エリオット波動とは?暗号資産取引所の元トレーダーがテクニカル指標を解説

今回は、エリオット波動について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. エリオット波動とは
  2. エリオット波動の考え方
  3. エリオット波動を利用するメリット
    3-1.値動きを予測するのに役立つ
    3-2.利益確定やストップロスの目途を付けるのに役立つ
  4. エリオット波動を構成する6つの小波動
  5. エリオット波動と一緒に覚えたいチャート形状
    5-1.ヘッドアンドショルダー
    5-2.ダブルボトム
  6. エリオット波動をチャート分析に役立てよう

暗号資産は値動きが荒く、エントリーや決済のタイミングを図るのが難しいと感じるトレーダーも多いでしょう。タイミングを測る手段としては、テクニカル分析をはじめとする過去の投資家の生み出した多くの理論やロジックなどがあります。

なかでもダウ理論やエリオット波動は相場の周期性にフォーカスして、値動きを予測するものです。多くの投資家は価格の上下動を見て調整かどうかを判断しがちですが、実は時間軸に基づいた考え方が重要です。ここではエリオット波動と、その利用方法について解説したいと思います。

①エリオット波動とは

エリオット波動とは、米株式アナリストのラルフネルソン・エリオット氏が1920~30年代にかけて構築した相場分析手法です。

エリオット波動の基本的な考え方は、「相場にはサイクルがあり相場の上下動のリズムは一定間隔で発見できる」というものです。株価指数でそうした周期性が確認されたことによりエリオット波動の注目が高まり、世界的に知られることとなりました。

②エリオット波動の考え方

エリオット波動は、相場は「上昇5波、下降3波」という周期性を持つ、としています。

上昇相場の場合、「上げ、下げ、上げ、下げ、上げ」という5つの連続した波動が1セットとなっており、下落の場合は「下げ、上げ、下げ」という3つの波動が1セットとなるというものです。

さらに、エリオット波動の「上昇5波、下降3波」として成立するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。

  1. 波動1・波動3・波動5のうち、波動3が一番短くならない
  2. 波動2の下落が波動1の安値を下回らない
  3. 波動4の下落が波動1の高値を割り込まない

上昇5波は安値と高値を切り上げ、波打ちながら上昇していくというイメージが描けることになります。この原則は必ず覚えておくようにしましょう。

③エリオット波動を利用するメリット

それでは、エリオット波動を利用するメリットについて解説します。

1. 波動に基づいて値動きを予測するのに役立つ

例えば上昇トレンドでは、上昇を1本の直線で捉える「I字型」と、波動が転換する「V字型」が連続して発生し、N字型が形成されます。N字型が大きいほど、トレンドはより大きくなります。こうした動きをチャート分析に活かし、調整規模やスパンを予測するのに役立ちます。

2.利益確定やストップロスの位置を測る

エリオット波動は利益確定や押し目買いのターゲット、ストップロスを置く場所を判断するのに役立ちます。エリオット波動だけで完結するわけではありませんが、大局観を掴むことができるでしょう。エリオット波動を使うことで、相場のリズムをトレーディング戦略に取り入れることができます。

④エリオット波動を構成する6つの小波動

エリオット波動の「上昇5波、下降3波は、以下の6パターンの小さな波動のいずれかで構成されているので覚えておきましょう。

  • I波動:上昇や下落が一直線で発生したローソク足の形状
  • V波動:上昇してからの下落や、下落してからの上昇等を示したもの
  • Y波動:三角保ち合いの反対で、上下動を繰り返しながら高値と安値が広がっていく形状
  • P波動:三角保ち合いで、上下動を繰り返しながら高値と安値が収斂している形状
  • N波動:I波動とV波動の集合
  • S波動:N波動に近いが、ロールリバーサルが明確な形状

チャート分析では、資産価格が現在どの波動を形成しており、どのような位置にあるかを見ていくことになります。何波目なのか、そしてどの形状なのかを確認し、次の波を待ってエントリーを考えることになります。

⑤エリオット波動と一緒に覚えたいチャート形状

1. ヘッドアンドショルダー

ヘッドアンドショルダーは三尊とも呼ばれる有名なチャート形状です。初心者でも効いたことはあるのではないでしょうか?下記はBTCUSDの1時間足チャートであり、ヘッドアンドショルダーの典型的なパターンです。エリオット波動の観点から見てみましょう。

H&S
上記の黄色の〇のところで一度上昇が止まり、左肩を形成しました。次に青〇は頭の部分を形成し、最後に右肩のトップが黄色の○印です。2つの黄色の○印がほぼ同じ水準で止まっています。エリオット波動理論の観点から、第3波目の高値を第5波で更新することに失敗しており、上昇トレンドは終了と判断できます。結局、赤色の水平線を下方ブレイクして、急落する動きとなりました。

このように上昇トレンドが転換するときは、高値を超えていなかったり、上ヒゲが発生するなどの兆候が出てくるため、チャートをチェックすることが重要となります。

2. ダブルトップ・ダブルボトム

ダブルトップも出現頻度の高いチャートパターンです。上昇後に一旦の調整を迎え、再び上昇するも前回高値を越えられず上昇トレンドを終了する、といった流れになります。ダブルボトムは反対に、前回安値を下回ることなく下落トレンドを修了するといった流れになります。

下記はダブルトップの実例です。

Wbotom
上図はビットコインの1時間足チャートです。1つ目の青〇で上昇が止まり、2つ目の青〇で再度高値をブレイクしようと試みるもも失敗し、反落しています。ダブルトップも、原理はヘッドアンドショルダーと同じです。2つ目の山頂が1つ目の山頂より低い位置にできています

最終的に、1つ目の青色の位置からの調整で反発していたサポートラインを下方ブレイクすると、下落の勢いが加速しています。

このようにチャート形状から様々な兆候をくみ取ることができます。

⑥エリオット波動をチャート分析に役立てよう

ここでは基礎的な部分について解説しました。エリオット波動は多くのトレーダーが認識しているため、買い注文や売り注文が集まるタイミングを推測するのに役立つでしょう。色々なチャートを見ながら、エリオット波動を自分なりに理解してみましょう。エリオット波動の6つの波と照らし合わせて、相場のリズムを掴む大切さを理解していただくと良いでしょう。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12