券株式会社に対する行政処分について(平成29年6月9日)」を参照)
過去に2度の行政処分を受けていますが、その後の業務改善を行い、クラウドバンクは2021年時点で業績を積み重ねています。
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3.行政処分を受けたことのないソーシャルレンディング
ここまで行政処分を受けたソーシャルレンディングとその処分内容について解説しました。次に、過去に行政処分を受けたことのないソーシャルレンディングをご紹介します。
3-1.CRE Funding
2020年2月から運営を開始した、ソーシャルレンディングがCRE Fundingです。FUEL株式会社が運営を行い、東証プライム上場企業の不動産会社、株式会社シーアールイーが案件組成を行っています。
投資額は1万円から、ファンドの運用期間は9ヶ月~12ヶ月程度、利益の分配は3か月毎となっています。また、CRE Fundingの利回りは2.5%~4%程度と他サービスと比べてやや低めですが、その代わりに、株式会社シーアールイーによるマスターリースや保証、物件の担保などが設定されています。
物流不動産案件を専門としているソーシャルレンディングで、行政処分を受けたことは一度もありません。ただし、開設から期間が経過していないという点には注意が必要です。
3-2.オーナーズブック
上場企業100%子会社のロードスターインベストメンツ株式会社が運営するソーシャルレンディング「オーナーズブック」も、行政処分を受けたことがありません。
オーナーズブックに掲載されている全ての案件は、不動産鑑定士を含む不動産投資の専門家が精査したものとなっています。シニアローンとしての貸付やエクイティ投資等まで用意しており、個々の投資家のリスク許容度に応じて不動産の投資タイプを選択することができます。
また、親会社のロードスターキャピタル株式会社は東証マザーズ上場企業です。株式上場企業であることは、企業の業務の遂行におけるコンプライアンスを推し測る際に評価できるポイントと言えるでしょう。
3-3.Funds
Fundsは2019年1月に運営を開始したソーシャルレンディングです。
Fundsは、資産形成したい個人とお金を借りたい企業を結ぶ、国内初「貸付ファンド」のオンラインマーケットです。第二種金融商品取引業者であるファンズ株式会社が、オンライン上で投資家から資金を集め、各分野のプロであるファンド組成企業が借りて企業にお金を貸すという仕組みになっています。
上場企業への融資案件を専門としており、多数の著名企業と業務提携を行っています。Fundsも過去に行政処分を受けたことはありません。
3-4.クラウドクレジット
海外案件を専門に取り扱うクラウドクレジットは、社会的な課題を解決し利益を得る社会的インパクト投資とコモディティや未上場企業の株式を指すオルタナティブ投資を扱っています。
伊藤忠商事が株主で、代表はSMBC証券出身、ロイズ銀行を経て会社を設立しており、ボードメンバーにも金融出身のプロフェッショナルが多数在籍しています。
海外案件を扱うクラウドクレジットも過去に一度も行政処分を受けたことがありません。また、累計報酬金額は300億円を超える実績を持っています。
3-5.レンデックス
不動産案件を専門に取り扱うソーシャルレンディングがレンデックス(LENDEX)です。
レンデックスは、10%近い高い利回りと1年以内の短期案件中心という点が特徴のソーシャルレンディングサービスです。1口2万円から小口で投資を始めることができ、大部分の案件に不動産担保が設定されています。
レンデックスは2017年7月からソーシャルレンディングの運営を始めており、すでに3年を越える実績を持っています。レンデックスも3年の運営歴で一度も行政処分を受けたことがありません。
まとめ
現在日本で運営されているソーシャルレンディング会社の多くは、行政処分を受けたことはありません。関東財務局から業務遂行能力や監視体制、資金管理、案件募集などを問題視されることなく業績を積み重ねています。
またクラウドバンクに関しては、行政処分を2度にわたって受けていますが、その後の業務改善に取り組んだことにより、募集実績を積み重ねることに成功しています。
一方maneoマーケットは、重大な問題があることを指摘された後に、業務改善や解決が見られなかったことから、現在は募集停止状態となっています。
ソーシャルレンディングは他の投資方法と比較して歴史が浅く、事業者リスクや貸し倒れリスクなどもある投資手段です。行政処分に対し過去にどのような対応をしていたかを確認し、投資先の会社の信用性を推し測る参考としてみましょう。
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