2021年の株式市場はどう動く?2020年の振り返りと今後の予測、投資の注意点も

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2020年は、米国大統領選挙、東京五輪開催などのイベントにより、世界的に景気拡大・株価上昇が期待されていました。年初は、世界的に景気・株式市場ともに好調でした。しかしながら実際には、2020年1月頃から新型コロナウィルスにより景気は悪化し、これまで経験したことのない「生活」を余儀なくされました。株価は世界的に大きく売られ、コロナショックとまで言われる事態となりました。

今回は、2020年の株式市場を振り返り、さらに今後の予測、投資の注意点について解説します。

目次

  1. 2020年の株式市場を振り返って
    1-1.新型コロナと金融政策
    1-2.国内政治:菅政権誕生
    1-3.米国:トランプ大統領敗退
  2. 2021年の株式市場はどうなる
    2-1.ワクチン開発と中銀によるテーパリングの時期
    2-2.衆議院解散総選挙と株価
    2-3.東京五輪の株価への影響は?
  3. 投資の注意点
  4. まとめ

1.2020年を振り返って

2020年の株式市場は世界的に新型コロナに翻弄された年でした。1月23日に新型コロナの発生源とされる中国・武漢市で都市封鎖(ロックダウン)が実施されたことを皮切りに、各国でロックダウンが発動され、世界的に経済活動がストップしてしまいました。

日本政府は入国制限を実施、株式市場では観光を中心としたインバンド関連銘柄が大きく下落しました。一方、政府が掲げた新生活様式に関連した銘柄が大きく買われ、日本の株式市場は二極化しました。その後、米国が3月16日にFFレート(政策金利)を1.25%から史上最低の0.25%に引き下げたことや量的緩和を実施したこともあり、日経平均株価は3月19日に安値16,358.19円をつけて反転し、株価は徐々に下値を切り上げ、4月末には2万円台を回復しました。

またコロナ禍で実施された米大統領選挙では、現職のトランプ大統領が大接戦の末に敗れました。

2020年の株式市場に大きな影響を与えた3点についてみていきましょう。

1-1.新型コロナと金融政策

新型コロナの感染拡大に伴う措置として、各国では金融政策と財政政策がとられました。各国の中央銀行は利下げを実施、さらに市場に資金を大量に供給することで、株式市場の下落を抑えました。

米国では、3月16日にFFレート(政策金利)を1.25%から史上最低の0.25%に引き下げました。また、クレジット市場の混乱を抑えるため社債の買入を実施し、市場に資金を供給することで市場に安心感を与えました。その結果、株式市場は落ち着きを取り戻し、NYダウやナスダック指数は史上最高値を更新し現在に至っています。

日本では、日本銀行が3月中旬にETFやREITの購入額を2倍に増加。さらに、社債買入額の増加と対象銘柄の期間を延長(3年から5年)したことから、株価は徐々に下値を切り上げ、日経平均は1991年5月以来29年ぶりの26,000円台を回復しました。

特にコロナによる働き方改革の影響で、巣ごもり関連銘柄が急騰。関連銘柄が多く組み入れられているマザーズ指数の上昇率は33.53%(11月20日時点)と、日経平均の7.91%に対し大きく上昇しました。

1-2.国内政治:菅政権誕生

国内政治の世界では、9月に安倍元総理が退任し、菅政権が発足しました。スガノミクスの柱は、地方銀行の再編、携帯電話料金の引き下げ、活力ある地方の創生、デジタル庁創設です。新政権発足を機に、株式市場では携帯電話会社の株価が下落し、地方銀行の株価が上昇する場面がありました。

また、菅総理は2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることを打ち出したため、再生エネルギー関連銘柄に資金が向かいました。

1-3.米国:トランプ大統領敗退

注目された米国大統領選挙では、トランプ大統領が敗退し、バイデン氏が次期大統領に確定しました。

バイデン次期大統領は選挙演説でトランプ大統領の政策からの離脱を多数、公約しました。米国がパリ協定に復帰するのもそのひとつで、バイデン次期大統領が協定復帰を明言した後に、再生エネルギー関連銘柄に資金が流入し株価を押し上げました。

一方、バイデン次期大統領は大企業と富裕層に対する増税案を政策として掲げているため、当初株式市場はバイデン氏が選挙で勝てば下落するとの見方もありました。

下院選では民主党が過半数の議席を維持しましたが、上院選は接戦となり2021年1月に決選投票が行われることになったため、上院と下院にねじれが発生する可能性が浮上してきました。ねじれが発生した場合、増税案が通りにくくなるとの思惑から株式市場には継続的に資金が流入しています。

2.2021年株式市場はどうなる

ここからは2021年の株式市場についてみていきましょう。今後の株式市場の行方を占う重要な要素は、「新型コロナワクチンの開発と中央銀行によるテーパリングの時期」です。景気回復と株価上昇の大前提として、新型コロナが収束することが必要です。また、国内では衆議院解散総選挙、東京五輪も株式市場の動向をみるうえで重要なテーマです。

2-1.ワクチン開発と中銀によるテーパリングの時期

ワクチンが正式に開発され世界中に普及し経済が回復すると、これまで中央銀行がとっていた緊急的な緩和措置の変更(テーパリング)の時期が注目されます。

現在の株価は、需給によって押し上げられているため、金融緩和の縮小は株価の下落につながります。量的緩和により割高な銘柄が多くなっているため、テーパリングが始まると割高銘柄を中心に反落する可能性が高く、警戒する必要があります。

2-2.衆議院解散総選挙と株価

衆議院の任期満了は2021年10月です。東京五輪が7月に控えているため、解散総選挙が春までに行われる可能性が高く、選挙結果が注目されます。菅政権の経済政策を実現するには時間が必要です。選挙に勝つことでスガノミクスが本格的に稼働するため、再生エネルギー関連銘柄などが注目されそうです。

米国でも、トランプ大統領が離脱宣言をしたパリ協定への復帰をバイデン次期大統領が発表し、温室効果ガスの削減を打ち出していることから、再生エネルギーが世界的なテーマになり、来年以降も関連銘柄が注目されることになりそうです。

2-3.東京五輪の株価への影響は?

東京五輪は2021年7月に延期されましたが、足元では世界的にコロナ感染が再拡大しているため開催を心配する声が聞こえてきました。欧州では、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリアがすでに2度目のロックダウンに入り、日本でも感染者が拡大しています。仮に東京五輪が開催されない場合、インバウンド関連銘柄には痛手となりそうです。

一方、五輪が開催された場合、再生エネルギー関連銘柄、特に燃料電池や水素関連銘柄が注目されるでしょう。東京都は東京五輪を契機に水素利用の普及を目指すことを表明した「ゼロエミッション東京戦略」を策定。水素を次世代エネルギーの重要な柱と位置付け、CO2排出量削減に取り組む方針を発表しました。五輪までに、最大70車両の燃料電池バスを都営バスに導入することを目指しています。

3.投資の注意点

コロナ後の株式市場における注意点は、量的緩和の縮小(テーパリング)がいつから始まるかということです。現在の株高は、中央銀行による資金の供給が一因となっているため、中央銀行の金融政策が変更されると株価が下落し始めることとなります。現状、新型コロナの影響で実体経済が失速しているため、容易に量的緩和を縮小することはできません。

株式投資をするうえでは、テーパリングの開始時期を先読みすることが必要です。市場の状況の把握は、イールドカーブの形状とジャンク債(ハイイールド債)市場の動きを追うことで可能となります。10年債と2年債の金利差が拡がり続けているかどうか、ハイイールド債市場が崩れていないかどうかということです。

10年債と2年債の金利差が拡大し、ハイイールド債の価格が下落し始めたら要注意です。なお、株価が下落に転じた場合、高PER銘柄や赤字会社の株が指数よりも大きく売られる可能性があります。

まとめ

2020年も残すところあと少しとなりました。今回は、2021年の株式市場はどう動く?2020年の振り返りと今後の予測、投資の注意点について解説しました。

株式市場には緩和マネーが流入し株価を吊り上げています。コロナが落ち着けば中央銀行は市場を見守りながらテーパリングの時期を探りはじめます。警戒心をもち、割高な銘柄を避ける必要がありそうです。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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