オシレーターは日本語で「振動」や「振り幅」という意味を持つ言葉で、投資の世界では相場の「買われすぎ」や「売られすぎ」を表すインジケーターとして利用されています。
オシレーター分析においては過去の株価を多岐にわたる数式に当てはめて計算し、 その結果算出された数値を元にして売買サインを見極め、取引のタイミングを判断するという手法が採られます。
株のオシレーター分析については特によく利用されているインジケーターがいくつか存在するため、今回はそれらの概要や使い方、使用上の注意点などを解説します。
目次
- ストキャスティクス
1-1.ストキャスティクスの概要
1-2.ストキャスティクスの使い方
1-3.ストキャスティクスの使用上の注意点 - RSI
2-1.RSIの概要
2-2.RSIの使い方
2-3.RSIの使用上の注意点 - ボリンジャーバンド
3-1.ボリンジャーバンドの概要
3-2.ボリンジャーバンドの使い方
3-3.ボリンジャーバンドの使用上の注意点 - まとめ
1.ストキャスティクス
ストキャスティクスとは、1950年代後半にアメリカのチャート分析家であるジョージ・レイン氏によって開発されたインジケーターです。以下に概要を解説します。
1-1.ストキャスティクスの概要
日本語で「推計統計学」と訳されるストキャスティクスは、株価について過去における一定期間の最高値および最安値の変動幅と終値の関係を分析することで、「売られすぎ」または「買われすぎ」といった相場の相対的な勢いの強さを示す指標となっています。
ストキャスティクスは基本的に「%K」と「%D」という2本のラインで成り立っており、それぞれの計算式は下記の通りです。
「%K」=(当日終値-過去n日間の最安値)÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)×100
「%D」=(当日終値-過去n日間の最安値)のm日間の合計÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)のm日間の合計×100
ストキャスティクスの値は0%〜100%の間で動き、「%K」はある期間における相場の変動幅を100とした時、現時点でどの程度に位置しているかを表す数値で、「%D」は「%K」を移動平均したものです。
1-2.ストキャスティクスの使い方
ストキャスティクスにおいては、基本的に2本の線が80%を越える位置で動いている場合は「買われすぎ」、20%を下回って動いている場合は「売られすぎ」と見なせます。
また、具体的な売買サインは下記の通りです。
①ゴールデンクロス
売られすぎの位置で「%K」の線が「%D」の線を下から上方向に抜けた際は「買いシグナル」となり、相場が上がりやすくなっていると考えることができます。
②デッドクロス
買われすぎの位置で「%K」が「%D」を上から下方向に抜けた際は「売りシグナル」となり、相場が下落しやすくなっていると考えることができます。
③ダイバージェンス
ダイバージェンスとは実際の相場とインジケーターが反対の動きを見せる現象のことで、このダイバージェンスが起こった際はトレンドの勢いが弱まっていると考えることができ、トレンド転換が起こる前触れである可能性が高いのです。
1-3.ストキャスティクスの使用上の注意点
逆張りのオシレーター分析であるストキャスティクスを用いる際は、利益確定を早めに行い、出遅れないようにすることが大切です。
また、トレンドが比較的強い場合には、線が上下に張り付いて横ばいになり機能しづらくなることもあるため、どちらかというと相場の細かい動きを判断する際に活用することが推奨されます。
2.RSI
続いてRSIを解説します。
2-1.RSIの概要
RSIとは「Relative Strength Index」の略で、日本語では「相対力指数」と訳されます。
テクニカル分析の父として知られているアメリカのJ.W.ワイルダー氏によって開発されたRSIは、現時点における相場の相対的な強弱や過熱度を示すインジケーターとして、多くの投資家に愛用されています。
RSIは簡単に言えば、相場における「買われすぎ」や「売られすぎ」といった現象を数値で表すことでその程度を把握できる指標で、その計算式は下記の通りです。
RSI=A÷(A+B)×100
A:直近n本について、終値で前の足から上昇した値上がり幅の平均
B:直近n本について、終値で前の足から下落した値下がり幅の平均
なお、期間に当たる「n」は、一般的には「14」に設定することが推奨されています。
計算式が示している通り、RSIではn日間において上昇した値が全体の何%であるかを、明確なパーセンテージによって確認することができるため、わかりやすく、初心者でも利用しやすいインジケーターと言えます。
2-2.RSIの使い方
具体手なRSIの使い方は以下の通りです。
①逆張り
RSIではその数値が100%に近ければ近いほど上昇の値幅が大きくなり、相場の勢いが強いと考えることができ、反対に、数値が0%に近ければ近いほど、相場の勢いは弱いと見なすことができます。
また、RSIの値が70%~80%を上回った場合は「買われすぎ」となり、20%~30%を下回った場合は「売られすぎ」となるなど、「逆張り」のシグナルとして活用可能です。
②ダイバージェンス
ダイバージェンスとは前述の通り、実際の相場とインジケーターが反対の動きを見せる現象のことで、RSIにおいてダイバージェンスが確認された際は、相場の調整もしくは反転の可能性が高いと考えられます。
2-3.RSIの使用上の注意点
RSIは数値がパーセンテージで示されるため、50%付近を推移しているケースでは相場の反転やトレンドの形成を見極めることが困難になります。
そのため、このような状況が起こっている際に逆張りをしたとしても、トレンドが形成されて相場が上昇または下落した場合は大きなマイナスになるというリスクが伴うため、慎重な判断が必要です。
3.ボリンジャーバンド
次はボリンジャーバンドです。
3-1.ボリンジャーバンドの概要
ボリンジャーバンドとはアメリカの投資家であるジョン・ボリンジャー氏によって開発されたインジケーターで、基準となる移動平均線と、それを上下に移動平均化した「±1σ」および「±2σ」のラインで表されます。
「ボラティリティ」と呼ばれる相場の振れ幅を一定の期間における価格データから分析することで、統計学的な角度から相場の変動範囲を導き出しており、具体的には、相場は移動平均線を基準として、「±2σ」の範囲内で推移する可能性が高いという前提のもと、今後の相場の動きを分析する際に用いられる指標です。
3-2.ボリンジャーバンドの使い方
以下、主な使い方です。
①順張り
ボリンジャーバンドは相場のボラティリティが小さい時、その幅が狭くなり、相場のボラティリティが大きい時はバンドの幅が広くなるという性質があります。
そのため、バンドの幅が狭くなってきた時点で、相場が+2σを上回ると「買いサイン」、その後、相場が+1σを下回った場合は「売りサイン」と見なすことができます。
②逆張り
ボリンジャーバンドはシンプルに、相場が-1σ~-2σに到達した際には「買いサイン」、+1σ~+2σに到達した際には「売りサイン」という「逆張り」のシグナルとしても活用することが可能です。
③バンドウォーク
バンドウォークとは、±2σの線に沿ってローソク足が並んだ状態のことで、強いトレンドが発生したときに現れます。
これはバンドが一度収縮して価格が±2σを越えた際に起こる現象で、トレンドが発生するサインと見なすことができるため、相場の勢いに乗るような格好でポジションをとることが重要になってきます。
3-3.トレーダーから見るボリンジャーバンドの使用上の注意点
ボリンジャーバンドはあくまでも過去の相場データを根拠に算出されているため、絶対的なものではないということを念頭に置かなければならず、逆張りを行う際は相場が各σのラインから離れる場合もあるため、注意が必要です。
このほか、順張りでは「ヘッドフェイク」という、上昇すると見せかけて下落するという現象が起こることもあるため、ロジックを外れた現象が確認された場合はロスカットの判断も必要です。
ボリンジャーバンドは「トレンドフォロー」のためのトレード手法として最初考案されています。そのため投資初心者の方は、順張りでまずは利用することを心がけましょう。
逆張りでも利用はできますが、損切りのタイミング等を逃してしまった場合、損失が拡大し、1敗だけで資本が大きく毀損する恐れがあります。
順張りであれば、損切りのラインも明確にしやすく、タイミングを分けながらエントリーすることで心理的な負担を軽減させながらトレードすることができるでしょう。
まとめ
今回は比較的よく利用されているオシレーター分析を挙げましたが、それぞれに利点と欠点があるため、自身のニーズに合わせてうまく使い分けることが大切です。
また、指標は絶対的なものではないため、完全に信頼するのではなく、自身で慎重な取引判断を行うことが重要です。
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中島 翔
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