証券会社を乗り換える手順と判断ポイントは? 移管手数料や作業の注意点も

手数料やサービスに優れた証券会社を見つけたので、乗り換えたいと思ったことのある方もいるでしょう。その場合、保有している株式を別の証券口座に移動させるためには、株式移管の手続きを利用することになります。

この記事では株式移管サービスの手数料や具体的な手順について解説します。移管が役に立つケースや注意点についても説明しますので、移管させるかどうかの判断に役立ててください。

目次

  1. 株式の移管(振替)サービスの概要
    1-1.移管サービスの手数料
    1-2.移管サービスの利用手順
  2. 株式移管が役に立つ4つのケース
    2-1.取引手数料の節約
    2-2.資産管理の手間を減らす
    2-3.株式の相続
    2-4.担保資産を増やす
  3. 株式移管における4つの注意点
    3-1.移管できない銘柄もある
    3-2.移管中の売却はできない
    3-3.一般口座と特定口座をまたぐ移管はできない
    3-4.取得日・取得価額が引き継がれないケースがある
  4. NISAの証券会社を乗り換えることもできる
  5. まとめ

1 株式の移管(振替)サービスの概要

株式取引で証券会社を乗り換えたいなら、株式の移管(振替)サービスを利用することになります。ほぼすべての証券会社で株式移管を利用できます。株式をいったん売却してから乗り換え先の証券会社で買付をするよりも、コストの安い方法です。

移管元の証券会社の口座から株式を出すことを出庫、移管先の口座へ入れることを入庫と言います。

1-1 移管サービスの手数料

入庫・出庫の手数料は証券会社ごとに異なります。主な証券会社については下記のとおりです。

証券会社名 出庫の手数料 入庫の手数料
SBI証券 無料 無料
楽天証券 無料 無料
松井証券 無料 無料
auカブコム証券 1銘柄につき1,100円
口座あたり1回の上限は33,000円
無料
野村證券 20単元未満:基本料金550円+1単元あたり550円(最低1,100円)
20単元以上:
11,000円(一律)
みずほ証券 1単元以下:1,100円
1単元超10単元以下:1,100円+1単元(未満含む)ごとに550円
10単元超:6,600円
無料
SMBC日興証券 一般口座:無料
特定口座:1,000円(銘柄ごと)
無料
大和証券 1単元:1,100円
1単元以上11単元未満:1,100円+1単元ごとに550円
11単元以上:一律6,600円
無料

※2021年12月時点
※すべて税込表記

ネット証券会社は出庫・入庫ともに無料となっているケースも多く見られます。店頭証券会社は概ね、出庫に関して有料となっています。

1-2 移管サービスの利用手順

株式移管の具体的な利用のステップは以下のとおりです。

  1. 口座振替依頼書の入手
  2. 必要事項の記入・提出
  3. 完了の反映確認

書類の請求および必要事項の記入と返送のみなので、手続き内容としてはシンプルです。それほど難しくはないでしょう。

まずは移管元の証券会社で、「口座振替依頼書」または「特定口座内保管上場株式等移管依頼書」を入手します。移管先ではないことに注意しましょう。入手方法としては、会員サイトや電話などがあります。

依頼書に記入する主な内容は下記のとおりです。

  • 住所・氏名・電話番号・口座番号
  • 振替先の金融機関名・口座番号・口座名義人
  • 銘柄コード・銘柄名・数量

依頼書に必要事項を記入したら、移管元の証券会社へ送付します。移管が完了するまでは、依頼書が受理されてからおよそ1週間かかります。すぐに完了するわけではないので、時間に余裕をもって手続きをしてください。

2 株式移管が役に立つ4つのケース

株式の移管をするかどうかの判断ポイントとして、以下4つのケースを紹介します。

2-1 取引手数料の節約

別の証券会社に株式を移し替えたいと思う動機として、まず取引コストの節約が挙げられます。ネット証券会社は値下げや新しいプランを発表しており、スマホ証券も誕生しています。現在利用している証券会社より、手数料の割安なところで取引したい方もいるでしょう。

手数料の安い証券会社に乗り換えるなら、株式の移管サービスが便利です。株価の影響を受けることなく移し替えることができます。

特に短期売買を頻繁に繰り返す方は、1日の約定代金ベースで手数料が決まる体系を用意しているネット証券に切り替えることで、大きく手数料を節約できる可能性があります。自身の手数料負担を考慮し、証券会社を乗り換えるほうがメリットは大きいと判断した時は、移管を検討するタイミングです。

2-2 資産管理の手間を減らす

証券会社ごとに取り扱うサービスや銘柄は異なるので、複数の証券会社の口座を開設した方もいるでしょう。しかし口座が複数あると、ユーザーIDやパスワードなどの管理が煩雑になり、資産が合計でいくらなのかも把握しづらくなります。

証券会社を1つにまとめることで口座の管理が楽になり、資産の状況も見えやすくなります。

2-3 株式の相続

相続人は相続する株式を継続保有する、もしくは売却することもできます。いずれの場合も相続人は一度証券口座を作り(証券口座を既に持っている場合は不要)、相続人の証券口座に相続株式を移管する必要があります。

2-4 担保資産を増やす

金融商品のなかには、担保となる資産を増やすことで、より規模の大きい取引ができるものもあります。株式の信用取引・先物取引・CFD・FXなどが該当します。

これらの取引で必要な担保として、証券口座の株式を充当することも可能です。別の証券会社にある株式も、移管手続きをすることで証拠金に充てることができます。

3 株式移管における4つの注意点

株式移管を行うときには、以下4つの点に気を付けましょう。

3-1 移管できない銘柄もある

ETF・ETN・REITを含む国内株式や外国株式のほとんどは移管できます。ただし単元未満株、移管先の証券会社で取り扱いのない銘柄などは移管できないことがあります。たとえば楽天証券では、米国株式と香港株式の移管を受け付けていますが、上海A株とアセアン株の移管はできません。

移管できるか確認したい場合は、移管先の証券会社に問い合わせましょう。

3-2 移管中の売却はできない

移管の手続きが行われている間は、銘柄の売却はできません。売却を検討している銘柄については、決算期など値動きする可能性のあるタイミングの移管は控えたほうがよい場合もあります。

3-3 一般口座と特定口座をまたぐ移管はできない

一般口座から特定口座へ、または特定口座から一般口座への移管は制度上認められていません。移管前・移管後の証券会社でどちらの口座を使っているのか、不明な場合は確認しておきましょう。

3-4 取得日・取得価額が引き継がれないケースがある

取得日・取得価額などの情報が引き継がれるのは、特定口座から特定口座へと移管する場合のみです。一般口座から一般口座へと移管をした場合、これらの情報は引き継がれません。

4 NISAの証券会社を乗り換えることもできる

NISA口座で保有する株式についても、別の証券会社に変更することが可能です。この場合は株式移管ではなく、口座ごと証券会社を乗り換えることになります。

まずは現在口座がある金融機関に依頼し、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」の取得が必要です。次に、乗り換えたい証券会社でNISA口座の開設を申し込みます。このとき「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を同封します。証券会社・税務署での審査が完了すると、取引が可能になります。

ただしNISA口座を変更できるのは1年で1回のみです。一度実行すると、しばらくは変更できない点に注意しましょう。

まとめ

保有する株式を別の証券会社の口座に変更するには、移管の手続きをすることになります。手数料の節約、資産管理の効率化、相続、担保資産の増加といった状況で役に立つ手続きです。

出庫・入庫の手数料は各証券会社で異なりますので、事前に確認してみてください。手続方法は口座振替依頼書の入手・必要事項の記入と返送のみで、それほど難しくはないでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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