米国株式相場に逆風が続いています。インフレの高進や金利の引き上げ、リセッション不安など米国内の問題に加え、新型コロナの感染再拡大を受けた中国経済の失速も投資家心理を冷やしています。
今回は米国の主要企業の中で中国市場の重要度が高く、成長鈍化の影響を受けやすい企業5社について解説します。
5社を選ぶにあたっては、売上高に占める中国市場の比率が高いことや、製品の製造や部品の調達で中国系メーカー(中国を製造拠点とする台湾系メーカーを含む)への依存度が高いことなどを考慮しました。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年5月23日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
1.アップル
アップルは4月末、中国主要都市のロックダウンに伴うサプライチェーンの混乱で、4~6月期の売上高が40億ドル~80億ドル減少するとの見通しを示しました(2021年4~6月期の売上高は814億3400万ドル)。
主に、上海や隣接する江蘇省、河南省に進出している台湾系企業(フォックスコンやペガトロン、ウィストロン、ラーガンなど)に製品の組み立てやレンズ製造などを依頼していることから、これらの地域でロックダウンが長引けば、今年秋と見られているiPhone14の発売が遅れる恐れがあります。
2.テキサス・インスツルメンツ
アップルと同様に、4~6月期に売上高が10億ドルほど減少すると予想しているのがテキサス・インスツルメンツです(2021年4~6月期の売上高は45億8000万ドル)。ロックダウンで中国にある主要IT企業の工場が閉鎖に追い込まれているためです。
アナログ半導体のシェアで世界一を誇る同社は、総売上高に占める中国の比率が高いことで知られます。2021年の売上高のうちアジアは66%を占めましたが、このうち約8割が中国と言われています。
3.テスラ
テスラの2021年総売上高(538億2300万ドル)のうち約26%を中国が占めました。ただし、テスラにとって中国は大きな市場というだけでなく、生産の面でも重要度を増しています。
上海の「ギガファクトリー」から顧客に納品された車の台数は昨年、約48万4000台と米国工場を上回りました。通常であれば、上海工場では年間60万台ほどの生産が可能ですが、ロックダウンが直撃して4月の生産台数は約1万台にとどまりました。
上海工場では従業員が施設内に寝泊まりして生産にあたる一方、新型コロナに感染していないかどうか定期的に検査を受けています。
4.ナイキ
テスラと対照的に、ナイキにとって中国は生産拠点から大きなマーケットとなりました。地域別の売上高では北米、欧州に次いで3番目です。マーク・パーカー会長はかつて中国市場について、「デジタルの販路がすでに他のどの地域よりも大きいが、まだ伸びる可能性を秘めている」と述べていました。
2021年12月~2022年2月期決算では、大中華圏の売上高が前年同期比5%減の21億6000万ドルに減少したものの市場予想は上回りました。ナイキは6月下旬、2022年3~5月期の決算を発表する予定ですが、中国市場に関しては苦戦が予想されています。
5.キャタピラー
キャタピラーの総売上高に占める中国市場の比率は5~10%ほどと言われています。ジム・アンプレビー最高経営責任者(CEO)は4月末、「中国における大型掘削機の需要は2020~21年と好調だったが、2022年は19年のレベルをやや下回る」との見通しを示していました。
中国でのキャタピラー製建機や重機の需要動向は、中国経済の先行きを予想する上で重要な指標の一つとなっています。鉱工業生産や固定資産投資の低下が鮮明になった場合、キャタピラー株の足かせになると考えられます。
まとめ
主要5社の中国での動向や中国市場の重要性などを説明しました。
上海市では6月中にロックダウンが全面的に解除され、生産活動が正常化される見通しです。とはいえ、経済活動の停滞は全国的に広がっていて予断を許しません。
アップルやテキサス・インスツルメンツが示した減収見通しも、ロックダウンの長期化や対象地域によってはさらに額が増える恐れがあります。投資家はしばらくの間、中国政府が発表する毎月の経済統計やこれら企業の開示情報を注視する必要がありそうです。
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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