株式投資には、現物取引のほかに信用取引があります。信用取引は、現金や株式を担保に証券会社からお金もしくは株式を借りて投資できるため、レバレッジにより大きなリターンを狙うことも可能です。また、株を空売りすることもできるので、値下がり局面で利益を狙えるのが特徴です。
特にSBI証券の信用取引は、業界最安クラスの手数料で豊富な銘柄を取引できるので、注目している方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、SBI証券の信用取引について詳しく解説するので、SBI証券の評判や手数料、メリット・デメリットについて興味がある方は、参考にしてみてください。
※本記事は2021年8月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- SBI証券の特徴
- SBI証券の信用取引のメリット
2-1.豊富な銘柄数と業界最安水準の手数料
2-2.レバレッジをかけられる
2-3.空売りができる
2-4.何度も売買できる - SBI証券の信用取引のデメリット
3-1.投資元本を上回る損失リスクがある
3-2.追証が発生する
3-3.取引期限がある
3-4.現物株取引よりもコストが多い - SBI証券の信用取引の評判
- SBI証券の信用取引の始め方
- まとめ
1 SBI証券の特徴
SBI証券は、金融大手のSBIホールディングスのオンライン証券です。使いやすさ、手数料、豊富な取扱銘柄など、総合評価の高い証券会社です。2021年6月27日時点では、日本のネット証券で最も口座開設数が多くなっています。
2 SBI証券の信用取引のメリット
SBI証券で信用取引を行うメリットを確認していきましょう。
2-1 豊富な銘柄数と業界最安水準の手数料
SBI証券は、業界屈指の豊富な銘柄数と業界最安級の手数料が特徴で、スマートフォンやパソコンで取引することができます。SBI証券と他ネット証券の取扱銘柄数、売買手数料を比較すると以下の通りです。
一般信用売建銘柄数
項目 | SBI証券 | 楽天証券 | auカブコム証券 | 松井証券 | マネックス証券 |
---|---|---|---|---|---|
買建 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
売建 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
一般信用売建銘柄数 | 約2,400銘柄 | 約3,800銘柄 | 約2,400銘柄 | 約978銘柄 | 約2,200銘柄 |
売買手数料(1約定制プランの場合)
項目 | SBI証券 | 楽天証券 | auカブコム証券 | 松井証券 | マネックス証券 |
---|---|---|---|---|---|
10万円 | 99円 | 99円 | 0円 | 0円 | 99円 |
50万円 | 198円 | 198円 | 0円 | 0円 | 198円 |
100万円 | 385円 | 385円 | 0円 | 1,100円 | 385円 |
500万円 | 385円 | 385円 | 0円 | 3,300円 | 385円 |
※2021年6月27日時点
SBI証券の信用取引の種類は、一般信用取引(無期限、日計り、短期売り)、制度信用取引と種類が豊富なので、取引スタイルに応じて、様々な投資戦略を立てることができます。
例えば、SBI証券で1日定額制プランの「アクティブプラン」を選ぶと、1日の売買代金合計が100万円以下であれば、売買手数料0円で取引することができます。また、新規建て日当日が決済期日となる日計り信用取引の売買手数料も0円なので、低コストで取引することができます。
また、信用取引口座を開設すると、有料の高性能取引ツール「HYPER SBI」を無料で利用することができます。
2-2 レバレッジをかけられる
信用取引は、証券会社に預け入れる現金や株式を担保にお金を借りて自己資金以上の取引ができるので、少額から大きな利益を狙うことができます。信用取引のレバレッジは3.3倍に設定されており、自己資金の3.3倍が信用取引での投資可能額になります。
例えば、100万円の株式を信用買いしたい場合、手持ち資金の3.3倍で取引できるので、33万円で100万円の株式を購入できます。そのため、信用取引では資金効率よく運用することが可能です。
2-3 空売りができる
現物株取引では、安い価格で買い付け、高い価格で売却することで利益を得る一方、信用取引の空売りでは、証券会社から株を借りてきて、先に高い価格で株を売却し、安い価格で株を買い戻すことで差額利益を得ることができます。
例えば、100万円の株式を空売りして、株価が80万円まで下がったところで買い戻せば100万円−80万円=20万円が利益となります。このように値下がり局面で利益を出すことができるのが空売りの特徴です。
空売りを使う場面は、個々の投資戦略によって変わってきます。先述した通り、値下がり局面で利益を上げたい場面のほか、信用買いと空売りの両建て、現物買いと空売りなど、リスクヘッジ目的で空売りを利用することもできます。
また、他社では通常空売りができない銘柄なども、SBI証券の「HYPER空売り」を利用すると空売り可能になるので、収益の獲得チャンスを広げることも可能です。
2-4 何度も売買できる
現物株取引の場合、同日で同一銘柄の取引は、反対売買までしかできません。A銘柄を買い付け、その日に売却することはできますが、同日中にA銘柄を再び買い付けることはできません。
一方、信用取引の場合、保証金の与信限度額内であれば、同日で同一銘柄の反対売買をすることができます。A銘柄を買い付け、その日に売却、同日中に再び買い付けることが可能となっています。保証金の与信限度額内であれば繰り返し売買することができるため、デイトレードにも適した方法となっています。
3 SBI証券の信用取引のデメリット
SBI証券の信用取引は多くのメリットがある一方、デメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
3-1 投資元本を上回る損失リスクがある
信用取引はレバレッジにより大きな利益を狙える反面、予想したレートが逆方向へ進んだ場合、損失も大きくなります。
例えば、現物株取引で100万円の自己資金を使って投資をした場合、株価が50%下落したときに、手元に残る資金は50万円です。一方、信用取引の場合、自己資金100万円で3倍の300万円を使って投資をした場合、株価が50%下落すると150万円の損失となり、投資元本を上回る損失が発生します。
3-2 追証が発生する
信用取引には、追証(追加証拠金)の制度があります。追証では、信用取引の担保として機能している「委託保証金率」が一定の基準に下がると証券会社から追証判定がくだり、不足分が請求されます。
そのため、信用取引では、委託保証金率の上限ギリギリで信用取引を行わないように、ある程度余裕を持たせておくことが大切です。
3-3 決済期日がある
信用取引には決済を行う決済期日があり、これを「信用期日」と言います。例えば、制度信用取引の決済期日は「6か月」と決められており、約定日から6か月後に反対売買をしなければなりません。また、日計り信用取引では、約定日の当日が決済期日となっています。
状況や取引スタイルに応じて様々な取引方法が選択できるものの、決済期日はそれぞれ異なるので、あらかじめ確認しておく必要があります。
3-4 現物株取引よりも掛かるコストが多い
現物株取引では、約定時にかかる売買手数料が主なコストですが、信用取引では取引方法や使うサービスによってコストの種類が変わってきます。
例えば、信用買いの場合、証券会社からお金を借りて取引することになるので、借入金額に対して金利コストが発生します。制度信用取引と無期限信用取引では、2.8%の金利コストがかかり、日計り信用取引で1約定金額が100万円未満なら1.8%の金利コストが掛かります。
一方、1約定金額が100万円以上の場合、金利コストは発生しません。また、短期信用取引でも金利コストがかからずに取引できます。
次に、株を空売りする場合、証券会社から株を借りて取引することになるので、「貸株料」が掛かります。制度信用取引では、1.15%の貸株料がかかります。無期限信用取引では1.1%、短期信用取引は3.9%、日計り信用取引で1約定金額が100万円未満なら1.8%の貸株料が発生します。1約定金額が100万円以上の場合、貸株料は掛かりません。
また、空売りする銘柄や、その時の状況によって「逆日歩」が発生するケースもあります。逆日歩とは、証券会社の空売り残高が信用買い取引残高を上回ると発生する費用です。
証券会社は、顧客の空売り注文に対して株を貸し出します。しかし、証券会社には貸し出せる株数に限界があり、不足分は金融機関から調達することになります。逆日歩は、その際にかかる調達コストとなっています。
4 SBI証券の信用取引の評判
SBI証券で信用取引を行っているユーザーからは、以下のような意見や感想が寄せられています。
- 空売りが難しいIPO銘柄や、新興市場で空売りできるのは便利
- 信用取引口座があれば、有料の取引ツールが無料で使える
- システム障害でログインしづらくなる場合がある
- 売買手数料が他社と比べても安く、コストを気にせず取引ができる
※個人の感想です。サービスのご利用にあたっては、ご自分でも情報収集されたされた上で最終的にご判断ください。
SBI証券の信用取引は、空売り銘柄が豊富なので、株価の下落局面やヘッジ目的など投資スタイルに合わせて取引できる点が高く評価されています。
一方、信用取引には様々な取引コストが発生しますが、SBI証券は他と比べて手数料も安いため、繰り返し行いやすいと評判です。
5 SBI証券の信用取引の始め方
SBI証券で信用取引を始めるには、証券総合口座と信用取引口座の開設が必要になります。証券総合口座を持っている場合、証券総合口座にログインし、信用取引口座の申込みページから手続き可能です。
証券総合口座を持っていない場合、証券総合口座開設のページから個人情報を入力し、規約の確認をしっかりと行ってから、申込みを完了させます。
最短翌日で審査結果のお知らせメールが届き、審査に通ると口座開設完了となります。証券総合口座内にある全ての預かり金は、信用取引で担保となる委託保証金となるため、証券総合口座に入金すれば取引を始めることができます。
まとめ
SBI証券の信用取引は、業界最安クラスの手数料で多くの銘柄を取り揃えているほか、取引方法も豊富です。また、レバレッジ取引や同日同一銘柄の売買が可能なので、資金効率よく運用することができます。値下がりを予想した空売りや、両建て、現物株と組み合わせたヘッジなど、機関投資家のような多彩で技巧的な投資ができるのもSBI証券の信用取引の強みです。
一方、信用取引には元本を上回る損失が発生するリスクもあるので、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、利用者の評判も参考にしながら慎重に検討しましょう。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
- IPO投資に強い証券会社、少額からIPOに参加できるサービス
- 25歳以下の現物株式の取引手数料が実質0円の証券会社
- 大手証券会社が提供している株式投資サービス
- 少額で株式投資ができるサービス
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