ソーシャルレンディングのリスクを測れるメザニンローンとシニアローンとは

※ このページには広告・PRが含まれています

ソーシャルレンディングの担保や融資について調べていると、メザニンローン・シニアローンなどの用語が出てくることがあります。

このメザニンローンとシニアローンは、案件に設定された担保を処分したときの返済の優先度に大きく影響してきます。貸倒れが起きたときに、融資の内容がメザニンローンなのか、それとも、シニアローンなのかで、投資金の回収の可否が変わることもあるのです。

そこでメザニンローンとシニアローンについて十分な理解のうえ、安全性の高いソーシャルレンディング案件を見抜くためのポイントをお伝えします。

目次

  1. メザニンローンとシニアローンの違い
    1-1.シニアローンとは
    1-2.メザニンローンとは
  2. 貸し倒れ発生時に資金を回収できる確率の違い
  3. メザニンローンの案件に投資を行うメリット
  4. メザニンローンの案件に投資を行うときの注意点
  5. まとめ

1.メザニンローンとシニアローンの違い

メザニンローンとシニアローンの大きな違いは、メザニンローンに比べてシニアローンの資金の方が優先的に返済されるという点です。そのため、安全性の高さで言えばシニアローンの案件に投資したほうが良いことになります。

1-1.シニアローンとは

シニアローンとは、金融機関からの融資で資金を調達する方法を指します。後述のメザニンローンと対比して生まれた言葉であり、従来から行われている通常のローンのことをシニアローンと呼びます。一般的に銀行からの借り入れがシニアローンに該当します。

シニアローンはメザニンローンよりも優先して弁済を受けることができるため、貸し手にとってのリスクが低いローンとなります。一方で借り手にとっては、融資のための審査が厳しくなるために希望の満額まで借りられない場合などもありますが、良い条件で資金を調達することができます。

1-2.メザニンローンとは

仮に1億円の事業用資金が必要であるのに対して、1,000万円しか自己資金を用意できず、銀行からの融資は7,000万円しか降りなかったとします。その場合資金の合計額は8,000万円にしかなりませんので、別の方法で2,000万円の資金を調達しなければいけません。

金融機関から融資が受けられない以上、金融機関以外のカードローン会社、ソーシャルレンディング会社などが調達先に該当することになります。資金を必要とする会社がそれらの会社に融資を申込み、通常利用する資金調達先以外から資金を調達することがメザニンローンに該当します。

メザニンローンは、シニアローン、つまり一般的な銀行からの借り入れよりも返済順位が後回しになるローンのことを指し、上記のように銀行融資で賄いきれなかった少額のローンの借り入れを指すのが一般的です。

借入側からすれば、シニアローンと比べてメザニンローンは審査が緩いかわりに、金利が高くなるという特徴があります。貸主の担保は優先的にシニアローンの融資先への返済に使われるため、資金を回収できないリスクは高くなってしまいます。そのかわりに、金利を高く設定することで貸付側のリスクをカバーしています。

シニアローン、メザニンローンにはそれぞれ一長一短があると言えます。

2.貸し倒れ発生時に資金を回収できる確率の違い

ここでソーシャルレンディングの案件に目を通してみましょう。案件で担保を取っている場合、その安全性を見るときにはLTVの数値をチェックすることが有効です。LTVとは、担保の評価額と貸付金額を比較して、貸付金額が担保の評価額に占める割合(単位:%)を指し示す指標のことです。

1億円の融資案件に対して1億2,500万円の担保が設定されていれば、LTVは80%となります。融資額よりも担保評価額が高いぶん、資金を回収できる見込みは相応に高くなると言えます。ただし、この1億2,500万円の担保も、シニアローンでの担保なのか、メザニンローンでの担保なのかで貸し手の資金回収率は大きく変わってくるのです。

たとえばソーシャルレンディングの案件がシニアローンで組まれていて、1億円の案件で貸倒れが発生したとします。このときに評価額1億2,500万円の担保を9,000万円で売却できれば、融資者全員に投資金額の90%にあたる資金が戻ってきます。完璧な補償ではありませんが、担保によって弁済を供されて一定額を補填したと言えるでしょう。

しかし、1億円の案件でシニアローンとメザニンローンの割合がそれぞれ50%だったとします。回収した9,000万円は、シニアローンの投資家に対して優先的に返済されます。

つまり9,000万円のうち5,000万円がシニアローンに投資した人の返済に優先的に充てられるため、彼らは資金を100%回収することができます。しかし、メザニンローンへの投資家は、残金の4,000万円のみが返済に充てられるため、80%しか資金を回収できないのです。

3.メザニンローンの案件に投資を行うメリット

メザニンローンでは、資金を回収できる可能性がどうしても低くなってしまいます。そのため、リスクが高いと言わざるを得ません。それでも、メザニンローンの案件に投資するメリットは無いわけではありません。

まず、メザニンローンはリスクが高い融資となるぶん、貸し手側としては高い金利を設定します。そのぶん投資家利回りも高くなりますので、高金利の案件を中心に投資したい方は、メザニンローンという言葉が案件探しの目印の一つにもなるでしょう。

また、小口融資であることから運用も比較的短期間になりやすいため、長期よりも短期を中心に投資を考えている方はメザニンローン案件が向いていると言えます。

高金利であるだけに、借りた側も早くメザニンローンを返済する傾向があり、そのため早期償還が発生するケースもあります。つまり、リスクの部分を運用期間の短さでカバーする形になります。

4.メザニンローンの案件に投資を行うときの注意点

メザニンローンの案件に投資を行うときは、どういった点に注意すれば良いのでしょうか。一番は、やはり担保としての確実性と安全性の高さです。様々なソーシャルレンディング会社が案件の担保として不動産を設定していますが、誰がLTV値と担保の不動産を評価しているのか、物件はどのような場所にあるのか等、できる限り情報を集めましょう。

第二種金融商品取引業免許を取り消されたラッキーバンクは、都内の一等地に不動産担保を設定しているとしながら、実態は社内で正当な手続きを踏まないまま不動産に評価額を付けていました。そのため、担保を売却しても評価額からは大きくかけ離れた安値となり、投資家から集めた資金の約32%しか回収できませんでした。

こうした事例もあることから、まず誰がどのように担保の評価を行っているのか、案件の説明をよく読んだり、記載がない場合はソーシャルレンディング会社に直接聞いてみたりすると良いでしょう。

ソーシャルレンディング会社の独自評価の場合、評価に対する信ぴょう性があるかどうかは慎重に調査すべきポイントと言えます。そして、可能であれば、担保の住所など物件の詳細も確認すると良いでしょう。

担保物件が評価額に応じた価値を本当に有しているのか、現時点でどれほどの評価額がついているのかを調べるには、路線価や公示地価などを基準に、収益還元法など様々な不動産の評価方法を使って計算してみることが必要です。

不動産の売却価格は市況やタイミングによって変わりますので、評価額が絶対とは言いきれません。それでも、担保の安全性を見抜く指標として役に立ちます。少なくとも公示地価などを把握のうえ正しく計算すれば、ソーシャルレンディング会社の算出した評価額と実際の売却価格に大きな差があった、といったケースは避けられるでしょう。

5.まとめ

安全な投資先を選びたいのであれば、メザニンローンよりもシニアローンと記載がある案件の方が適切だと言えます。一方で、メザニンローンにも金利が高いなどのメリットがあります。

まずはシニアローンとメザニンローンの違いをよく知って、担保の状況などから慎重にリスクを測り、バランスの取れた投資を第一に考えてみましょう。自ら情報を調べて精査し、収益性と安全性のバランスを自分でよく考え、ソーシャルレンディング投資を成功させてください。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチームは、ソーシャルレンディングや金融知識が豊富なメンバーがソーシャルレンディングの基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」