米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ティッカーシンボル:ZM)が11月22日に発表した2022年度8~10月期(2021年8~10月)決算は、売上高、1株利益ともにアナリスト予想を上回った (※1)。しかしながら、翌23日には株価が前日比14.7%下落(*2)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降に経営環境が変化し、成長率の伸びが鈍化していることが背景にあるようだ。
売上高は前年同期比35%増の10億5080万ドルと、前期の54%増から伸び率が鈍化している。 純利益は前年同期比71%増の3億4,030万ドルだった。現在は大企業向けの利用拡大を図っている。年間契約額が10万ドルを超える企業の利用数は前年同期比94%増の2,507件となった。また、会議室向けシステムであるZoom Roomsを導入する企業が増加した。ケリー・ステッケルバーグ最高財務責任者(CFO)は「会議室向けシステムはパンデミック前よりも更に重要性が高まっている」と述べている(*3)。加えて、2022年度11月~1月期の売上高見通しを前年同期比19%増の10億5,100万~10億5,300万ドルへ引き上げた。これはアナリスト予想の10億5,000万ドルを上回る数値だ。
新型コロナ禍において、対面で集まることが難しくなった何百人もの人々が、ズームのサービスを利用することにより、リモートで授業やミーティングに参加するようになった。様々な場面で同社のサービスが利用されるようになり、昨年には株価が急上昇していた。
しかしながら、売上高の伸び率は2021年度第4四半期まで300%を超えていたが、現在は2019年のIPO(新規公開株式)前の最も低い水準まで低下している。 この成長率の鈍化が嫌気され、株価が大幅下落した模様だ。なお、ズームは伸び率鈍化の要因として昨年に多くの企業が同社サービスを利用していることを挙げている。また、今後は中小・個人向けのビジネスが逆風を受ける見込みだという。
多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500が年初から11月22日までに25%上昇しているのに対し、ズームの株価は28%下落している。 新型コロナ禍で急成長を遂げた同社が、増収率などの伸び率改善に向けて如何なる戦略を打ち出すか注目したい。
【参照記事】*1 ズーム「Zoom Reports Financial Results for the Third Quarter of Fiscal Year 2022」
cnbc「Zoom beats estimates even as revenue growth is poised to slow after pandemic」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ」
【参照記事】*3 ズーム「Zoom Q3 FY22 Earnings Webinar」
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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