テクニカル分析をする際に、テクニカル系のインジケーターに物足りなさを感じている方は、多いかもしれません。そこで今回は、プロトレーダーの筆者がペンタゴンチャートを紹介します。
ペンタゴンチャートを知っておくと、相場急変時の目安や相場の方向性の判断の手助けになります。またRSIなど、他のインジケーターと組み合わせることで、売買サインの見極めに役立ちます。
チャートの書き方は、図を使って説明します。具体的なトレード方法も紹介するので、参考にしてみてください。
※本記事は2023年5月8日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- ペンタゴンチャートをプロトレーダーが解説
1-1.ペンタゴンチャートの概要
1-2.ペンタゴンチャートの描き方 - ペンタゴンチャートの売買サイン
2-1.基本的な見方
2-2.買いサイン
2-3.売りサイン
2-4.ペンタゴンチャートを利用する際の注意点 - ペンタゴンチャートを使用したトレード手法
3-1.ペンタゴンチャートを作成する
3-2.ペンタゴンチャートの売買サイン - まとめ
1.ペンタゴンチャートをプロトレーダーが解説
1-1.ペンタゴンチャートの概要
※以下、画像は全てTradingViewより筆者作成
ペンタゴンチャートとは、別名五角形チャートとも呼ばれているインジケーターです。正五角形を利用して値動きを分析するチャートを指します。
ペンタゴンチャートはフィボナッチなどのように描画機能を有しています。そのため挿入する場所によって効果が異なります。
ペンタゴンチャートは、なぜ正五角形を使うのでしょう。それは正五角形が、黄金分割比で構成されているからです。
黄金分割比とは「1:0.618」という比率を指します。古代より建築や美術分野において使用されてきた、美しさを表す比率です。
例えば、エジプトのピラミッドやパルテノン神殿の柱、ミロのヴィーナスやモナリザ、葛飾北斎の富岳三十六景などにもこの黄金分割比が利用されています。人々が違和感なく、美しいと思える形である言われています。
ペンタゴンチャートを利用すれば、このような黄金分割比に基づいて、上昇または下降のポイントのほか、トレンドの転換ポイントなどを予想できます。
1-2.ペンタゴンチャートの描き方
ペンタゴンチャートを描く際は、最初に正五角形を描く場所となる起点を決めます。起点はトレンドの転換点に設置すると、チャートに綺麗にフィットする場合が多いと言われています。
そして次に、ペンタゴンのサイズや傾きを決定します。基本的には、対角線や底辺のラインをローソク足の上値または高値に沿わせながら調整します。フィットするサイズと傾きが見つかったら、2つ目となる隣接するペンタゴンをチャートの流れに合わせて並べます。
ペンタゴンチャートは最初の起点が合っていれば自然にチャートの動きとフィットしていきます。どうしてもフィットしない場合は最初の起点を調節し、チャートにフィットする位置を見つけるようにしましょう。
2.ペンタゴンチャートの売買サイン
2-1.基本的な見方
ペンタゴンチャートは、ペンタゴンの各辺や対角線は上値抵抗線(レジスタンスライン)や下値支持線(サポートライン)として機能しやすくなります。またペンタゴンの各頂点および対角線の交わる点は、各接点が上昇または下降、もしくはトレンド転換のポイントになりやすくなります。
これから到来する交点が一つのポイントとなり、その後値動きの流れが変わるのか、継続するのかを意識しつつ、その付近に表示されている上値抵抗線や下値支持線に対して相場がどのように動くのかを見ることで、その後の動きを予想できるのです。
2-2.買いサイン
ペンタゴンの各頂点および対角線の交わる点あたりでは、相場が変化しやすくなるという傾向があります。そのため相場が各点に到達したケースでは、それ以降の動きに新たなトレンドが生じやすくなります。反対に到達しなかったケースでは、それ以降の値動きが反転しやすくなります。
実際に相場が下降トレンドを形成しているケースでは、ペンタゴンの頂点付近で反発した場合、今後上昇トレンドがスタートすると判断できるため、買いサインとなります。また、その後上昇の方向に向かった相場が、ペンタゴンの辺(トレンドライン)よりも上の位置で推移している場合は、上昇する勢いが強いと判断することができます。
相場はペンタゴンチャートの各辺に沿って動くケースや、各頂点および対角線の交わる点、そして中心点に吸い寄せられるように推移するケースが多くあります。これらの点を、相場における一つの目標値として見ることができるのです。
2-3.売りサイン
買いサインと同様、相場が上昇トレンドを形成しているケースでは、ペンタゴンの頂点付近で反発した場合、今後下降トレンドがスタートすると判断でき、売りサインとなります。
相場が目標値である点まで到達せずに逸脱した場合や、中心点付近で反転した場合も、売りサインと判断することができます。
2-4.ペンタゴンチャートを利用する際の注意点
ペンタゴンチャートは他のインジケーターと一緒に使用することで、より精度の高い予想ができます。よくペンタゴンチャートと組み合わせて使用されるインジケーターとして、RSI(相対力指数)が挙げられます。
RSIは相場の買われ過ぎや売られ過ぎを見極めることのできる指標です。RSIが最下部まで下がり売られ過ぎを示している状態で、相場がペンタゴンの頂点に達した場合、トレンドが転換して上昇に向かうと判断し、買いサインと見なすことができます。
3.ペンタゴンチャートを使用したトレード手法
3-1.まずはペンタゴンチャートを作成する
ペンタゴンチャートを利用したトレードは、まずはペンタゴンチャートを作成する事から始まります。ペンタゴンチャートの作成は以下の2STEPです。
- ペンタゴンの起点を決める
- ペンタゴンの大きさを決める
ここでは、具体的に東急(9005)のチャートを用いて、制作してみましょう。まず、こちらがペンタゴンチャートを描く前のチャートです。
先ずはチャートから、トレンドの転換点を探します。トレンドの転換点とは、それまでのトレンドから逆のトレンドになった箇所を指します。このチャートでは、5月6日にトレンドが転換しているため、〇で示した5月6日を起点とします。
次に、ペンタゴンチャートの大きさを決めます。一定期間の動きが一つのペンタゴンに収まるように調整します。
これで、ペンタゴンチャートが完成しました。
3-2.ペンタゴンチャートの売買サイン
ペンタゴンチャートに基づく売買サインは、いくつかあるものの、ここでは頂点を利用したトレードを考えてみましょう。
ペンタゴンチャートの一番右に形成されるペンタゴンが、足元の動きを示しています。このチャートでは、あと2本ほどのローソク足が形成されたタイミングが、ペンタゴンの最も右の頂点と重なります。
全体のトレンド等を考慮しても、1,660.1円が、買い注文のエントリーポイントと判断できます。利益確定するタイミングは、次のペンタゴンの対角線か、辺に当たる点、損切は浅めに1,610円近辺に設定できます。
4.まとめ
テクニカル系のインジケーターではありません。自動的に描かれるものではなく、自身で作図をする必要があるため、初心者の方にとっては、最初は抵抗があるかもしれません。しかし知っておくと、相場急変時の目安や相場の方向性を確認する際に、投資判断の参考になります。
興味を持った方は、利用の開始を検討してみてください。
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中島 翔
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