auカブコム証券は金融大手のMUFGグループと通信大手のKDDIグループが合弁企業として運営するネット専業証券会社です。株式や投資信託など様々な金融商品を取り扱っており、中でも先物取引はレバレッジ効果を期待できるほか、現物株よりも取引時間が長く、取引に便利な高機能ツールを利用できるのが特徴です。
そこで、この記事ではauカブコム証券の先物取引について主要ネット証券と比較しながら特徴をご紹介します。メリット・デメリットや評判、取引の始め方などをご紹介するので、先物取引に興味のある方はご参考にしてみてください。
※本記事は2021年4月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用を判断ください。
目次
- auカブコム証券の先物取引の特徴
1-1.取引可能な先物銘柄
1-2.主要ネット証券との手数料比較 - auカブコム証券の先物取引のメリット
2-1.レバレッジ取引ができる
2-2.下落相場でも売買益を狙える
2-3.現物株よりも取引時間が長い
2-4.高機能の取引ツールを利用できる - auカブコム証券の先物取引のデメリット
3-1.レバレッジ取引は損失も大きい
3-2.取引期間が決まっている
3-3.有価証券は全額を代用できない - auカブコム証券の先物取引の評判
- auカブコム証券の先物取引の始め方
5-1.証券口座を持っている場合
5-2.証券口座を持っていない場合 - まとめ
1 auカブコム証券の先物取引の特徴
先物取引とは、特定の商品を将来の決められた日に売買することを約束する取引です。将来の売買価格を約束する取引となるので、取引開始時点でモノやお金が動くのではなく、取引を保証するための証拠金と呼ばれるお金を預けて取引するのが特徴です。
先物取引では「売買を約束した時点の先物価格」と「決済時点の先物価格」の差額のみを決済して取引を終えることが可能です。また、預け入れた証拠金よりも大きな金額で取引できるため、レバレッジ効果を期待できます。
もともと、先物取引は価格変動のある商品などの高騰による影響を抑えるために活用されているリスクヘッジの手段です。例えば、大豆を原材料に生産される豆腐は大豆の仕入価格によって大きく利益が左右され、1㎏あたり100円の大豆が3か月後に120円に値上がりすると大幅な原材料高となり、利益が大きく圧迫されます。
そこで、3か月後に大豆を100円で買う約束をすることで、原材料の高騰によるリスクを回避するのが先物取引の目的です。また、大豆の価格が120円になれば割安で購入できるため、100円で買える権利を譲ってほしいと考える人も出てきます。この需給関係により、取引開始時点の価格よりも高く売ることで利益が生まれるという仕組みになっています。
1-1 取引可能な先物銘柄
先物取引では様々な商品が取引の対象になります。先物取引の対象となる資産を原資産と呼び、例えば金や銀などの貴金属、大豆やとうもろこしなどの農産物、ゴムなどを原資産とした商品先物が代表的です。
また、株価指数や配当指数、REIT指数などを原資産とした先物銘柄も取引されています。auカブコム証券で取引できるのは主に株価指数や配当指数などを原資産とした先物銘柄であり、大阪取引所に上場している以下の銘柄を取引することができます。
銘柄 | 原資産 |
---|---|
・日経225先物 ・日経225mini先物 |
国内株価指数 |
・TOPIX先物 ・ミニTOPIX先物 |
東証株価指数(TOPIX) |
・東証マザーズ指数先物 | 東証マザーズ指数 |
・日経平均Ⅵ先物 | 日経平均ボラティリティー・インデックス |
・JPX日経インデックス400先物 | JPX日経インデックス400 |
・東証REIT指数先物 | 東証REIT指数 |
・TOPIX Core30先物 | TOPIX Core30配当指数 |
・NYダウ先物 | ダウ・ジョーンズ工業株平均株価(NYダウ) |
auカブコム証券では上記10銘柄の取扱いとなっており、大阪取引所に上場している株価指数などを原資産とした銘柄数では、主要ネット証券最多クラスのSBI証券の12銘柄に次ぐ取扱数です。(2021年4月時点)
1-2 主要ネット証券との手数料比較
先物取引は1枚という単位で取引されます。例えば、日経平均株価を原資産とする日経225先物の場合、株価指数の1,000倍の価格が1枚という単位になります。下表は、国内の主要株価指数を原資産とした先物銘柄の1枚あたりの取引手数料(税込)を比較したものです。
証券会社 | 日経225先物 | 日経225mini先物 | TOPIX先物 | 東証マザーズ指数先物 |
---|---|---|---|---|
auカブコム証券 | 330円 | 41.8円 | 330円 | 44円 |
SBI証券 | 275円 | 38.5円 | 440円 | 41.8円 |
楽天証券 | 275円 | 38.5円 | 取扱なし | 41.8円 |
マネックス証券 | 275円 | 38円 | 取扱なし | 取扱なし |
松井証券 | 220円 | 38.5円 | 330円 | 44円 |
岡三オンライン※ | 330円 | 44円 | 330円 | 44円 |
※2021年4月25日時点 通常取引コースの手数料
手数料は各証券会社でほぼ横並びですが、TOPIX先物に関してはauカブコム証券が最安水準です。一方、日経225先物やminiではSBI証券や楽天証券、マネックス証券、松井証券と比べると割高です。
2 auカブコム証券の先物取引のメリット
auカブコム証券の先物取引のメリットを確認していきましょう。
2-1 レバレッジ取引ができる
レバレッジ取引とは、元手の資金の何倍もの金額を取引する方法で、先物取引でも預けた証拠金の数倍から数十倍もの金額を取引することができます。例えば、日経225先物を取引する際の1枚あたりの証拠金が15万円、日経平均株価が2万9,000円の場合、レバレッジは19倍(2万9,000円×100÷15円)となります。
また、auカブコム証券の先物取引では証拠金として現金だけでなく、株式や投資信託を使用できるのも特徴です。
2-2 下落相場でも売買益を狙える
現物株の取引では株を買って購入価格よりも高い値段で売ると利益が出ます。しかし、相場の下落局面では値上がりする株も少なくなるため、このような状況で売買益を狙うのは難しくなります。
一方、先物取引では相場の下落局面でも積極的に売買益を目指せます。「売り」から取引を始めて、予想通りに値下がりした時点で買い戻すことで、利益を得られる仕組みとなっています。
2-3 現物株よりも取引時間が長い
auカブコム証券で取引できる先物銘柄は日中とナイト・セッションで取引可能となっており、日経225先物などは8時45分~15時15分(日中)と16時30分~翌朝5時30分(ナイト・セッション)の時間帯で取引が可能です。
一方、東京証券取引所に上場している現物株式は、市場の開いている9時~11時半の前場と12時半~15時の後場しか取引できません。
auカブコム証券では、海外市場の時間でも大きな値動きにつながる指標やニュースなどを参考にしながらリアルタイムに取引できるので、投資機会を逃さないのが特徴です。
2-4 高機能の取引ツールを利用できる
auカブコム証券の先物取引では、高機能の取引ツールを利用しながら取引できるのもメリットです。「kabuステーション」「証拠金シミュレーター」「先物オプション速報ニュース」などの取引ツールの利用が可能で、リアルタイムの情報を得られる環境で先物を取引することができます。
中でも「kabuステーション」は、逆指値注文やトレーリングストップ注文など様々な発注方式の自動売買に対応しており、先物取引でも利用できるので取引効率を高めてくれます。
3 auカブコム証券の先物取引のデメリット
auカブコム証券の先物取引のデメリットについても確認してみましょう。
3-1 レバレッジ取引は損失も大きい
auカブコム証券の先物取引は証拠金を用いたレバレッジ取引です。そのため、得られるリターンは大きくなりますが、元本保証はなく、相場の見通しが外れた場合の損失も大きくなります。
また、先物取引では、取引に必要な最低必要証拠金が銘柄ごとに決められており、値動きによって取引に必要な証拠金が不足した場合は追証(おいしょう)と呼ばれる追加の証拠金も必要です。特に高レバレッジ取引は証拠金不足となる可能性も高くなるため、レバレッジと口座資産を適切に管理しながら取引することが求められます。
3-2 取引期間が決まっている
現物株の取引では、一度株式を購入すると企業の倒産などがない限りいつまでも保有でき、好きなタイミングで売却が可能です。
一方、先物取引は取引期間が決まった限月取引となっており、取引期日の前営業日までに決済されない取引は、SQ値(特別清算指数)と呼ばれる価格で強制決済となります。
3-3 有価証券は全額を代用できない
auカブコム証券では、先物取引の証拠金として株式や投資信託等の有価証券を現金の代わりとすることも可能ですが、全額が換算されるわけではありません。証拠金換算率は次の通りです。
- 上場株券:前々営業日の最終価格(気配)の原則70%
- 投資信託:前々営業日の基準価額の70%
また、現金による証拠金が必要となる額(先物取引における評価損および諸経費等)については、株式や投資信託で代用できない場合もあります。
4 auカブコム証券の先物取引の評判
auカブコム証券の先物取引を利用している方からは以下のような口コミが寄せられています。
- 現物株のリスクヘッジとして活用できる
- kabuステーションは非常に使いやすい
- 投資信託を証拠金として代用できる
- 高レバレッジだと損失も膨らみやすい
※いずれも個人の感想です。サービスに関してご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。
先物取引は「売り」からも取引できるため、現物株の大幅な値動きに備えたリスクヘッジとして利用できる点が高く評価されています。また、レバレッジによるハイリターンや個別株のリスクを考慮せずに取引できる点や、kabuステーション等の取引ツールも使いやすいと評判です。
一方、先物取引は短期間で大きな損失が発生する可能性もあるため、ハイリスク・ハイリターンな取引であることを認識しながら、リスク管理に努めることも大切です。
5 auカブコム証券の先物取引の始め方
auカブコム証券で先物取引を始めるためには証券口座が必要です。「証券口座を持っている場合」と「持っていない場合」に分けて、先物取引口座開設の手続きをご紹介します。
5-1 証券口座を持っている場合
証券口座を持っている場合、証券口座にログインし、お取引メニューの先物・OP取引から「取引口座開設申込」を行います。通知先のメールアドレスが設定されていることを確認し、「申込画面へ」のボタンを押すと口座開設手続きに進みます。
取引に必要な確認書面が表示されるので、書面の確認後に承諾のチェックを入れ、「承諾する」を押すとWEB審査のページに移動します。投資経験等の関する質問に全て答え、パスワードの入力後に「申込する」ボタンを押せば、WEB審査の手続きは完了です。
WEB審査の結果は通知先のメールアドレスに送信されるので、通過した後はauカブコム証券の最終審査を待ちます。審査に通ると口座開設完了のメールが届き、全ての手続きが完了となります。auカブコム証券では最短で申込即日に口座開設の手続きが完了します。
5-2 証券口座を持っていない場合
証券口座を持っていない場合は最初に証券口座の申込手続きが必要です。パソコンやスマートフォンで申込むことができ、手続きには以下の本人確認書類(マイナンバーカードもしくは運転免許証などの本人確認書類およびマイナンバー通知カード)が必要です。
申込ページでは、住所、氏名、年齢などの個人情報を入力します。その後、本人確認書類とマイナンバー確認書類の提出ページに移動するので、画面の指示に従ってスマートフォン等で撮影したデータをアップロードすれば口座開設の手続きは完了です。最短4営業日ほどで証券口座を開設することができます。
証券口座が開設できたら、上記の先物取引口座の開設手続きを行うと全ての手続きは完了です。
まとめ
auカブコム証券の先物取引は、少ない資金から大きなリターンを狙えるほか、高機能ツールで取引効率を高めながら、現物株のリスクヘッジとしても利用できます。一方、レバレッジに応じて損失リスクも大きくなるため、複数の注文方法を組み合わせるなどしてリスクコントロールを図ることも重要です。
先物取引を始める際は特徴およびリスクをしっかりと把握した上で、利用者の評判等を参考にしながら口座を開設する証券会社を選ぶことが大切です。
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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