スウェーデンの後払い決済(BNPL、バイ・ナウ・ペイ・レイター)サービス大手であるクラーナが11月26日に発表した2021年1~9月期決算は、税引前損失が31億スウェーデン・クローナ(約388億円、1スウェーデン・クローネ=12.5円換算、以下同様)となった)となった(*1)。前年同期の8億クローナから赤字幅が4倍に拡大。BNPLへの需要が高まるなか、コストが急増したことが要因だ。
営業利益は前年同期比40%増の98億クローナ(約1,225億円)を確保したものの、一般管理費が同61%増の95億クローナに拡大した。貸倒損失も同81%増の29億クローナを計上。最終損益は25億クローナの赤字となり、前年同期から赤字幅が4倍以上拡大している。
BNPLは手数料なしに代金を分割できるサービス。クラーナはこの市場で急成長を遂げるフィンテック分野のスタートアップ企業だ。同社の企業価値は460億ドルに上り、 欧州の未上場フィンテックとして最大規模を誇る。クラーナのスポークスパーソンによると、2020年初から9つの市場に新規参入し、世界中に9,000万人以上の顧客基板を有しているという(*2)。
クラーナや競合の豪アフターペイ(ティッカーシンボル:APT)、米アファーム(ティッカーシンボル:AFRM)といったBNPL市場のプレーヤーは、加盟店である小売店からの決済手数料が大きな収益源となる。手数料の支払い遅延や長期の分割払いに金利を上乗せする事業者もいる。
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック以降、eコマースの導入が進むのに伴い、BNPLサービスの需要も高まっている状況だ。日本においても、若年層を中心にBNPL市場が拡大しているという。市場が急成長するなか、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)やアップル(ティッカーシンボル:AAPL)がアファームと提携したほか、8月には米スクエア(ティッカーシンボル:SQ)がアフターペイを買収する計画を発表した。また、9月には米ペイパル(ティッカーシンボル:PYPL)が日本でBNPLを提供するペイディを買収すると発表するなど、競争環境は激化しつつあるようだ。
10月にはクラーナがオンライン決済サービスを提供する米ストライプと提携した。両社がさらなる収益拡大に向けていかなる戦略を打ち出すか注目したい。
【参照記事】*1 クラーナ「Third quarter results 2021.」
【参照記事】*2 cnbc「$46 billion fintech Klarna sees losses quadruple amid surging demand for buy now, pay later」
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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