IPOの主幹事会社とは、有価証券の募集や売り出しで中心的な役割を果たす証券会社であり、上場に向けての指導や審査なども行います。主幹事会社には非常に多くの株式が割り当てられるため、IPO投資でも注目ポイントの1つです。
この記事では、IPOの主幹事や幹事実績の多い証券会社のTOP5をピックアップして、IPOの抽選方法や特徴について解説します。IPOで当選を狙うための参考資料にしてみてください。
※この記事は2021年11月12日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- IPO投資では主幹事の証券会社が重要
- IPO主幹事実績の多い証券会社のランキング
2-1.みずほ証券
2-2.野村證券
2-3.SMBC日興証券
2-4.SBI証券
2-5.大和証券 - その他にチェックしておきたい証券会社
3-1.楽天証券
3-2.マネックス証券 - まとめ
1 IPO投資では主幹事の証券会社も重要な要素の1つ
IPO投資では当選確率を上げるため、有力な証券会社から申し込むのが基本戦略です。その際に重要なポイントの1つが、主幹事の証券会社です。主幹事は他の証券会社より割り当てが多く、他社の数十倍にもなることがあります。その分当選確率も上がるということです。
主幹事会社は株式の公募・売り出しで中心的な役割を果たします。上場に向けての指導や上場時の審査も行います。IPO全体のスケジュール管理・公開価格の決定なども主幹事会社の役割です。
主幹事は新規上場企業の面倒を見る中心的な存在であるため、配分される株数も多くなります。たとえば2021年7月に東証マザーズに上場した「サーキュレーション(7379)」の割当は下記のとおりです。
証券会社名 | 割当率 |
---|---|
みずほ証券(主幹事) | 87.8% |
大和証券 | 2.6% |
野村證券 | 1.7% |
SBI証券 | 1.7% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1.7% |
岩井コスモ証券 | 0.9% |
楽天証券 | 0.9% |
この例では、主幹事であるみずほ証券が87.8%と圧倒的に高い割当率になっています。他のケースでも、主幹事は非常に多くの株式を割り当てられる傾向です。
なお主幹事に対し、IPOの引き受け・販売を行う証券会社のことを、引受幹事と呼びます。上記のサーキュレーションの例では、みずほ証券以外の証券会社のことです。
2 IPO主幹事実績の多い証券会社のランキング
2021年の主幹事および引受幹事の実績について、下記の表にまとめました。
項目 | 主幹事 | 引受幹事 | 主幹事+引受幹事 |
---|---|---|---|
みずほ証券 | 24社 | 31社 | 55社 |
野村證券 | 21社 | 26社 | 47社 |
SMBC日興証券 | 15社 | 41社 | 56社 |
SBI証券 | 12社 | 70社 | 82社 |
大和証券 | 8社 | 23社 | 31社 |
楽天証券 | 0社 | 53社 | 53社 |
マネックス証券 | 0社 | 42社 | 42社 |
松井証券 | 0社 | 31社 | 31社 |
※2021年11月12日時点
IPOの主幹事実績を見ると、みずほ証券・野村證券・SMBC日興証券など大手の店頭証券会社が上位にランクインしています。ネット証券では唯一、SBI証券が10件以上の主幹事実績があります。
その他のネット証券会社は主幹事実績こそないものの、楽天証券・マネックス証券・松井証券などは数多くの引受幹事の実績があります。
ここからは、主幹事実績の多い証券会社TOP5について詳しく紹介していきます。
2-1 みずほ証券
みずほ証券は、主幹事実績の多い証券会社の1つです。毎年20件前後を担当する傾向で、野村證券と同水準の多さです。
みずほ証券には2つのコースがあり、ネット取引中心の「ダイレクトコース」と、店頭における取引やコンサルティングサービスを提供する「3サポートコース」です。このうち「ダイレクトコース」では、資産などに関係なく抽選が平等に行われるので、IPO投資の初心者や資金が少ない人に向いています。
ただし、抽選で個人に配分するのは全体の10%以上となっています。大半は抽選によらない店頭の「3サポートコース」の顧客に回されます。顧客への配分株数は営業スタッフが決めるため、法人顧客や大口顧客が有利になるでしょう。ネットの顧客よりも、対面顧客のほうを重視している方針と言えます。
2-2 野村證券
みずほ証券と並んで主幹事実績は毎年トップクラスで、大規模のIPO案件で主幹事を務めることも多くあります。オンライン取引では完全抽選となるので、平等にチャンスがあります。
前受金がいらないのも野村證券のメリットで、抽選のときに入金する必要がなく気軽に申込みができます。購入資金は当選後の購入申し込みまでに入金すれば良いので、資金が限られる個人投資家には大きなメリットです。
野村證券もみずほ証券と同様、オンライン取引コースへの配分は10%以上となっており、対面コースを重視する方針です。
2-3 SMBC日興証券
SMBC日興証券の実施するIPOのうち、オンライントレードには最大15%が割り当てられます。10%は平等抽選、残り5%は「ステージ別抽選」が行われるのが特徴です。
「ステージ別抽選」とは、会員のステージ状況に応じて票を分配して行われる抽選で、ダイレクトコースの顧客のみが対象です。ステージ別に配布される票数は下記のとおりです。
- ブロンズ:1票
- シルバー:5票
- ゴールド:15票
- プラチナ:25票
高いランクほど票数が多く、当選する確率が高くなります。ただしシルバーステージでも、預かり資産が1,000万円以上または信用取引建玉金額が1,000万円以上(直近3カ月間の月末平均残高)であることが条件となっているため、まとまった資産のある方のほうが有利です。
2-4 SBI証券
主幹事実績TOP5で、唯一ランクインしているネット証券会社です。他の大手店頭証券会社と違い、店頭取引コースの顧客が優先されることはありません。
SBI証券は主幹事実績だけでなく、引受幹事の実績も多いのが特徴です。2021年3月通期の全上場会社のうち、SBI証券が取り扱ったのは約93%であり、IPOの実績の多い証券会社の1つと言えます。
SBI証券のIPOは「チャレンジポイント」の制度があるのも特徴です。IPO抽選に外れた回数に応じて付与されるポイントで、次回以降の申込みの際にポイントを利用することで、当選確率が上がります。ポイントを使っても抽選に外れると、使ったポイントは減ることなく新たにポイントが付与されるので、トータルのポイントは増加します。
2-5 大和証券
野村證券やみずほ証券と同様、大手の店頭証券会社で、IPOの取扱実績も豊富です。個人顧客への配分数量は全体の10%であり、完全平等抽選を実施します。大和証券にもネット取引の「ダイワ・ダイレクトコース」と店頭サービスの「ダイワ・コンサルティングコース」の2種類がありますが、店頭コースが優遇されることはありません。
配分数量は多くありませんが、資産額などに影響されない完全平等抽選であるため、資産の少ない利用者にもチャンスがあるのはメリットです。
3 その他にチェックしておきたい証券会社
主幹事実績が多くなくてもチェックしておきたい証券会社を紹介します。
3-1 楽天証券
楽天証券はIPOの取扱実績の多いネット証券会社の1つです。完全平等抽選が行われるので、資産や取引実績などの要因に左右されることがありません。
3-2 マネックス証券
マネックス証券もIPOの実績が多く、かつ完全平等抽選です。新規公開株の情報をアラートメールで受け取れるので、申込み忘れを防止するのに役立ちます。また、NISA口座でIPOに申し込めるのもメリットで、節税につながります。
まとめ
IPOの主幹事となる証券会社には非常に多くの株式が割り当てられ、IPOに当選したい方にとっては要注目ポイントです。主幹事実績のランキングでは大手の店頭証券会社が上位を占めています。しかし店頭証券会社の場合、対面コースの顧客や大口の顧客が有利になるケースもある点に注意しましょう。
店頭証券会社に加え、ネット証券会社でも申込みをしておくのも1つの手です。証券会社の独自サービスも活用して、IPOの当選を目指しましょう。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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