2022年の米国株式相場の幕が開けました。過去3年余り市場をけん引してきた大型ハイテク・ハイパーグロース株に代わり、2022年は株価収益率(PER)が低い上に継続的に配当も見込めるバリュー株が強いとの見方が有力です。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めに転じ、米国の経済成長が減速するとの懸念があるためです。
こうした不透明な状況を乗り切るのに適した投資方法の一つとして「ダウの犬(The Dogs of the Dow)」があります。今回はシンプルながら分散投資とインカムゲインを狙った投資ができる個別株投資の方法を紹介したいと思います。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2021年12月31日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
1.ダウの犬とは
米株式市場を代表する主要指標の一つであるダウ平均は、主要30社の株価に基づいて構成されています。30社のうち、2021年12月31日時点で配当利回りが高い企業上位10社に対して均等に投資して一年間保有、配当金も再投資に充てる方法を米国では「ダウの犬」と呼んでいます。
考え方がシンプルで、1株ずつの購入なら数十万円でポートフォリオの構築が可能なため、投資初心者にとっても決して難しくない投資手法です。
2.22年の対象10社は
それでは早速、今年の「ダウの犬」構成銘柄を紹介しましょう。
銘柄 | ティッカー | 業種 | 利回り |
---|---|---|---|
ダウ | DOW | 素材 | 4.94% |
ベライゾン | VZ | コミュニケーション・サービス | 4.93% |
IBM | IBM | 情報技術 | 4.91% |
シェブロン | CVX | エネルギー | 4.57% |
ウォルグリーン | WBA | ヘルスケア | 3.66% |
メルク | MRK | ヘルスケア | 3.60% |
アムジェン | AMG | ヘルスケア | 3.45% |
3M | MMM | 資本財 | 3.33% |
コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | 2.84% |
インテル | INTC | 情報技術 | 2.70% |
(モトリーフールより引用。Meet the 2022 Dogs of the Dow)
30社の中で最も配当利回りが高いのは素材化学大手のダウ(2019年にダウ・デュポンからスピンオフ)です。第2位は通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ、第3位はIT大手のIBMとなります(いずれも2021年12月31日時点)。
10社をセクター/業種で分けてみると、最も多いヘルスケアが3社、次いで情報技術(ハイテク)が2社、残りはコミュニケーション、エネルギー、素材、一般消費財、生活必需品が1社ずつを占めます。
なお、ダウ平均の中でウェートの大きいアップルやマイクロソフトは、配当利回りが1%以下にとどまっているため対象になりません。
3.分散投資しながらインカムゲインを得られる
投資対象の10社が属しているセクターの数に着目すると、わずか10社の中でも計7つに分かれています(S&P500指数の構成セクターは全部で11業種)。また、10社を一つの銘柄と仮定した場合の配当利回りは約3.9%に上ります。
特定のセクターに大きく偏らない分散投資をしながら、米国長期債券(10年債)の2倍以上の配当が期待できる「一石二鳥」の投資方法とも言えます。
4.株価好調なコカ・コーラとメルク
実際、昨年12月からこれら10社の株価は概ね上昇しています。その中で好調さが目立つ銘柄は飲料大手のコカ・コーラと製薬大手のメルクの2社です。
コカ・コーラは今年1月5日に上場来高値を更新しました。オミクロン株の感染拡大を乗り越えて今後、レストランや球場・アリーナなどでの需要が増加すると予想されていることや、新興国市場での需要回復が進んでいることなどが期待されているようです。
メルクに関しては、ヘルスケア関連企業の中ではもともと利回りが高いことや、新型コロナウィルス経口薬「モルヌピラビル」が米国などで販売承認を得たことが評価されているようです。
まとめ
今回紹介した10社は業績堅調な会社が多く、主にインカムゲインを狙う投資家が好む銘柄です。なかには、IBMのように株価が長期間低迷しているため、株価を維持するために高配当を出している企業も含まれています。
とはいえ、10社ともにブルーチップ(blue-chip)と呼ばれる財務基盤の安定した優良企業として評価されることが多い企業です。また、これまでの米株式相場の上昇から遅れていた分だけ伸び代があるとも言えます。
株式投資の基本が「分散」と「長期」であることを考慮すると、ダウの犬を比較的堅実な投資方法として取り入れてみる価値はあるかもしれません。投資判断の参考にしてみてください。
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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