「コロナから独立」で注目される米国株は?米国市場動向と注目銘柄【2021年7月】

ジョー・バイデン米大統領は7月4日、米独立記念日を祝うイベントをホワイトハウスで開催し、新型コロナウイルスからの「独立を宣言できる時が今までになく近づいている」と述べ、コロナ克服に自信を示しました。

バイデン政権は、ワクチンの普及と並行して、コロナ不況からの回復と中長期的な経済成長を支援するための景気対策「3本柱」を発表し、その実現に取り組んでいます。こうした政策が評価されて、米株式市場では主要株価指数の最高値更新が続いています。

今回は米国でのワクチンを巡る動きと、景気対策第2弾として注目される「米国雇用計画」の解説を中心に、合わせてコロナからの独立で注目される銘柄を紹介します。

※この記事は2021年7月6日時点の情報に基づいて執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 米国は「コロナから独立」へ ワクチン普及で
  2. ワクチン関連での注目銘柄
    2-1.ファイザー
    2-2.モデルナ
    2-3.ジョンソン・エンド・ジョンソン
  3. 米国救済計画
  4. 米国雇用計画
    4-1.交通インフラ整備・再構築
    4-2.清潔な水道水、新電力網、家庭用ブロードバンドの整備
    4-3.住宅、商業ビル、教育施設等の建設・改修
    4-4.研究開発、製造業支援、職業訓練など
    4-5.これまでの動きと今後の展望
  5. 米国雇用計画での注目銘柄
    5-1.インフラ関連銘柄
    5-2.EV関連銘柄
    5-3.住宅関連銘柄
  6. 米国家族計画
  7. まとめ

1 米国は「コロナから独立」へ ワクチン普及で

バイデン氏は新型コロナ対策を新政権の最重要課題とし、1月20日の就任当初からワクチンの迅速な普及に最優先で取り組んでいます。就任当初は100日目までに1億回分の接種を目指していましたが、予想以上の速さで接種が進んだことから、その後に2億回分へと上方修正し、100日まで1週間余りを残してこの目標を達成しました。

米疾病対策センター(CDC)によると、7月6日時点の米国でのワクチン接種状況は、投与数が3億3100万回、接種完了者が1億5760万人となり、1億8270万人が少なくとも1回の接種を受けています。年齢層別では、65歳以上では78.6%が接種を完了している一方で、18歳以上だと58.3%にとどまっています。

バイデン氏は7月4日の独立記念日までに成人7割が少なくとも1回接種し、1億6000万人の接種完了を目標として掲げていましたが、実際に少なくとも1回接種した人は67%、接種完了者は1億5000万人にとどまり、目標は達成できませんでした。

目標には届きませんでしたが、ホワイトハウスは独立記念日にコロナ禍中に最前線で働いきたエッセンシャルワーカーら千人余りを招待し「コロナからの独立」を祝う記念式典を開催しました。コロナからのほぼ「独立」を宣言した一方で、より感染力が強い変異株が広がっていることを踏まえて、コロナとの戦いはまだ終息していないとも述べています。

若年層ではコロナ感染症が深刻化するリスクが比較的低いとみられていることもあり、米国でも若年層を中心にワクチンの接種進展が滞っていますが、ニューヨーク州で6月24日に非常事態宣言が1年3カ月ぶりに解除されるなど、日常での生活はほぼコロナ前に戻っています。

ニューヨークでは野球場などの屋外施設、レストランや美容院などで人数制限が解除され、ほぼすべての規制が撤廃されました。公共交通機関や介護施設など一部の場所ではマスク着用が引き続き義務付けられていますが、最近は気温が高いこともあり、屋外でのマスク姿はほとんど見られなくなっています。

世論調査会社ギャラップの調査によると、6月初旬から中旬にかけてのバイデン氏の支持率は56%で、就任当初の57%からおおむね横ばいとなっています。バイデン氏への支持率は「ハネムーン期間」と呼ばれる就任100日を経過しても安定的に推移しており、ワクチンの迅速な普及と経済活動の再開が評価されています。

2 ワクチン関連での注目銘柄

新型コロナウイルスワクチンの販売が開始されたことで、開発で先行した製薬会社の売上高が急増しています。ここではワクチンの普及で注目される銘柄として、ファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンを紹介します。

2-1 ファイザー

米製薬大手ファイザーの1-3月期の売上高は前年同期比45%増の146億ドルとなりました。コロナワクチンの販売額は約35億ドルで、全体の24%を占めています。

ファイザーは2021年の通期見通しを705億~725億ドルと予想し、従来の594億~614億ドルから引き上げています。また、ワクチンの売上高は260億ドルと予想し、従来の150億ドルから約70%上方修正しています。世界各国・地域からの大口の追加発注が相次いだことが大幅な上方修正につながりました。

ファイザーは6月8日、独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、12歳未満を対象にした大規模な臨床試験を開始すると発表しました。結果が良好だった場合には、生後6カ月~11歳の子どもについても今秋から来年初旬にかけて順次対象年齢が引き下げられる見通しです。ファイザー製ワクチンの対象年齢は5月に当初の16歳以上から12歳以上に拡大されています。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の調べによると、7月6日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が4人、「オーバーウェイト」が1人、「中立」が15人、「アンダーウェイト」と「セル」は共にゼロ人となっています。目標株価のレンジは36~53ドルで、中央値の42ドルは6日の終値39.29ドルを6.9%上回っています。

アナリストの予想では4-6月期の1株利益は0.97ドル、7-9月期は1.02ドルが見込まれており、1-3月期の0.93ドルからさらに利益が増加する見通しです。

ファイザーは6月24日、7-9月期の四半期配当を0.39ドルとすることを取締役会が承認しました。7月7日の終値に基づく配当利回りは3.97%となっています。

2-2 モデルナ

米バイオ医薬品企業モデルナの1-3月期決算は純損益が12億2000万ドルの黒字となり、前年同期の1億2400万ドルの赤字から黒字に転換し、四半期決算で初の黒字を達成しました。売上高は19億4000万ドルで、前年同期の800万ドルから約240倍に急増しています。売上高の大半はワクチンの販売で、モデルナは通年での販売額見通しを192億ドルと予想しています。

モデルナは6月10日に12~17歳へのワクチンの緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請したと発表しています。また、3月に12歳未満を対象として試験を開始したと明らかにしています。

WSJによると、7月6日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が8人、「オーバーウェイト」が0人、「中立」が6人、「アンダーウェイト」が1人、「セル」が3人となっています。目標株価のレンジは83~246ドルで、中央値の190ドルは6日終値の233.34ドルを22.8%下回っています。

アナリストの予想では4-6月期の1株利益は6.04ドル、7-9月期は7.90ドルが見込まれており、1-3月期の2.84ドルから増益を維持する見通しです。

モデルナは現時点で配当を実施していません。

2-3 ジョンソン・エンド・ジョンソン

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の1-3月期決算は増収増益となり、純利益は6.9%増の62億ドル、売上高は7.9%増の223億ドルでした。ワクチンの承認で出遅れたことから、1-3月期のコロナワクチン販売額は1億ドルにとどまっています。

J&Jのワクチンは接種が1回で済み、2回接種が必要な米ファイザーもしくはモデルナのワクチンに比べて保管条件もそれほど厳格ではないことから、接種が遅れている途上国向けとしてより大きな期待が寄せられています。

WSJによると、7月6日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が12人、「オーバーウェイト」が3人、「中立」が4人、「アンダーウェイト」が1人、「セル」がゼロ人となっています。目標株価のレンジは160~204ドルで、中央値の188.5ドルは6日終値の167.97ドルを12.2%上回っています。

アナリストの予想では4-6月期の1株利益は2.29ドル、7-9月期は2.41ドルが見込まれており、1-3月期の2.59ドルには届かないものの、前年同期の1.67ドル、2.20ドルはそれぞれ上回る見通しとなっています。

J&Jは4月に四半期配当を1株当たり1.01ドルから1.06ドルに引き上げており、7月6日の終値に基づく配当利回りは2.52%となっています。

3 米国救済計画

バイデン氏は3月11日、「米国救済計画法」に署名し、同法案が成立しました。救済計画では大半の国民に現金1,400ドル(約15万3000円)が給付されたほか、3月14日に失効する予定だった失業給付金への週300ドルの上乗せが9月まで延長されています。

1-3月期の実施国内総生産(GDP)は前期比年率6.4%増と昨年10-12月期の4.3%増から伸び率を加速させました。個人消費が10.4%増とけん引役となっています。大半の国民に現金が支給されたことから、3月の個人所得は前月比21.1%増と過去最大の伸びとなりました。また、貯蓄率も27.3%と2月の13.9%から大きく上昇しています。

米国救済計画法はコロナ禍で苦境に陥った家計の救済を主な目的としており、少なくとも初期の目的は達成されたといえそうです。景気の急回復を受けて、米株式市場も堅調に推移しており、7月2日時点のS&P500種指数は年初来で約18%高となり、過去最高値を更新しています。

4 米国雇用計画

バイデン氏は3月31日、「米国雇用計画」と称する2兆3000億ドル(約254兆円)規模のインフラ投資案を発表しました。ここではまず、その中身を見てみましょう。

4-1 交通インフラ整備・再構築

米国雇用計画では交通インフラの整備や再構築に6,210億ドルが支出されます。このうち、道路と橋の修復に1,150億ドルが割り当てられます。渋滞による遅延だけで年間1,600億ドル以上のコストが発生し、ドライバーは無駄な時間と燃料で毎年1,000ドル以上の負担を強いられていると試算しています。

既存の公共交通機関の近代化に850億ドルを投じて、通勤時間の短縮化を目指す考えです。旅客と貨物鉄道サービスの安全性・効率性の向上や電化支援には800億ドルが支出され、安全で信頼性が高く、効率的な人と貨物の移動手段の提供を目指します。

自動車の電動化には1,740億ドルが投じられ、電気自動車(EV)の部品や電池の国内生産拡大につなげたい考えです。これには、EV購入に対するキャッシュバックや優遇税制、2030年までにEV充電施設の国内50万カ所設置、ディーゼル車の5万台削減、スクールバス20%以上の電動化などが含まれています。

このほか、港湾、水上交通、空港施設の改善に420億ドル、交通インフラ投資プロジェクトの資金調達支援に250億ドル、洪水、山火事、ハリケーンなど災害に対する耐久性を強化し、インフラの回復力を高めるために500億ドルを投入します。

4-2 清潔な水道水、新電力網、家庭用ブロードバンドの整備

米国雇用計画では、清潔な飲料水のインフラ、新しい電力網、高速ブロードバンドをすべての米国人に提供するために3,100億ドルを投資します。より具体的には、清潔で安全な飲料水をすべてのコミュニティで提供する水道インフラの改善に1,100億ドル、家庭用ブロードバンドの整備に1,000億ドル、さらに電力網の整備に1,000億ドルを投じて2035年までに炭素排出量差し引きゼロを目指します。

米国では、汚染された水を飲んだり、安価で高速なインターネットにアクセスできなかったり、頻繁に停電に見舞われたりしている家庭が非常に多く、その一方で、これらのサービスに高い料金を支払っています。バイデン氏は、米国人にふさわしい水、ブロードバンド、電気のサービスを提供したい考えで、そのために必要なインフラに重点的に投資する計画です。

4-3 住宅、商業ビル、教育施設等の建設・改修

計画では、住宅、商業ビル、教育施設等の建設・改修に2,130億ドルが投資されます。より具体的には、低中所得者向けの50万戸以上の住宅建設・改修に200億ドル、公共住宅支援に400億ドル、住宅・商業施設のクリーンエネルギー化に270億ドル、公立学校の設備増強に1,000億ドル、退役軍人病院・連邦政府建物の改修に280億ドルなどが振り向けられています。

4-4 研究開発、製造業支援、職業訓練など

計画では、研究開発、製造業支援、職業訓練向けに5,800億ドルが充てられました。これには、量子コンピュータ、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、クリーンエネルギーなどの研究開発支援に1,800億ドル、製造業および中小企業の再編と再活性化に3,000億ドル、労働力開発支援に1,000億ドルなどが含まれています。

製造業の振興に投じられる3,000億ドルのうち半導体の国内生産を支援する補助金に500億ドルが充てられます。国を挙げて巨額を投じる中国に対抗するため、サプライチェーン(供給網)を強化したい考えです。

これとは別に高齢者・障害者の支援に4,000億ドルが用意されています。

4-5 これまでの動きと今後の見通し

バイデン氏と上院の中道派議員グループは6月24日、約1兆ドル(約111兆円)規模のインフラ計画について合意しました。

発表文によれば、合意案では道路や橋、EVの充電設備などの輸送部門のインフラ整備に3,120億ドル、ブロードバンドや電力インフラなどの非輸送部門のインフラ整備に2,660億ドルが充てられ、新規支出は合計で5,790億ドルとなります。また、これらの分野で毎年度支出される分と合わせた支出規模は5年間で9,730億ドル、8年間で1兆2090億ドルになるとしています。

財源については、当初の計画に含まれていた法人税率の引き上げや、共和党が主張していたガソリン税の引き上げなどは含まれておらず、歳入庁(IRS)の徴税強化や未使用の失業保険給付金の活用、2020年の新型コロナウイルス対策予算の未使用額などから賄うとしています。

合意内容は、バイデン氏が打ち出した当初の規模を大幅に縮小した譲歩案となっていますが、交通や水道、ブロードバンド通信網などの国内のインフラ整備に向けて、まずは合意できる部分での法案成立を目指していると考えられます。

共和党は、道路や橋のような物理的インフラとは異なる在宅医療サービスなどの問題は、インフラではないために切り離して検討すべきと訴えていました。バイデン氏は当初の案で高齢者や障害者向けサービスに4,000億ドル、保育関連サービスに2,000億ドルの予算を求めています。高齢者や子供向け公共サービスの整備に高水準の投資を実施することに多くの共和党議員が難色を示していたことから、当初案にこだわると法案の成立は見込みづらくなります。

民主党は超党派のインフラ法案をまず可決し、その後に民主党が財政調整措置(リコンシリエーション)を活用し、単純過半数で追加法案を可決させるシナリオが念頭にあるとみられます。

5 米国雇用計画での注目銘柄

米国雇用計画は幅広いセクターへの恩恵が期待できますが、ここでは中心となるインフラ関連やEV関連、住宅関連銘柄を紹介します。

5-1 インフラ関連銘柄

計画の中核となるインフラ投資では、道路や橋、港湾などの整備での利用が見込まれる建設機械を取り扱うキャタピラーやディアなどが注目されます。

キャタピラー

建設機械の世界最大手キャタピラーの1-3月期決算は売上高が12%増の118億ドル、1株利益が40%増の2.77ドル、調整後1株利益は74%増の2.87ドルでした。

WSJによると、7月6日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が9人、「オーバーウェイト」が2人、「中立」が12人、「アンダーウェイト」が1人、「セル」が2人となっています。目標株価のレンジは125~303ドルで、中央値の245ドルは6日終値の213.52ドルを14.7%上回っています。

アナリストの予想では4-6月期の調整後1株利益は2.39ドル、7-9月期は2.24ドルが見込まれており、前年同期をそれぞれ132%、67%上回ると予想されています。

7月6日終値に基づく配当利回りは2.08%です。

ディア

同じくインフラ向けの建設機械を扱うディアの2-4月期決算は、純利益が17億9000万ドル、1株利益が5.68ドルとなり、前年同期の6億6600万ドル、2.11ドルからそれぞれ大幅に増加しています。売上高は前年同期比30%増の120億5800万ドルでした。

WSJによると、7月6日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が13人、「オーバーウェイト」が2人、「中立」が6人、「アンダーウェイト」が1人、「セル」が1人となっています。目標株価のレンジは330~464ドルで、中央値の425ドルは6日終値の349.45ドルを21.6%上回っています。

アナリストの予想では5-7月期の調整後1株利益は4.51ドル、8-10月期は3.98ドルが見込まれており、前年同期を78%、67%それぞれ上回ると予想されています。

7月6日終値に基づく配当利回りは1.03%です。

ユナイテッド・レンタルズ

建機を含む産業機器のレンタルを手掛けるユナイテッド・レンタルズにも追い風が見込まれます。

WSJによると、6月29日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が9人、「オーバーウェイト」が2人、「中立」が6人、「アンダーウェイト」がゼロ人、「セル」が2人となっています。目標株価のレンジは255~458ドルで、中央値の373ドルは6日終値の311.43ドルを19.8%上回っています。

5-2 EV関連銘柄

自動車業界がEVシフトを進めている中、米国雇用計画ではEV関連に多額の支援が盛り込まれており、GMやフォードといった自動車メーカーには追い風となります。

ゼネラル・モーターズ

ゼネラル・モーターズ(GM)の1-3月期決算は、純利益が30億2000万ドル、1株利益が2.03ドルとなり、前年同期の2億9400万ドル、0.17ドルから急増しました。調整後1株利益は2.25ドルで、アナリスト予想の1.05ドルを大幅に上回りました。ただし、売上高は325億ドルと前年同期の327億ドルから減少し、アナリスト予想(327億ドル)にも届きませんでした。

コスト削減に加え、利益率の高いピックアップトラックとスポーツ用多目的車(SUV)に注力したことが功を奏しました。

WSJによると、7月2日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が18人、「オーバーウェイト」が1人、「中立」が3人、「アンダーウェイト」がゼロ人、「セル」がゼロ人となっています。目標株価のレンジは64~90ドルで、中央値の72ドルは2日終値の58.96ドルを22.1%上回っています。

アナリストの予想では4-6月期の調整後1株利益は1.22ドル、7-9月期は1.52ドルが見込まれています。GMの4-6月期の米新車販売台数は前年同期比40%増の68万8236台でした。

GMは現在、配当を実施していません。GMは今年、前年の倍近い90億~100億ドルを設備投資に充てる計画で、このうち60億ドルをEVに、10億ドルを自動運転車に振り向ける予定です。手元資金を事業への再投資に集中させる方針で、配当については年内に改めて告知するとしています。

GMは6月、2025年までのEVおよび自動運転車への投資を昨年11月に設定した目標を約30%上方修正して350億ドルにすると発表しています。

GMは3月に、リチウム金属電池を製造している新興企業SES(旧ソリッドエナジー・システムズ)と開発契約を結び、全固体電池の開発を進めていると明らかにしています。リチウム金属は、現在のEVに搭載されているリチウムイオン電池の液体電解質の代わりに固体電解質を使用する、いわゆる全固体電池を可能にする技術で、多くの自動車メーカーや新興企業がコスト削減などを目指して全固体電池の開発を進めています。GMはこの技術を利用することで、最終的に電池コストを60%削減することが可能と考えています。

GMは1月に自動運転車の商用化でマイクロソフトと提携し、マイクロソフトは「長期的な戦略的関係」の一環としてGM傘下の自動運転車ベンチャー、クルーズに出資すると発表しています。

また、1月には物流業界の効率向上を目指す電動商品・ソフトウエアサービスのエコシステムを提供する「ブライトドロップ」という新事業を明らかにしています。ブライトドロップが今年発売する第1弾の新商品は「EP1」という電動パレットです。航空貨物大手フェデックスと提携して実施したEP1の試験プログラムによると、宅配業者の1日当たり荷物取扱量が25%増加したとのことです。2022年には第2弾として長距離用小型商用車のEV版「EV600」の受注を開始する予定です。

フォード・モーター

フォード・モーターの1-3月期決算は、純損益が33億ドルの黒字となり、新型コロナウイルスによる影響で北米の生産が停止し、20億ドルの赤字を計上した前年同期から黒字に転換し、2011年以来の大幅な黒字額を記録しました。一時項目を除く税引き前利益は48億ドルとなり、過去最大となりました。調整後1株利益は0.89ドルと、アナリスト予想の0.30ドルを大きく上回りました。

WSJによると、7月2日時点のアナリストの投資判断は「バイ」が11人、「オーバーウェイト」が1人、「中立」が10人、「アンダーウェイト」がゼロ人、「セル」が1人となっています。目標株価のレンジは11~18ドルで、中央値の16ドルは2日終値の14.93ドルを7.2%上回っています。

アナリストの予想では4-6月期の調整後1株損益は0.12ドルの赤字、7-9月期は0.23ドルの黒字が見込まれています。

フォードは現在、配当を実施していません。5月の年次株主総会では、できるだけ早期に配当を再開するが、その際には確実に継続できるようにしたいとの考えを示しています。

フォードは5月26日、2030年までに世界販売台数に占めるEVの割合を40%に引き上げ、25年までのEV化投資計画も300億ドル超に引き上げると発表しています。

同社はEV用電池技術を開発する「フォード・イオン・パーク」を設立し、韓国のSKイノベーションとはEV用電池製造の合弁会社「ブルーオーバルSK」を立ち上げてリチウムイオン電池の製造契約を締結しています。また、次世代電池の新興企業ソリッド・パワーへの出資や、ベストセラー車種「F-150」の全電動化モデルの発売なども発表しています。

このほか、法人向けにEVと従来型自動車の両方を販売する商用車専門部門「フォード・プロ」を設立し、無線でのソフトウエア更新に重点を置いたサービスにも力を入れています。背景には、自動車のデータ接続を利用した新サービスを有料で受け入れるのは、一般消費者よりも法人顧客の方が早いとの考えがあります。フォードは、こうしたサービスが2030年までに200億ドル規模の市場になると予想しています。

自動車のデジタル化は自動車業界の成長戦略の重要な部分を占めています。自動車がスマートフォンのように、常にアップグレードが行われるデジタル販売のプラットホームになれば、フォードのような自動車メーカーはいずれ単なるハードウェア企業ではなくなり、現在のアップルのような企業に業態がシフトする可能性があります。

ソフトウエア更新が新たな収益源となることは、自動車メーカーの利益率改善にもつながります。フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は「これは電気自動車ではなく、デジタル自動車だ」との見方を示し、同社の取り組みを「Ford+(フォードプラス)」と呼んでいます。いずれにしても、自動車産業の未来においてソフトウエアが果たす役割はより重要性が増す公算が大きく、自動車が「動くパーソナルデバイス」になる日も現実味を帯びています。

5-3 住宅関連銘柄

計画では、住宅支援や水道インフラ整備も盛り込まれています。住宅関連では、米住宅建設大手のパルトグループやレナー、DRホートンなどが注目されます。また、水処理関連ではザイレム、アメリカン・ウォーター・ワークスといった銘柄の支援材料となります。

パルトグループ

WSJによると、7月6日時点のパルトグループに対するアナリストの投資判断は「バイ」が8人、「オーバーウェイト」がゼロ人、「中立」が5人、「アンダーウェイト」と「セル」が共にゼロ人となっています。目標株価のレンジは50~93ドルで、中央値の69ドルは6日終値の53.92ドルを28.0%上回っています。

アナリストの予想ではパルトグループの4-6月期の1株利益は1.73ドル、7-9月期は2.18ドルと予想されており、前年同期を34%、42%それぞれ上回る見通しです。

レナー

レナーに対するアナリストの投資判断は「バイ」が9人、「オーバーウェイト」が2人、「中立」が6人、「アンダーウェイト」と「セル」が共にゼロ人となっています。目標株価のレンジは100~160ドルで、中央値の110ドルは6日終値の99.83ドルを10.2%上回っています。

アナリストの予想ではレナーの6-8月期の1株利益は3.26ドル、9-11月期は4.45ドルと予想されており、前年同期を54%、58%それぞれ上回る見通しです。

DRホートン

DRホートンに対するアナリストの投資判断は「バイ」が12人、「オーバーウェイト」が2人、「中立」が4人、「アンダーウェイト」と「セル」が共にゼロ人となっています。目標株価のレンジは89~124ドルで、中央値の111ドルは6日終値の90.90ドルを22.1%上回っています。

アナリストの予想ではDRホートンの4-6月期の1株利益は2.81ドル、7-9月期は3.07ドルと予想されており、前年同期を63%、37%それぞれ上回る見通しです。

ザイレム

ザイレムに対するアナリストの投資判断は「バイ」が5人、「オーバーウェイト」が1人、「中立」が11人、「アンダーウェイト」が1人、「セル」が1人となっています。目標株価のレンジは80~130ドルで、中央値の115ドルは6日終値の120.46ドルを4.5%下回っています。

アナリストの予想ではザイレムの4-6月期の1株利益は0.62ドル、7-9月期は0.70ドルと予想されており、前年同期を55%、13%それぞれ上回る見通しです。

アメリカン・ウォーター・ワークス

アメリカン・ウォーター・ワークスに対するアナリストの投資判断は「バイ」が6人、「オーバーウェイト」が2人、「中立」が9人、「アンダーウェイト」がゼロ人、「セル」が1人となっています。目標株価のレンジは146~181ドルで、中央値の164ドルは6日終値の159.88ドルを2.6%上回っています。

アナリストの予想ではアメリカン・ウォーター・ワークスの4-6月期の1株利益は1.08ドル、7-9月期は1.55ドルと予想されており、前年同期を共に14%それぞれ上回る見通しです。

6 米国家族計画

バイデン氏は4月28日、米国雇用計画に続く成長戦略第2弾として「米国家族計画」を発表しました。子育てや教育支援を柱に、財政支出での約1兆ドルと減税措置での8,000億ドルを合わせて対策規模は1兆8000億ドルを見込んでいます。

具体的には、無償教育の拡充(幼児教育、コミュニティカレッジ)、大学進学・卒業支援の拡充に約5,000億ドル、保育支援の拡充に2,250億ドル、有給休暇、病気休暇などの拡充支援に2,250億ドル、子育て世帯、低所得者世帯に対する減税枠の拡充に約8,000億ドルが充てられています。

個人所得税の最高税率や高額所得者のキャピタルゲイン課税率の引き上げなどで、10年間で1兆5000億ドルの増収を見込んでいます。

バイデン氏は米国家族計画について、中国をはじめとする諸外国と競争する状況下において、「将来の競争に勝つためには、家族や子供たちに対しても一世一代の投資をする必要がある。それが米国家族計画を提案する理由だ」と述べています。

米国雇用計画は少なからぬ部分で共和党と重なっていましたが、米国家族計画は共和党の賛成をほとんど得られない公算です。したがって、民主党は米国家族計画については、財政調整措置を利用しての可決を目指すと考えられます。

まとめ

米国はワクチン普及でほぼコロナ前の生活を取り戻しています。とはいえ、コロナ変異株が広まっていることもあり、ワクチンの追加接種が検討されています。また、途上国を中心にワクチンの接種が遅れており、ワクチンの開発に成功した企業への追い風は数年以上続く可能性があります。

3月に成立した「米国救済計画法」では、家計への給付金を柱にコロナからの救済に重点が置かれました。巨額の財政支援を背景に米景気は予想以上のスピードで回復し、株価は最高値の更新を続けています。コロナ不況を克服したことで、今後の課題は持続的な成長の拡大となり、その目玉となるのが米国雇用計画です。

バイデン政権は追加の景気刺激策について、まずは共和党と合意できる可能性の高いインフラ部分を切り離して成立を目指し、リベラル色の強い格差是正策などは民主党のみでの成立を目指す構えを見せています。米国雇用計画が成立した場合には、インフラ関連企業が最も大きな支援を受けると予想されますが、EV関連や住宅関連など恩恵は多岐に及ぶと考えられます。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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