米ウォルト・ディズニー(ティッカーシンボル:DIS)が10日に発表した2021年7~9月期決算は、売上高、1株利益ともにアナリスト予想を下回った (※1)。テーマパークが再開したことにより収益が改善したものの、動画配信サービスの会員数の伸びが市場予想を大幅に下回った。これを受け、決算発表の翌日11日には、株価が7%を超える大幅な下落を記録している(※2)。
セグメント別の業績動向に関しては、テーマパークとグッズの販売からなる部門の売上高が前年同期比99%増の54億5,000ドルだった。営業損益は6億4,000ドルと、前年同期の9億4,500ドルの赤字から黒転に成功している。同部門は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を最も受けていたが、今四半期にすべてのテーマパーク・クルーズ客船を再開できたことが、業績の急回復に寄与した模様だ。
今後に関して、ディズニーは海外から米国内のパークを訪れる旅行者の回復を見込んでいるものの、業績に大きく寄与するのは2022年度下半期と予想している。この理由として、クリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は第4四半期決算について説明するウェブキャストにて、旅行者が休暇を計画して実際に米国のパークを訪れるまでには長い時間を要するためと説明している。
動画配信サービスを手掛けるダイレクト・トゥー・コンシューマ(DTC)部門に関しては、9月末のディズニープラス(Disney+)の会員数が1億1,810万人で、7~9月の加入者数の増加は210万にとどまった。これは、ゴールドマンサックスが9月に実施したカンファレンスにて、ボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)が明らかにした見通しに沿うものである(*3)。しかしながら、調査会社のストリートアカウントによると、市場では7~9月の間にディズニープラスの会員数が前期比で940万人増加すると見込んでいたという。
チャペックCEOはウェブキャストにて、ディズニープラスの会員数は2024年までに会社目標である2億3,000万人から2億6,000万人に達すると繰り返し述べた。また、四半期ベースではなく、長期的な視点にたってDTC事業を運営するほか、グローバルに市場開拓を進め、新たな作品をリリースすることが、目標達成に大きく寄与すると説明している。 なお、2022年第4四半期にはディズニープラスの初めての試みとして、ディズニー、マーベル、スターウォーズ、ピクサー、ナショナルジオグラフィックからオリジナル作品を一斉公開する計画だ。これには、注目度の高い「ミズ・マーベル」や「ピノキオ」も含まれているという。
動画配信サービスに関しては、競合の米ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)は、韓国で制作したドラマ「イカゲーム」の大ヒットを追い風に、7~9月に有料会員数が約440万人増加した(*4)。会員数が伸び悩むディズニーとは対照的に、ネットフリックスの株価は決算を発表した10月19日から11月15日までに6%強上昇している(*4)。ディズニーのマッカーシーCFOが2022年下半期にディズニープラスの加入者が大幅に増加すると見込むなか、引き続き同社の動画配信サービス動向に注目したい。
【参照記事】※1 The Walt Disney Company「THE WALT DISNEY COMPANY REPORTS FOURTH QUARTER AND FULL YEAR EARNINGS FOR FISCAL 2021」
The Walt Disney Company「The Walt Disney Company’s Fourth Quarter 2021 Financial Results Conference Call」
CNBC” rel=”noopener nofollow” target=”_blank”>The Walt Disney Company’s Fourth Quarter 2021 Financial Results Conference Call」
CNBC「Disney earnings miss across the board with slowing streaming growth」
【参照記事】※2 ヤフーファイナンス「ウォルト・ディズニー」
【参照記事】※3 The Walt Disney Company「Goldman Sachs
Communacopia Conference 」
【参照記事】※4 Netflix「Streaming Revenue and Membership Information by Region」
【参照記事】※5 ヤフーファイナンス「ネットフリックス」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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