オプション取引の始め方は?証券会社選びや銘柄選びなど手順に沿って解説

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オプション取引では、将来の価格が値上がりするか・値下がりするかを予測して権利を売買します。株式投資や先物取引と違って損失を限定できる点や、売りからも取引可能なので、値下り相場でのリスクヘッジとして活用可能なほか、少額から取引できるため、初心者の方でも始めやすい商品となっています。

この記事では、オプション取引の始め方について、証券会社選びや銘柄選びのポイントを詳しく解説します。オプション取引に関心のある方、オプション取引のリスクを知りたい方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年6月21日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. オプション取引とは
  2. オプション取引を始める手順
    2-1.証券会社の選び方
    2-2.銘柄の選び方
  3. オプション取引の注意点
    3-1.買い手はプレミアムを失う
    3-2.売り手の損失は膨らみやすい
    3-3.流動性リスク
  4. まとめ

1 オプション取引とは

オプション取引とは、買う権利や売る権利を売買する取引です。あらかじめ決められた期日(満期日)に決められた価格(権利行使価格)で、権利の売買を行う仕組みになっており、買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションと呼びます。

各満期日までに反対売買を行うことで、決済することが可能ですが、満期日までに決済されなかった場合、毎月第2週の金曜日にそれぞれの限月に基づいて、ポジションが返済されます。

限月とは、ある商品において取引できる期限の月を指します。例えば、12月を期限とする商品であれば12月限と呼ばれ、12月の第2週の金曜日までに返済される商品となります。限月はその商品がいつまでに返済される商品であるのかを表します。

オプション取引には、主に以下4つの取引方法があります。

  • コールオプションの買い
  • プットオプションの買い
  • コールオプションの売り
  • プットオプションの売り

コールオプションの買いは、将来の価格が上がると予想して行う取引であり、実際に価格が値上がりすれば、利益を得られます。これとは逆に、プットオプションの買いは、将来の価格が下がると予想して行う取引であり、実際に値下がりすることで、利益を得られる取引となります。どちらも権利を購入する取引であるため、オプション取引の売り方(=売る側)に対して、プレミアムと呼ばれる権利を手に入れるために必要な購入代金を支払います。

一方、オプションの買い方(=買う側)は、プレミアムを支払うものの、損失はプレミアム代金の範囲内で収まるという特徴があります。

コールオプションの売りは、将来の価格が予想以上に上がらないことを予想して行う取引です。価格が予想以上にならない場合、買い方からプレミアムを受け取ることで利益を得られます。

これとは逆に、プットオプションの売りは、将来の価格が予想以下に下がらないことを予想して行う取引となります。価格が予想以下にならない場合、買い方からプレミアムを受け取ることで、利益を得られます。

オプション取引の売り手は、買い方からプレミアムを受け取る側なので、プレミアムを支払う必要がありません。しかし、利益の上限が受け取るプレミアムまでと決まっていることに加え、価格が予想と異なる値動きをした場合、損失が無制限に膨らむリスクを伴います。

項目 利益 損失
コールオプションの買い 価格の上昇に連動 支払うプレミアム
プットオプションの買い 価格の下落に連動 支払うプレミアム
コールオプションの売り 受け取るプレミアム 価格の上昇に連動
プットオプションの売り 受け取るプレミアム 価格の下落に連動

このようにオプション取引は、将来の価格を予想した上で買う権利と売る権利を売買する取引であり、権利の売り手と買い手によってリスクが異なります。

なお、オプション取引を始めるのに必要な資金は、権利の買い手であればプレミアムの1,000倍から取引を行えます。例えば、1単位10円で売買されている権利の場合、オプション取引を始めるために必要な価格は、10円×1,000=10,000円となります。オプション取引は1単位1円から売買されているため、株式や先物と比べて少額から始められるのも特徴です。

2 オプション取引を始める手順

オプション取引は、各証券会社で先物・オプション取引口座を開設することで始めることができます。選び方の方法やポイントは、以下の通りです。

2-1 銘柄の選び方

口座開設の前に、オプション取引の対象となる銘柄を確認しておきましょう。オプション取引の銘柄にはいくつかの種類がありますが、代表的なのは「日経225オプション」「TOPIXオプション」の2銘柄です。

日経225オプションとは、日経平均株価を対象資産とするオプション取引であり、TOPIXオプションとは東証株価指数を対象とするオプション取引です。

日経225オプションは国内で最も活発に取引されている一方、TOPIXオプションの取引高は乏しく、一般投資家が参加するのに向かない仕組みとなっているため、オプション取引といえば、ほとんどの場合、日経225オプションを指すことになります。

次に、オプション取引の種類を選びます。対象資産の価格が将来的に値上がりすると予想できるならコールオプションの買い、値下がりすると予想できる場合はプットオプションの買いを選びます。

反対に、対象資産が一定の価格以上に上昇しないと予想するのであればコールの売り、一定の価格以下まで下落しないと予想するのであれば、プットの売りを選択します。オプション取引の銘柄と種類が選択できたら、証券会社選びに移ります。

2-2 証券会社の選び方

先物・オプション取引口座を開設するには、事前に総合証券取引口座の開設が必要になります。また、口座開設では審査があり、投資経験や一定以上の金額を保有していることが条件となります。

オプション取引専用の口座を開設するための証券会社は、以下のポイントで選びます。

取引手数料

オプション取引の手数料は、最低手数料が定められた上で、約定代金に各社が定める一定の割合をかけて計算されています。日経225オプションにおける主要ネット証券各社の手数料を確認してみましょう。

日経225オプション 最低手数料 約定代金に対する割合
SBI証券 220円 約定代金×0.22%
楽天証券 198円 約定代金×0.198%
松井証券 220円 約定代金×0.22%
マネックス証券 198円 約定代金×0.198%
岡三オンライン 220円 約定代金×0.176%
auカブコム証券 220円 約定代金×0.22%

最低手数料および約定代金に対する割合は、証券会社によって異なります。また、取引最終日まで保有したポジションについては、SQ値によって決済されます。

SQとはSpecial Quotationの略で、最終的な決済期日で決済するための清算値段のことを指します。SQ値は各限月の第2金曜日をSQ算出日として、日経225構成銘柄全てが寄り付いた後の始値から算出されます。そのため、SQ値の算出自体が後場になることもあり、前場の開始直後に決定されるとは限りません。

SQ算出日までに決済されなかった買い建玉については、SQ値と権利行使価格の差額によって決済されます。反対に、売り建玉については、権利行使分の割り当てが行われることによって、決済代金が支払われることになります。

なお、SQ値で最終決済する時、証券会社によっては手数料が発生します。上記の証券会社のうち、SQ値で最終決済が行われる時にかかる手数料は、以下の通りです。

SBI証券 約定代金×0.22%
楽天証券 約定代金×0.198%
松井証券 約定代金×0.22%
マネックス証券 無料
岡三オンライン 無料
auカブコム証券 約定代金×0.22%

マネックス証券と岡三オンラインは、SQ値で決済した場合に手数料はかかりません。一方、その他の証券会社は通常の決済と同様、約定代金に対して手数料が適用されます。オプション取引における収益は、売買差益と手数料によって決まるため、できるだけ手数料の安い証券会社を選ぶことが大切です。

建玉上限

オプション取引の売り手は建玉に制限が設けられています。オプション取引の売り手の損失に限界がないため、オプション取引の売り建玉は、証券会社のリスク管理体制を踏まえて、一定の範囲内に制限されています。

各証券会社が定める売り建玉と買い建玉の上限は、以下の通りです。

建玉制限 売り建玉 買い建玉
SBI証券 50枚 上限なし
楽天証券 15枚 上限なし
松井証券 20枚 1,000枚
マネックス証券 10枚 上限なし
岡三オンライン 0枚
(資産状況による)
上限なし
auカブコム証券 20枚 上限なし

松井証券を除いて各社とも買い建玉の上限は無いものの、売り建玉については10枚〜50枚まで制限されています。なお、岡三オンラインの売り建玉の上限は現在0枚となっていますが、利用者の資産状況に応じて建玉枚数を引き上げることが可能です。オプション取引の売りを考えている方は、各証券会社の売り建玉の上限枚数も併せて確認しておきましょう。

3 オプション取引の注意点

オプション取引を始める際は以下のリスクに注意することも大切です。

3-1 買い手はプレミアムを失う

オプション取引の買い手は建玉を建てる際に、プレミアムを支払います。そして、限月の決済日までに建玉の権利行使価格が予想に反した場合、権利行使価格で買う権利を放棄することで、建玉を建てる際に支払ったプレミアム料を失うことになります。損失リスクの高い売り手と異なり、買い手の損失は限定的であるものの、しっかり発生することにも注意が必要です。

3-2 売り手の損失は膨らみやすい

オプション取引の買い方の損失はプレミアム料に限定されるものの、売り手の損失に制限はありません。コールオプションとプットオプションの売り手の損失額は、原資産の価格変動に伴う形で次のようになります。

コールオプションの売り手 ある一定価格を上回って原資産が上がると、原資産価格が上がり続ける限り、損失も無制限に膨らむ
プットオプションの売り手 ある一定価格を下回って原資産が下がると、原資産価格がゼロになるまで、損失も無制限に膨らむ

また、オプション取引の売り方は権利を選択する権限がありません。買い手が権利を行使する場合、売り手は取引に必ず応じなければならず、原資産価格が予想に反した動きをすれば、損失が証拠金を大幅に上回る可能性に注意しましょう。

3-3 流動性リスク

オプション取引は、限月の期日が近づくにつれて、取引高が減少する傾向にあります。そのため、保有しているオプション取引の建玉が反対売買できない、または想定していた価格から大きく乖離した価格で決済しなければならない場合もあります。

さらに、限月の期日まで時間が残されていたとしても、オプションを建てた価格によっては流動性が下がる可能性もあります。特に、建てたオプションの権利行使価格が原資産価格から著しく乖離している場合、売却したい価格で売れない、または買い戻したい価格で買えないリスクがあることも留意しておきましょう。

まとめ

オプション取引は証券会社にオプション取引専用の口座を開設すれば始められます。価格が上がるか・下がるかを予想するシンプルな仕組みで、少額取引も可能なので初心者の方でも取り組みやすい一方、売りからの取引は損失が膨らみやすい点に注意も必要です。

なお、各証券会社によって取引手数料と建玉上限は異なるので、事前によく確認した上で、投資スタイルに併せてコールまたはプットの取引方法を検討することが大切です。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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