新規ソーシャルレンディング会社「ネクストシフトファンド」の3つの特徴と注意点

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ソーシャルレンディング業界も2018年に入り、新規参入する会社がいくつか現れています。その中で今回は、中国地方は鳥取発のソーシャルレンディング会社、ネクストシフト株式会社を紹介します。

ネクストシフト株式会社では、ネクストシフトファンドというソーシャルレンディングサービスを提供しています。どのような特徴を持ったサービスを、投資家に提供しているのでしょうか。

目次

  1. ネクストシフト株式会社とは
    1-1.ネクストシフト株式会社の事業内容
    1-2.代表の経歴について
  2. ネクストシフトファンド案件の特徴
    2-1.発展途上国へのマイクロファイナンス投資である
    2-2.担保は設定されていない
    2-3.利回りは7%程度
  3. ネクストシフトファンドに投資する時に、注意するべき点
    3-1.為替ヘッジが設定されていない
    3-2.案件の数は多くない
    3-3.投資家からの注目度も低い
  4. まとめ

1 ネクストシフト株式会社とは

ネクストシフト株式会社の本社は鳥取県にあります。設立は2016年10月。東京とカンボジアに営業所を持っています。

2018年3月にソーシャルレンディングサービスを開始しました。まだサービスを開始して半年ほどと歴史の浅い会社ですが、投資家の中でも徐々に認知度が高まりつつあります。

1-1 ネクストシフト株式会社の事業内容

ネクストシフト株式会社では、ソーシャルレンディング事業だけではなく、その他にも様々な事業に取り組んでいます。
具体的には「社会的インパクト投資」と銘打って、ベンチャー企業の支援事業であるベンチャーキャピタル事業や、コワーキングスペースのインキュベーションオフィス事業を展開しています。
投資や融資の対象として

  • マイクロファイナンス機関
  • ソーシャルインパクト・ボンド
  • ケアテックベンチャー
  • ローカルベンチャー
  • 再生可能エネルギー

などと協業していくことを目標としています。

ソーシャルレンディングの収益だけに依存せず、多様な事業を展開することで会社経営のリスクヘッジを図り、会社全体のさらなる成長が期待されます。

1-2 代表の経歴について

ネクストシフト株式会社の代表取締役社長は、伊藤 慎佐仁氏です。会社を立ち上げた伊藤 慎佐仁氏は、金融業界に豊富なキャリアを有しており、数々の有名な金融関係の会社で取締役などの経営職を歴任しています。
会社のホームページから、伊藤 慎佐仁氏の経歴を引用しました。

1991年 株式会社三菱銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行
1998年 ソフトバンク株式会社 財務部入社
2001年 ファイナンス・オール株式会社 代表取締役(ヘラクレス上場)
2006年 SBIホールディングス株式会社 取締役常務執行役員(東証プライム上場)
2011年 株式会社ケイブ代表取締役(JASDAQ上場)

上場企業2社で代表取締役を務めるなど、その手腕と経歴には確かなものが有り、様々な会社と太いパイプを持っていることが推測されます。

2 ネクストシフトファンド案件の特徴

投資家にとって気になるのは、ネクストシフトファンドはどのようなソーシャルレンディング案件を提供しているかという点でしょう。そこで、これまでネクストシフトファンドが提供してきた案件などから、同社案件の特徴を探ってみます。

2-1 発展途上国へのマイクロファイナンス投資である

ネクストシフトファンド
上記ページからわかるように、ネクストシフトファンドではジョージアやカンボジアなど、いわゆる発展途上国でのマイクロファイナンス投資を中心としています。

マイクロファイナンス投資とは、その国のマイクロファイナンス機関に融資を行い、当該機関経由で発展途上国の中・小規模事業主や起業家などに融資を行う投資のことで、社会的にも意義のあるシステムとなっています。

投資を通じて発展途上国への経済的な支援活動を行い、同時に収益を上げていくことも可能ですので、二重のメリットを有する投資手法です。このような投資は、投資活動を通じて社会への貢献ができるという観点から『社会的インパクト投資』と呼ばれます。

2-2 担保は設定されていない

社会インパクト投資は、経済的なメリットがベースにあって始めて成立するものです。そのため、投資家としてもネクストシフトファンドの案件に対して、投資案件としての価値を見極めるていく必要があります。

現在、ネクストシフトファンドの案件には担保が設定されていません。リスクの高い中小規模の事業主に融資を行う上に担保が設定されていませんので、返済リスクや貸し倒れのリスクが高いということが想定されます。

ただ、リスクヘッジになっているポイントもあります。それは、融資先の分散です。例えば100万円を融資しても、一個人に100万円を融資するのではなく、5万円ずつ20人に貸し出します。このようにマイクロファイナンス機関経由で、複数の事業者に融資を行うことで、貸し倒れリスクを織り込みながら、最終的には投資家に利益を提供できるようにしています。

2-3 利回りは最高で7%

気になる利回りと運用期間ですが、運用期間は6~13ヶ月、利回りは4.5~7%程度です。利回りを見ると、日本のソーシャルレンディング会社が提供する案件では、平均的な数字でしょう。

しかし、担保が設定されていない点を考えると、「もう少し利回りが高ければ」と思う方もいるでしょう。運用期間も1年を超える短期でない案件もありますので、事業の倒産や債務者の逃亡などの危険性があります。

3 ネクストシフトファンドに投資する時に、注意するべき点

ネクストシフトファンドに投資する時、投資家としてどのような点に注意するべきでしょうか。

3-1 為替ヘッジが設定されていない

ネクストシフトファンドの案件は円建てですが、貸付はドルです。為替ヘッジが設定されていない分、手数料はかかりません。ですが、せっかく運用がうまくいっても円高に動いた場合には、日本円に両替する時に損失が発生する可能性があります。

ただし、その逆も然りであり、案件の運用時よりも円安に進行していれば、利益が拡大する可能性があります。現在のドル・円の水準が110円程度ですから、円高にも円安にも触れる可能性のある相場であり、見極めはなかなか難しいかもしれません。

3-2 案件の数は多くない

ネクストシフトファンドで現在運用されている案件の数は、わずか2件。募集中が1件です。案件がなければ、投資を始めることが難しいのがソーシャルレンディングですので、案件数が今後順調に増えるかどうかという点について、きちんと注意しながら見ていかなければいけないでしょう。

3-3 投資家からの注目度もまだまだ低い

ネクストシフトファンドの現在の会員数は不明ですが、累計の募集金額を見ると、他社と比べて投資家からの注目度はまだまだ低いと言わざるを得ません。

利回りが平均程度、投資対象はややリスクが高い海外のマイクロファイナンス投資。同分野ですでに先行しているソーシャルレンディング会社「クラウドクレジット」などでは、高利回りの案件で10%を超えるものがあるため、クラウドクレジットよりも安全性が高いもしくは利回りが高いといった経済的なメリットや、社会的なインパクトが大きいなどネクストシフトファンドならではのメリットが提示されるかどうか、という点も今後の注目のポイントになりそうです。

4.まとめ

沖縄発のポケットファンディングに続き、地方発のソーシャルレンディング会社であるネクストシフト株式会社。しかし、残念ながらまだソーシャルレンディング事業は、軌道に乗っているとは言い難い状況であり、案件の募集数や累計の募集金額も小さな数字です。

投資家にとって海外案件は、どうしてもリスクが高くなってしまう上に、思ったような利回りが得られる投資先でもありません。これから先、同社が投資家を確保するには、投資家に向けた同社の案件とサービスの充実に注目したいところです。

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