ソーシャルレンディングとは?投資の仕組みやメリット、事業者を解説

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ソーシャルレンディングは小口で始めることができ、ファンドの利回りも5%~8%と高い投資手法です。ソーシャルレンディングには手軽に投資ができるメリットがある一方で、気をつけるべきリスクや注意点も少なくありません。

そこで、この記事ではそのソーシャルレンディングに関する基礎的な知識として、投資前に知っておきたいソーシャルレンディングの特徴やリスクなどをお伝えしていきます。ソーシャルレンディングに興味のある方、これから投資を始めてみようと思う方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. ソーシャルレンディングとはどのような投資なのか
    1-1.投資家から資金を集め、事業者などに融資する
    1-2.第二種金融商品取引業と貸金業に該当
    1-3.投資家の利益は貸付利率から支払われる
  2. ソーシャルレンディングのメリット
    2-1.投資後は手間なく収入が得られる
    2-2.少額から投資ができる
    2-3.インカムゲイン型の投資手法
    2-4.利回りが高い案件もある
  3. ソーシャルレンディングのリスク
    3-1.元本を損失する可能性がある
    3-2.運用期間中の解約ができない
    3-3.事業者リスクが存在している
  4. 主なソーシャルレンディング事業者
    4-1.クラウドバンク
    4-2.オーナーズブック
    4-3.クラウドクレジット
    4-4.LENDEX
  5. まとめ

1.ソーシャルレンディングとはどのような投資なのか

まず、ソーシャルレンディングとは、どのようなスキームで運用されている投資手法なのかを確認しましょう。

1-1.投資家から資金を集め、事業者などに融資する

ソーシャルレンディングでは、ソーシャルレンディング事業を運営する会社が匿名組合を組織し、数多くの投資家から資金を集めます。そして、ソーシャルレンディング会社が自分で見つけてきた事業資金を必要としている会社に対し、投資家から集めた資金を融資します。

この融資の際に金利を上乗せして貸し出すことで、ソーシャルレンディング会社は金利収入を得ます。またこの金利収入を投資家に分配することで、投資家も利益を得ることができるのです。

1-2.第二種金融商品取引業と貸金業に該当

ソーシャルレンディングの運営にあたっては、第二種金融商品取引業免許と貸金業登録が必要になっています。第二種金融商品取引業免許は、インターネット上で多くの投資家からお金を集めるために必要な免許です。

多くのソーシャルレンディング会社は、この免許を取得しています。この免許を取得していないソーシャルレンディング会社は、他のソーシャルレンディング会社に案件の組成と集金業務を委託しています。

そして、投資家から集めたお金を事業者などに融資するときに、貸金業登録が必要となっています。ソーシャルレンディングはこれらの金融に関する法律に基づいて運営されるサービスとなります。

1-3.投資家の利益は貸付利率から支払われる

ソーシャルレンディングの特徴の一つに、貸付の際に設定した金利が投資家の収入になるという点が挙げられます。

ソーシャルレンディングでは、ソーシャルレンディング会社が多くの投資家から少しずつお金を集め、その資金をもとに融資を受けた側が何らかの事業を展開します。この流れを聞くと、クラウドファンディングを想像する方もいるかもしれません。

一般的にクラウドファンディングでは、集めたお金を運用して得られた利益を投資家に分配するケースが多く見られます。そのため、投資した事業が失敗してしまうと利益が得られず、投資したお金の大半が損失となってしまうこともあるのです。また、どれくらいの利益が生まれるのか、先が読めないところもあります。

しかし、ソーシャルレンディングでは、投資家が得られる想定の利益額が、募集案件の応募要項において年利という形で記載されています。なぜならば、資金を必要とする事業者に対し案件ごとに年何%の利率で融資するのか、あらかじめ決まっているからです。

そのため、得られる金利の計算が容易で、基本的には貸したお金に利率を上乗せして返してもらうだけです。従って、事業の成功の度合いにかかわらず、一定の収入が発生することを期待できるわけです。

ただし、事業が失敗してしまうと貸し倒れが発生するリスクがあるため、利益の目減りや損失が発生する可能性を含んでいるという点では、一般的なクラウドファンディング投資と大きな違いはありません。

2.ソーシャルレンディングのメリット

では、ソーシャルレンディング投資のメリットを一つずつ確認していきましょう。

2-1.投資後は手間なく収入が得られる

ソーシャルレンディングでは貸付金利による収入を投資家が得ます。お金を貸してしまえば、後は投資家が行うことはほぼありません。

ソーシャルレンディング会社から送られてくるメールを確認して現在の運用状況をチェックし、分配金がきちんと支払われているのか確認する程度です。そのため、副業をしたいけれどもなかなかその時間が取れないサラリーマンでもハードルが低い投資手法になっています。

ただし投資をする際には他の投資と同様に、その案件を精査するための作業は発生します。現在、融資先に対する情報の開示がある程度限定されているため、利率や運用期間などの収益性に関する情報を元に選んだり、融資先の情報を推測したりしながら選んでいくことになります。

2-2.少額から投資ができる

ソーシャルレンディングの大きなメリットの一つに、少額からの投資が可能という点があります。多くのソーシャルレンディング会社では、最低投資可能金額を5万円以下に設定し、1万円から投資可能という会社も多くあります。

「投資はしてみたいが、まとまったお金がないから投資できない」そのような方でも、コツコツと積み立てていく感覚で毎月1万円ずつの投資が可能です。

2-3.インカムゲイン型の投資手法

投資した資金によって金利収入の額に違いが生じるものの、ソーシャルレンディング会社の多くは、投資家に対してあらかじめ設定された金利収入を毎月分配していきます。そして、資金の運用期間が終了した時点で、元本を返済します。

投資家は金利収入というインカムゲインが毎月得られるため、事業者からの返済や分配が無事に進めば、手元資金を少しずつ増やすことが可能な投資手法です。さらに分配金を再投資に回していけば複利運用もできるので、投資効率をさらに高めていくことができます。

2-5.利回りが高い案件もある

ソーシャルレンディング投資で得られる金利収入は、案件ごとに異なっています。それぞれのソーシャルレンディング会社の案件を見ると、大体4%~12%程度となっています。平均的な利率で言えば6%~7%といったところです。

高利回り案件の中には10%を超えるものもあるため、不動産投資など他の投資よりも高い金利収入を得ることもできます。もちろん、その分だけ損失の発生や貸し倒れのリスクも高くなってしまいます。

リスク管理をしながら収益率を高めたい方にとって、様々な利回りの案件を選べるソーシャルレンディングは選択肢の一つになる投資手法と言えます。

3.ソーシャルレンディングのリスク

投資である以上、ソーシャルレンディングにもリスクが存在しています。投資をする際に注意するべきリスクをここでは取り上げます。

3-1.元本を損失する可能性がある

ソーシャルレンディングからの収入は貸付金利がすべてですので、貸付先からの返済が行わなければ、元本を喪失する可能性があります。特に、投資家への金利が10%を超えているような案件は、貸付金利が15%など非常に高い値であることが推測できます。

貸付金利が高くなればなるほど、融資先の返済リスクも高くなります。ソーシャルレンディングの案件によっては、担保や保証などが設定されているものもあります。リスクが高いと感じた案件は、投資家の利益を守る仕組みがどのようになっているのか、同時に確認しておきましょう。

3-2.運用期間中の解約ができない

もう一つの大きなリスクは、ソーシャルレンディング案件の運用期間中、解約が一切できない点です。案件によって決められた運用期間中は、一度投資した資金を一切引き出すことができません。急病や家族の都合でまとまったお金が必要になっても、自分のお金なのに引き出すことができないのです。

また、貸し倒れや返済遅延が発生してしまうと、運用期間の終了時期を過ぎても、ずっと資金が拘束されることがあります。長期間投資したお金が自由に使えなくなってしまうため、市況の変化などに伴う想定外のリスクにも巻き込まれる可能性が高くなります。

3-3.事業者リスクが存在している

現在のソーシャルレンディング業界で、特に注意しておかなければいけないのが事業者リスクです。

日本のソーシャルレンディングのパイオニアはmaneoという会社で、2008年から事業をスタートしました。そのためソーシャルレンディングは、日本での歴史はまだ10年ほどしかありません。業界団体なども存在せず、コンプライアンスなどに関しては、各社の取り組みに期待するしかないのが実情です。

2017年から2019年にかけ、実際に多数のソーシャルレンディング会社が金融庁から行政処分を受けています。その中には募集案件の内容に虚偽があったり、資金が貸付目的ではなくて代表の借金返済に利用されていたり、投資家の資金をきちんと管理できていなかったり、などの不祥事が挙がっています。

2017年以降のソーシャルレンディングに関する行政処分

時期 行政処分を受けた運営会社 処分内容
2017年3月30日 株式会社みんなのクレジット 業務停止命令
2017年6月9日 日本クラウド証券株式会社 業務改善命令
2018年3月2日 ラッキーバンク・インベストメント株式会社 業務改善命令
2018年7月13日 maneoマーケット株式会社 業務改善命令
2018年12月14日 エーアイトラスト株式会社 業務停止命令
2019年3月8日 エーアイトラスト株式会社 登録取消し
2019年3月14日 ラッキーバンク・インベストメント株式会社 登録取消し

歴史の浅い会社、規模の小さい会社が多いため、倒産リスクも存在しています。また、第二種金融商品取引業免許を剥奪された会社もあるなど、残念ながら事業者の管理体制に起因する投資リスクが存在してしまっているのです。

株式市場に上場済みの企業など、ある程度のコンプライアンス(法令遵守)を期待できる企業に投資することで、このリスクをカバーできます。

4.主なソーシャルレンディング事業者

国内でソーシャルレンディング事業を運営している、主なソーシャルレンディング会社を取り上げていきましょう。

4-1.クラウドバンク

ソーシャルレンディング会社名 日本クラウド証券株式会社
本社所在地 東京都港区六本木七丁目15番7号 新六本木ビル 6F
設立年 1993年(旧 ディー・ブレイン証券)
売上高 24億608万円(2019年3月期実績)
上場有無 非上場
サービス開始年月 2013年12月
参考利回り 6.99%(※2019年3月末までの3年間に運用したファンド実績)
投資金額 1万円から
応募総額 応募総額 680億円超(※2019年11月現在)

第一種金融商品取引業免許を取得している日本クラウド証券。同社が運営しているソーシャルレンディングサイトがクラウドバンクです。

2015年、2017年と、2度の行政処分を受けた経歴がありますが、その後、事業の運営体制の見直しを図り運営が継続されています。行政処分を受けた後に案件の募集を停止してしまうソーシャルレンディング会社が多い中、業務を見直して会社を立て直した実績があると言えます。

4-2.オーナーズブック

東証グロース上場企業ロードスターキャピタルの100%子会社であるロードスターインベストメンツ株式会社が運営するサービスがオーナーズブックです。不動産関係の案件を専門としており、会社の主要な事業は不動産事業の開発や販売となっています。

会社名 ロードスターインベストメンツ株式会社
サイトURL https://www.ownersbook.jp
本社所在地 東京都中央区銀座1丁目9番13号 プライム銀座柳通りビル7階
資本金 50百万円(資本準備金とあわせて80百万円)
売上高 169億7,900万円(※グループ全体、2020年12月期実績)
上場有無 親会社であるロードスターキャピタルが東証プライム上場
サービス開始年月 2014年9月
参考利回り 3.0%~5.0%
投資金額 1万円から
投資実行額・応募総額 254億円超(2021年8月時点の投資実行済案件総額)
運用期間の目安 3ヶ月~37ヶ月
投資家会員数 24,047名(2020年12月末時点)

ソーシャルレンディング事業はグループ全体では小規模で利益も少ないのですが、今後においては主要な事業と位置づけ、ソーシャルレンディング事業の積極的な展開を目指しています。

4-3.クラウドクレジット

ソーシャルレンディング会社名 クラウドクレジット株式会社
本社所在地 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル802
設立年 2013年
資本金等 20億8,454万6千円(2018年11月30日時点)
上場有無 非上場
サービス開始年月 2014年6月
参考利回り 5.5%~12.0%
投資金額 1万円から
投資実行額・応募総額 234億6,709万円(2019年11月時点)
運用期間の目安 7ヶ月~66ヶ月

国内ではなく海外のソーシャルレンディング案件を専門に取り扱っている会社が、クラウドクレジットです。金融機関出身の社長が会社を立ち上げ、伊藤忠など多くの著名企業から出資を受けて会社を運営しています。

現在、クラウドクレジットで扱っている案件の対象国は15ヶ国以上。ハイリスクハイリターンの投資案件から社会貢献ができる事業の案件まで、多様なソーシャルレンディング案件を投資家に提供しています。

4-4.LENDEX

ソーシャルレンディング会社名 株式会社レンデックス
本社所在地 東京都渋谷区渋谷二丁目1番11号 郁文堂青山通りビル5階
設立年 2000年
当期純利益/純損失 純利益2,076万7,000円(2017年1月1日~2017年12月31日)
純損失1,407万6,000円(2018年1月1日~2018年12月31日)
上場有無 非上場
サービス開始年月 2017年7月
参考利回り 7.0%~12.0%(2019年11月時点)
投資金額 2万円から
応募総額 29億円超(2019年11月時点)

レンデックスは、2017年からソーシャルレンディング事業に参入した比較的歴史の浅いソーシャルレンディング会社ですが、不動産担保付きの案件や短期運用案件を専門としており、投資家にとっては比較的高い利回り(7.0%~12.0%程度)が得られることもあり一定の支持を得ています。

また、全案件に不動産担保を設定し、担保の評価を自社だけではなく、第三者的な機関に委託することで保全性の維持に取り組んでいます。

まとめ

ソーシャルレンディングはまだまだ発展途上にある業界です。同時に、日本のソーシャルレンディング業界は過渡期にあるとも言えます。

2018年・2019年には多数の会社が行政処分を受けました。金融庁もずさんな経営状況を問題視し、融資先の匿名性が解除されるなど、今後は投資家の利益を守る取り組みがソーシャルレンディング各社において一層進められることでしょう。

ソーシャルレンディングは一度投資をすればその後の手間がかからなかったり、毎月の分配を受けられたり、少額から投資ができたりといった様々なメリットを持った投資である一方、上述の事業者リスクなどいくつかリスクも存在します。

まずはどのようなリスクがあるのか、よく知ってから投資していきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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