FXトレードをする上で、多くの方がテクニカル指標を利用しています。トレードを始めた当初は、一つのテクニカル指標を利用していても、徐々に複数のインジケーターを利用するほうが精緻な分析が可能なことがわかるでしょう。
今回は、複数のインジケーターを使用して実際に利益が出やすいテクニカル指標の組み合わせ方法とトレード手法について解説します。
目次
- ウィリアムズ・アリゲーターの使い方
1-1.ウィリアムズ・アリゲーターの概要
1-2.ウィリアムズ・アリゲーターの売買サイン - オーサムオシレーター(AO)の使い方
2-1.オーサムオシレーター(AO)の概要
2-2.オーサムオシレーター(AO)の売買サイン - アリゲーターとオーサムオシレーターを使用したトレード手法
3-1.手順
3-2.ポイントと注意点について - まとめ
1.ウィリアムズ・アリゲーターの使い方
まずは、ウィリアムズ・アリゲーターの概要と使い方を解説します。
1-1.ウィリアムズ・アリゲーターの概要
ウィリアムズ・アリゲーターとは、アメリカ出身のビル・ウィリアムズ氏という有名トレーダーによって発明されたトレンド系インジケーターの一つです。アリゲーターという名称は、3本の移動平均線がワニの口・歯・顎の動きに似ていることから名付けられました。
ウィリアムズ・アリゲーターでは、3本の移動平均線を用いることで、トレンドを分析し、エントリーポイントを見抜くテクニカル指標となっています。移動平均線の詳細は下記の通りです。
※図はTradingViewより筆者作成
移動平均線 | 詳細 |
---|---|
青線(ワニの顎) | 13期間分の平滑移動平均線。8期間分先の状態を表示している。 |
赤線(ワニの歯) | 8期間分の平滑移動平均線。5期間分先の状態を表示している。 |
緑線(ワニの口) | 5期間分の平滑移動平均線。3期間分先の状態を表示している。 |
ウィリアムズ・アリゲーターは3つの移動平均線をずらして表示しています。それぞれ何期間か先の状態を移動平均線によって表すことで通常の移動平均線に比べて、より早い段階での判断が可能となります。
1-2.ウィリアムズ・アリゲーターの売買サイン
ウィリアムズ・アリゲーターは、トレンドを見抜きやすいという特徴があります。大きく分けて2つの売買サインの見方があります。
※図はTradingViewより筆者作成
まず1つ目はワニが口を閉じて眠っている状態です。3本の移動平均線が横ばいになっており、交差してもつれている状態の時はトレンドレスになります。市場に上昇および下降トレンドが発生していないため、ポジションを持たないことが推奨されます。
2つ目はワニが口を開けている状態です。3本の移動平均線の向きが揃っている状態の時は、トレンド発生となります。3本の移動平均線が上から緑線・赤線・青線という順番で表示されていれば上昇トレンドが発生しています。逆に、青線・赤線・緑線という順番で表示されていれば下降トレンドが発生しているということになります。
ウィリアムズ・アリゲーターでは、基本的に移動平均線が示しているトレンド方向に対して順張りを行います。上昇トレンドが発生している際は順張りの買いエントリー、下降トレンドが発生している際は順張りの売りエントリーが推奨されます。
2.オーサムオシレーター(AO)の使い方
次にオーサムオシレーターの概要と使い方を解説します。
2-1.オーサムオシレーター(AO)の概要
※図はTradingViewより筆者作成
オーサムオシレーター(AO)とは、ウィリアムズ・アリゲーターと同様にビル・ウィリアムズ氏によって開発されたオシレーター系インジケーターです。オーサムオシレーターは、2本の移動平均線を用いて値動きのトレンドや強弱を表した指標です。トレンドの開始点と終了点、トレンドの強弱、トレンドの反転を判断することが可能です。
オーサムオシレーターのグラフがゼロラインを上回った場合は上昇トレンド、下回った場合は下降トレンドとなります。上昇は緑のグラフ、下降は赤のグラフで示されるようになっており、グラフが長ければ長いほど、トレンドの勢いがより強いことを表します。色の変化によってトレンドの転換点を判断することも可能です。
オーサムオシレーターではグラフの位置や長さ、色といったシンプルな情報のみで、値動きのトレンドや勢いのほか、相場の転換点を読み取ることができます。利便性の高いインジケーターと言えるでしょう。
2-2.オーサムオシレーター(AO)の売買サイン
オーサムオシレーターを用いることによって3つの視点からトレンドを判断し、エントリーポイントを見極めることが可能です。オーサムオシレーターがゼロラインを上回っている状態の際は買いエントリー、ゼロラインを下回っている状態の際は売りエントリーが推奨されます。
ゼロライン付近を行き来している状態の時は相場がレンジ状態に入っていると言えるため、ポジションを持たないことが推奨されます。ゼロのラインを基準にした判断方法の場合、短期的な値動きは掴むことができるものの、すぐにトレンドが反転してしまう可能性もあります。長期的なトレンドを把握するためには「ダイバージェンス」などの現象を見つけることが重要です。
ダイバージェンスとは、実際の相場の動きを表すチャートが上昇(または下降)傾向にある際、オシレーターは逆に下降(または上昇)傾向にある現象を指します。この現象が発生すると、相場転換の可能性が高いと言われています。
つまり、オーサムオシレーターがゼロラインを下回っている状態でダイバージェンスが発生した場合は買いのサイン、ゼロラインを上回っている状態で発生した場合は売りのサインとなります。
3.アリゲーターとオーサムオシレーターを使用したトレード手法
アリゲーターとオーサムオシレーターを使用したトレード手法について、解説します。
3-1.手順
この手法では、まずアリゲーターの売買サインが出そうな時点でエントリーを考え始め、オーサムオシレーターを利用して、実際のエントリーと決済を行います。具体的な手順は、以下の通りとなります。
第1ステップとして、環境分析を行います。どのインジケーターを使うにせよ、まずは「環境分析」をしましょう。長い時間足から大まかなトレンドを捉え、ファンダメンタル分析を行ったうえで、相場の展開を予想するシナリオを作り、次のトレードの方向性を決定します。
第2ステップとして、アリゲーターの売買サインを待ちます。トレードの方向性と合致した方向でアリゲーターのサインが出るタイミングを待ちます。
第3ステップとして、オーサムオシレーターのエントリーサインを待ちます。アリゲーターの売買サインが出た後に、次はオーサムオシレーターのサインを待ちます。オーサムオシレーターで0ラインを跨ぐ売買サインが出たタイミングでエントリーします。
第4ステップとして、オーサムオシレーターで決済のポイントを決定します。エントリーと逆方向にサインが出たタイミングが決済を行うタイミングとなります。利益確定、損切実行ともに同様の判断をします。
ただし、利用するサインはゼロラインではなく、バーの色が転換したタイミングとなります。
3-2.ポイントと注意点について
短期トレードであればあるほど、アリゲーターの売買サインが遅く出る傾向となることがこの手法のポイントです。ディトレード以下の時間軸でトレードする際には、パラメーターを調整して、表示期間を現在に近づけましょう。
レンジ相場には弱い傾向があるため、レンジ相場ではオーサムオシレーターのみを使用することや、トレンドが継続時にはアリゲーターの売買サインが点灯している方向のみトレードをするなどの工夫は必要です。
4.まとめ
複数のインジケーターを利用する際は、どのインジケーターで何を確認するかという点と使用する順番が大切です。利益を狙うために、使用するチャートの時間軸や、通貨ペアごとの動き方の癖などにも留意して、詳細なトレードルールを考案しましょう。
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日