高配当の米国株10選、各銘柄の利回り・業績と注意点【2021年10月】

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米国株投資に興味を持った人の中には、「高配当にひかれて」という人も少なくないでしょう。有名で経営が好調な企業の株を持ち、年に4回の配当が得られるとなれば、投資のしがいがあるというものです。

今回は米国の主要企業の中から、これまでの配当実績や足元の利回り、今後の業績見通しなどに基づいて、主な高配当企業10社を紹介します。特定の業種(セクター)に偏らないように、一業種最大2銘柄としています。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年9月22日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 高配当の米国株10銘柄
    1-1.たばこの高配当米国株
    1-2.通信の高配当米国株
    1-3.石油の高配当米国株
    1-4.製薬の高配当米国株
    1-5.公益事業の高配当米国株
    1-6.ハイテクの高配当米国株
    1-7.連続増配の米国株
  2. 高配当株投資の注意点
  3. まとめ

1.高配当の米国株10銘柄

今回は以下の10銘柄について解説していきます。

社名 ティッカー 株価(ドル) 利回り(%) 配当実績(ドル/20年)
アルトリア MO 48.24 7.46 3.40
フィリップモリス PM 100.51 4.97 4.74
AT&T T 27.01 7.70 2.08
ベライゾン VZ 54.06 4.74 2.485
シェブロン CVX 97.64 5.49 5.16
エクソン XOM 55.21 6.30 3.48
アッヴィ ABBV 106.41 4.89 4.84
デューク・エナジー DUK 98.54 4.00 3.82
IBM IBM 134.63 4.87 6.51
P&G PG 143.6 2.42 3.03(※)

株価と利回りは2021年9月22日時点
※P&Gの配当は22年6月期

1-1.たばこの高配当米国株

 まず、米国高配当銘柄の筆頭格とも言えるたばこ産業から2銘柄をピックアップしました。

【1】アルトリア(ティッカー:MO)

「マルボロ」や「バージニアスリム」などのブランドで知られるたばこメーカー。米国内で販売されているたばこの約半分が同社の製品です。売上高、純利益ともに堅調に推移しています。紙巻たばこ・電子たばこの販売に注力するため、2021年7月にワイン事業の売却を発表しました。

【2】フィリップモリス・インターナショナル(ティッカー:PM)

 2008年にアルトリアから分離・独立し、米国を除く海外で「マルボロ」などを販売しています。先進国を中心に手巻たばこの需要が頭打ちとなるなか、加熱式たばこ「IQOS」の浸透を図っています。フィリップモリスにとり、加熱式たばこの分野で日本は有力なマーケットです。

1-2.通信の高配当米国株

次いで、利回りの高さでたばこと双璧と言っていい通信業界です。

【3】AT&T(ティッカー:T)

米国最大手の通信会社。電話を発明したグラハム・ベルが、1877年に創業したベル電話会社が前身という歴史のある企業です。2020年の売上高は1717億6000万ドルに上りました。近年は傘下メディア事業の切り離しを進め、ディレクTVやワーナーメディアの売却を決めました。

【4】ベライゾン・コミュニケーションズ(ティッカー:VZ)

AT&Tに次ぐ、米通信業界第2位の企業。携帯電話の第5世代通信(5G)の普及に力を入れています。2020年の年間売上高ではAT&Tに届きませんでしたが、最終赤字だったAT&Tに対して約178億ドルの最終利益を確保しました。

1-3.石油の高配当米国株

そして忘れてはならないのが、重厚長大産業の雄、石油です。

【5】シェブロン(ティッカー:CVX)・【6】エクソン・モービル(ティッカー:XOM)

この2社が代表的な企業です。両社ともに負債を自己資本で割った負債比率が低く、健全な経営をしていることがうかがえます。両社を比べてみた場合、利回りのほか、売上高と純利益の規模でもエクソンに軍配が上がります。ただ、エクソンは2020年8月、ダウ30種から除外されました(シェブロンは現在もダウ30種の構成銘柄)。

1-4.製薬の高配当米国株

薬品メーカーにも利回りの高い銘柄があります。

【7】アッヴィ(ティッカー:ABBV)

 もともとは医薬機器メーカーのアボット・ラボラトリーズの薬品部門で、2013年にスピンオフ上場を果たしました。ブロックバスター(年間売上高が10億ドル以上の薬品)の関節リウマチ薬「ヒュミラ」の売り上げが全体の約4割を占めています。ヒュミラの特許が2023年に切れることを見越し、2020年にしわ取り薬「ボトックス」で知られるアイルランドのアラガンを買収しました。

1-5.公益事業の高配当米国株

業績の波が少ない業種といえば、公益事業も欠かせません。

【8】デューク・エナジー(ティッカー:DUK)

 電力とガス会社を傘下に保有する持ち株会社。ノースカロライナ州に拠点を置き、米国の公益企業としては売上高で最大規模を誇ります。太陽光発電や風力発電の普及にも前向きです。バイデン政権が再生可能エネルギーの推進を公約していることから、公益事業関連は総じて注目度が高いと言えます。

1-6.ハイテクの高配当米国株

ここ数年、米国株式市場全体をけん引しているハイテク産業の中にも高配当企業があります。

【9】IBM(ティッカー:IBM)

 創業から100年を超える、米IT業界の老舗企業です。マイクロソフトなど他の有力企業と同様に、近年はクラウド事業の拡充に取り組んでいます。ハイブリッドクラウドへの特化を進めるため、ITインフラサービス部門を2021年内にスピンオフ上場させる計画です。

1-7.連続増配の米国株

最後の10社目はセクターのしばりから離れ、連続して増配を記録している企業の中から代表的な銘柄を紹介します。

【10】プロクター&ギャンブル(ティッカー:PG)

世界的な日用品メーカーで、紙おむつの「パンパース」や洗剤の「アリエール」、剃刀の「ジレット」などが有名です。P&Gは64年連続で増配を続けている企業でもあります。自社株買いにも積極的で、2022年9月期に配当額は80億ドル、自社株買いは70億~90億ドル相当を予定しています(今後の業績次第で引き上げられる可能性もあり)。

2.高配当株投資の注意点

これまで高配当10銘柄の紹介をしてきましたが、実際に投資をするにあたって注意してほしい点がいくつかあります。

まず、高配当と業績安定は必ずしも株価に反映されず、損切りをしなければならないときもあるということです。機関投資家が高配当銘柄から逃げるとき。それは、減配や配当支払いを見送ったときです。

企業側としては減配や配当見送りにはさまざまな理由がありますが、高配当株投資家からすれば好ましいことには映りません。例えば、AT&Tは今年5月、メディア事業の縮小に伴って2022~24年の配当をこれまでの半分に減らす方針を示しました。それ以来、株価は30ドルを下回る状況が続いています。

こうして投資家の期待に反した場合、株価が急落することがあるのです(ところが、株価が下落した結果、表面上の利回りが上昇するのは皮肉とも言えます)。評価損のライン(何%の下落または、いくらまでの損失なら許容できるか)は人によって異なりますが、株価や業績に改善の兆しが見えないときは、配当にこだわりすぎず、手仕舞いした方が精神的にもいいでしょう。

また、個々の株価の動きもチェックしておいたほうが賢明です。米国株では中期は50日移動平均線、長期は200日移動平均線を見て判断するのが一般的です。相場が全体的に下げ基調にあるときはもちろんのこと、これらの移動平均線が右肩下がりのときは、見かけの利回りに惑わされずに様子を見るのが望ましいと言えます。

分子にあたる配当金額が増えていなくとも、分母となる株価が下落すれば表面上の利回りは上がります。しかし、米株投資初心者がそこで「チャンス」とばかりに資金を投じるのは危険です。直近の決算の結果、当面の見通しなどを自分なりに理解したうえで、悪材料が出尽くした後に買う機会を待つのが良いでしょう。

まとめ

高配当銘柄は一般的に、業績に波が少なく堅調に推移している会社に多いといえます。ただし、業績の好調が続くからといって株価が下がらないということはありませんし、相場全体が大きく調整したときには当然、売られます。

数ある高配当銘柄の中から業種や個々の銘柄の特性を研究した上で、自分の投資性向に合ったものを探してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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