米国市場はスターバックスの株価がさえません。2022年4月4日から7営業日連続で売られ、約13%下げています(年初からの下落率は約31%)。
最高経営責任者(CEO)に復帰したハワード・シュルツ氏が早速、自社株買い計画を停止したことで投資家の失望を招きました。インフレが進むなか国内で労働組合が結成される一方、海外では主要市場の中国で新型コロナウィルスの感染が再拡大して成長の足かせとなっています。また、米国内では特色を持ったコーヒーチェーンも新たに台頭してきました。
今回はスターバックスの現状とともに、日本でまだあまり知られていない企業2社を紹介します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年4月12日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
1.200億ドルの自社株買い計画を中止
スタバでは2022年4月4日、経営トップが代わりました。最高経営責任者(CEO)のケビン・ジョンソン氏が退任し、実質的な創業者のハワード・シュルツ氏が今秋までの暫定CEOとして復帰したのです。シュルツ氏の復帰に関しては3月16日に発表があり、同日の株価が前日比5.2%高と歓迎をもって迎えられたはずでした。
ところが、シュルツ氏が実際に復帰すると同時に株価は下がり続けています。昨年10月に公表していた大規模な株主還元策(2022年9月からの3年間に自社株買いと配当で計200億ドル相当を還元する計画)を停止すると決めたからです。
実はこの計画、3月16日にスタバの年次株主総会が開かれた時点では有効でした。ですが、約3週間後に創業者による「鶴の一声」でひっくり返ったのです(参照:Starbucks “Message from Howard Schultz: On the Future of Starbucks“。
2.スタバの概況
自社株買いの停止を主因とする株価の低迷に加え、スタバを取り巻く環境は厳しさを増しています。
海外では中国市場の失速が挙げられます。新型コロナの感染再拡大による店舗の閉鎖や営業時間の短縮などで、2021年10~12月期の既存店売上高は前年同期から14%減少しました。また、今年3月から深センや上海など複数の都市でロックダウンが導入されたことから、前年同期比の減収が続く事態は避けられない見通しです。
一方、国内では一部店舗で労働組合が結成される動きが広がっています。新型コロナのまん延による深刻な人手不足がもたらしたもので、賃上げや労働条件の改善と見直しを迫られている状況です。
シュルツCEOは自社株買いをやめる代わりに、「利益をもっと従業員や店舗に投資する」と理解を求めました。株主優先路線を修正し、従業員の不満を解消する必要があると判断したのだと思われます。
3.スタバを追う新興2社
こうした中、スタバを追いかける新興のコーヒーチェーンが米国で台頭してきました。ダッチブロス(Dutch Bros、ティッカーは「BROS」)とブラックライフルコーヒー(Blakriflecoffee=BRCC、同「BRC」)の2社です。
西部オレゴン州を拠点とするダッチブロスは、2021年9月に上場を果たしました。社名のとおりオランダ系米国人の兄弟が設立した会社で、ドライブスルー形式の持ち帰り販売に特化しています。コーヒーのほか、スムージーや紅茶、オリジナルのエナジードリンクなども販売しています。米西部を中心に2021年末時点で計98店を展開し、売上高は前年比52%増の4億9790万ドルに上りました。
ユタ州に本社を構えるBRCCもユニークな企業です。米国の保守層―主に現職の軍人や退役軍人、警察官、救急隊員など―を顧客として想定しています。創設者自身が元軍人といいます。自社を「メディア企業」と位置付けているBRCCは、コーヒーに加えてTシャツやパーカーなどオリジナルウェアの販売も手掛けています。2021年の売上高は前年比42%増の2億3310万ドルでした。
店舗数は2021年末時点で16とまだ少ないものの、小売店を通じた自社ブランドコーヒーの販売と消費者への直接販売に力を入れています。2022年2月にSPAC(特別買収目的会社)との合併によって上場しました。
まとめ
米国で新しいコーヒーブランドが生まれているとはいえ、スタバのスケールメリットは揺らいでいません。経営陣は2030年までに世界100以上の市場で、ライセンス契約を含め計5万5000店を展開するという目標の達成を目指しています(世界全体の店舗数は2021年末時点で約3万4000店)。
5月3日には2022年1~3月期の決算発表を控えています。68歳のシュルツ氏がアナリストに向けて何を語るのか、またどのような理念を掲げてスタバを率いていこうとするのか、その言動が注目されます。
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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