スマホ証券とネット証券の違いは?それぞれのメリット・デメリット

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証券会社の新規口座開設数が増加する中、若年層投資家や初心者に向いているのが「スマホ証券」と「ネット証券」です。スマホ証券は、安い取引手数料やスマホ操作に特化しているのが特徴で、若者のニーズに合っている一方、ネット証券各社もNISAをはじめとして投資初心者向けのサービスを幅広く展開しています。

この記事では、スマホ証券とネット証券について詳しく解説していきます。スマホ証券とネット証券の違いや、メリット・デメリットについて興味がある方は、参考にしてみてください。

※本記事は、2021年8月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. スマホ証券とネット証券の違い
  2. スマホ証券のメリット・デメリット
    2-1.少額から投資できる
    2-2.取引手数料が安い
    2-3.操作が簡単
    2-4.ポイント投資もできる
    2-5.取扱銘柄数が少ない
    2-6.NISAに非対応
  3. ネット証券のメリット・デメリット
    3-1.取扱サービスが多い
    3-2.高機能な取引ツール
    3-3.取扱銘柄数が豊富
    3-4.取引ツールが初心者向きでない
    3-5.取扱銘柄が多く迷いやすい
  4. スマホ証券とネット証券どちらが良い?
  5. まとめ

1 スマホ証券とネット証券の違い

スマホ証券とは、おもにスマホ取引やアプリ利用に特化した証券会社を指します。独自アプリを提供しているネット証券でもスマホによる取引は可能ですが、スマホ証券はスマートフォンでの利用を前提にサービス提供している点が大きく異なります。

スマホ取引に対応しているネット証券は、あくまでパソコンから経由して取引を行う従来の取引方法から派生したサービスを提供しているので、パソコン取引のスマホ版というイメージです。

これに対して、スマホ証券のサービスは、難しい操作を排除し、スマホで手軽に取引できるよう設計されています。スマホの扱いに慣れているユーザーにとっては、感覚的に操作できるようになっているほか、取引までの操作過程が短く、少ないタップ数で注文できるのが特徴です。

また、スマホ証券は、より少額から投資を始められます。通常の株取引では、1単元あたり数万円~数十万円程度の資金が必要になるものの、スマホ証券は基本的に単元未満株取引なので、1,000円程度から金額指定による取引が可能です。

さらに、スマホ証券の取引手数料はネット証券と比較して割安に設定されている場合が多く、取引コストを少なくしたい若年層投資家のニーズに応えています。

2 スマホ証券のメリット・デメリット

スマホ証券を利用するメリット・デメリットは以下の通りです。

2-1 少額から投資できる

国内の株取引は単元株制が採用されているので、100株単位での売買が原則です。例えば、1株5,000円の株を買う場合、5,000円×100株=50万円の手元資金が必要になるので、多くの個人投資家にとって低いハードルではありません。

一方、スマホ証券では基本的に1株単位から購入できるため、数百円から数千円単位で始められます。また、1株単位1,000円から購入できる証券会社もあるなど、最低必要金額が少ないので、投資経験の無い方でも続けやすいのが特徴です。

また、単元未満株でも保有株数に応じて配当がもらえるほか、条件を満たせば株主優待を受けることもできます。ただし、議決権は単元株数以上保有しなければ持つことはできません。

2-2 取引手数料が安い

スマホ証券の取引手数料は基本的に安く、無料のサービスもあります。一方、ネット証券にも現物株取引手数料を無料としている場合もありますが、「25歳以下」と条件付きです。スマホ証券とネット証券の取引手数料比較は以下の通りです。

国内現物株取引の1約定制プランの場合

項目 10万円 20万円 50万円 100万円
スマホ証券 LINE証券 99円 115円 275円 535円
CONNECT 33円 66円 165円 330円
PayPay証券 500円 1,000円 2,500円 5,000円
STREAM 0円 0円 0円 0円
ネット証券 SBI証券 99円 115円 275円 535円
楽天証券 99円 115円 275円 535円
マネックス証券 99円 115円 275円 535円
auカブコム証券 99円 115円 275円 535円

(すべて税込です)

信用取引の1約定制プランの場合

項目 10万円 20万円 50万円 100万円
スマホ証券 LINE証券 0円 0円 0円 0円
CONNECT 33円 66円 165円 330円
STREAM 0円 0円 0円 0円
ネット証券 SBI証券 99円 148円 198円 385円
楽天証券 99円 148円 198円 385円
マネックス証券 99円 148円 198円 385円
auカブコム証券 99円 148円 198円 385円

(すべて税込です)

現物取引では取引手数料を無料としているスマホ証券もあり、より低コストで取引できるのが特徴です。特に、日本版ロビンフッドと言われるSTREAMは、現物取引と信用取引の両方で取引手数料が完全無料となっています。

また、CONNECTも取引手数料無料クーポンが毎月10枚配布されるので、月に10回までの取引手数料はかかりません。

ただし、PayPay証券のようにスプレッドのみの手数料を採用しているスマホ証券の場合、約定代金が大きくなるにつれて取引コストも高くなります。

2-3 操作が手軽

証券会社から提供されている株取引ツールは高機能ですが、初心者向きではありません。慣れている人にとっては便利で使いやすい一方、投資初心者からすると複雑で専門性を必要とする画面操作は難しく感じることもあります。

例えば、SBI証券の取引画面では、知識や専門性を必要とする情報が多く、実際に現物株を買う際にも、注文ボタンから計6つの注文内容を選択しなければなりません。そのため、操作慣れしていない初心者にとってハードルがやや高くなっています。

一方、スマホ証券では、専門知識のない初心者でも直感的に操作できるように、複雑な情報を極力減らしています。

例えば、LINE証券の取引画面では、チャートや値上がり率など、必要最低限な情報のみ表示されており、実際に現物株を買う際にも、注文ボタンから買いたい価格、株数を指定するだけなので注文までの過程が短くなっており、知識のない投資初心者でも注文しやすくなっています。

2-4 ポイント投資もできる

スマホ証券の中には、貯めたポイントを投資に充てることができる証券会社もあります。例えば、LINE証券であれば「LINEポイント」、PayPay証券であれば「PayPayボーナス」を使ってポイント投資ができます。

ポイント投資のメリットは、手元資金を使うことなく投資ができる点です。お買い物等で貯めたポイントを有効活用できるほか、利益は現金で受け取ることができます。手元資金を使わずに投資ができるので、リスクを抑えることが可能です。

また、証券会社によっては、信用取引の委託保証金にポイントを充てられるので、信用取引の原資に利用することもできます。

2-5 取扱銘柄数が少ない

スマホ証券のデメリットとして取扱銘柄数の少なさが挙げられます。例えば、LINE証券の取扱銘柄数は、スマホ証券の中では多いほうですが、国内有名企業1,000社にとどまる一方、ネット証券のSBI証券は4,000銘柄以上の取扱いがあります。

2-6 NISAに非対応

NISA(少額投資非課税制度)とは、毎年一定額内で購入した金融商品から得る利益が非課税になる個人投資家向けの税制優遇制度です。ネット証券は基本的にNISAを活用することができますが、スマホ証券ではNISAの取扱いが少なく、上記で紹介したスマホ証券の中では、CONNECTのみがNISA口座に対応しています。

3 ネット証券のメリット・デメリット

ネット証券の強みは、取扱銘柄数・高機能な取引ツール・サービス等の総合力です。スマホ証券との違いを見ていきましょう。

3-1 取扱サービスが多い

ネット証券では、現物株取引、信用取引、米国株取引、先物取引、CFD取引、オプション取引、FX、NISA、iDeCo、夜間取引(一部のネット証券のみ)など数多くの金融商品を取り扱っています。また、投資判断に役立つ情報提供や専門家によるアナリストレポートなども定期配信されています。

さらに、ネット証券は取引手数料に優遇金利が適用されるキャンペーンが多く実施されており、優遇された投資環境で取引を行うことも可能です。

3-2 高機能な取引ツール

スマホ証券の注文画面は、機能性よりも使いやすさを重視しているため、シンプルで操作しやすいのが特徴です。

一方、ネット証券では、高性能な取引ツールを使用して取引することができます。1つの注文画面にマーケット情報やニュースなどが搭載してあるなど、投資判断の参考となる情報が集約されています。

また、基本的にスマホ証券の注文方法は、売買したい価格を指定する「指値注文」ですが、ネット証券では、成行注文、逆指値注文、OCO注文、IFD注文等の多彩な注文タイプに対応しているので、戦略の幅が広く、自由度の高い取引が可能となっています。

3-3 取扱銘柄数が豊富

スマホ証券は銘柄数を限定しているため選びやすい一方、購入したい銘柄を取り扱っていないこともあります。

これに対して、ネット証券は国内株のほか海外株の取り扱いも多く、投資信託でも購入手数料無料のノーロード商品を豊富に取り扱っています。また、ネット証券はIPO銘柄も積極的に取り扱っています。例えば、SBI証券のIPO取り扱い件数は80社(2021年3月通期)と、店頭証券と比べても高い引受件数となっています。

3-4 取引ツールが初心者向きではない

ネット証券は高性能な取引ツールを使用できる一方、見やすさ・使いやすさではスマホ証券に劣ることもあります。表示項目や専門用語も多いので、特に初心者の場合、慣れるまでマニュアルを参考にしながら基本的な操作から覚える必要があります。

3-5 取扱銘柄が多く迷いやすい

スマホ証券では、取扱銘柄が有名企業のみに絞り込まれている場合が多く、迷いにくい一方、ネット証券は数千銘柄を取り扱っています。そのため、数多くの銘柄の中から選ぶ際は、各銘柄の特徴や株価指標に関する基本的な理解、リサーチをする能力などが求められます。

4 スマホ証券とネット証券どちらが良い?

スマホ証券とネット証券は、個別に見てもそれぞれ特徴が大きく異なるため、一概には言えませんが、投資初心者で少額から投資を始めて勉強したい方、手軽な操作で投資を楽しみたい方はスマホ証券が適しています。

一方、投資経験があるか、本格的に資金を投じていきたい方は、より取引自由度の高いネット証券が向いています。また、普段からTポイントや楽天ポイントなどのポイントサービスをよく利用している場合、投資商品の買付に利用できる証券会社もあります。

まとめ

スマホ証券は、ネット証券の豊富な機能やサービスには及ばないものの、基本的な取引機能を備えているので、手軽に投資を始めることができます。一方、ネット証券の専門的な取引ツールは初心者にやや難しいものの、基本的な操作方法を覚えれば慣れるまで時間もあまりかかりません。

証券会社選びで悩んでいる方は、両者の特徴をよく把握した上で、ご自身の投資目的や取引スタイルに合ったサービスを選ぶことが大切です。

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