Coinbase(コインベース)とは一体どんな仮想通貨取引所なのか?事業展開、日本市場への影響について解説

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今回は、日本でサービスを開始したCoinbase(コインベース)について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)とは?
    1-1. Coinbaseの事業内容
  2. 日本におけるCoinbase
    2-1. 仮想通貨の販売所
    2-1. Coinbase Earn(コインベース・アーン)
    2-1. 三菱UFJ銀行とのパートナーシップ
  3. 市場に与える影響について
    3-1. 黒船の到来か?
    3-2. 事業拡大と日本市場
  4. まとめ

米国最大の仮想通貨取引所であるCoinbase(コインベース)が8月19日に日本に上陸しました。Coinbaseは今年4月に米NASDAQに上場し、株式評価額が一時1000億ドルに達したことでも話題となった企業です。今回はCoinbaseとはどのような仮想通貨取引所なのか?また、日本の仮想通貨市場にどのような影響を及ぼすのか?という点について考察します。

①アメリカ最大の仮想通貨取引所「Coinbase」とは?

まずCoinbaseの企業概要や本国アメリカでの事業展開について解説します。
Coinbase 1
仮想通貨取引所Coinbase(正式社名:Coinbase Global, Inc)は2012年に元AirbnbエンジニアのBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏によってサンフランシスコで設立されました。

Coinbaseは仮想通貨の取引所サービスをアメリカを中心に32カ国で展開しているだけでなく、190ヶ国で使用できる仮想通貨ウオレットを提供しています。 Coinbaseの口座数は2021年4月時点で5600万件、アクティブユーザー数は610万人と、圧倒的なユーザー数を誇っています。現在のCoinbaseには本社としての施設がなく、会社全体がリモートワークで運営されている事でも知られています。

Coinbaseは2021年4月14日にティッカーシンボル「COIN」でNASDAQに上場し、参考価格250ドルから最高429ドルに達した後、328ドルで取引を終了、時価総額は650億ドル(約7兆円)となりました。上場前の推定価値が470億ドルとされたこともあり、成功と言える結果でした。上場時の資料によると、同社の収益の約60%がビットコイン取引の手数料となっており、仮想通貨取引所として世界最大のビットコインの保有量を誇ります。

1-1. Coinbaseの事業内容

次に米国でのCoinbaseの事業内容を解説します。

仮想通貨の販売所は「Coinbase」という名称で、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ライトコイン等の購入やステーキングサービスの利用ができます。取引所に関しては「Coinbase Pro」という名称で、仮想通貨取引プラットフォームを提供しています。

仮想通貨の販売・取引以外の事業としては、「Coinbase card」という仮想通貨ベースのVISAデビットカードや、「Coinbaseコマース」というマーチャント向けのペイメントサービスを展開しています。

また、機関投資家向けには「Coinbaseプライム」という専用プラットフォームと「Coinbase Custody」というスペシャリティサービスを提供しています。

②日本におけるCoinbase

次にCoinbaseの日本進出時のサービス展開について解説します。

Coinbaseは日本向けの仮想通貨取引所として、8月19日に本格的なサービスローンチをしました。日本におけるサービス内容は以下の通りです。

2-1. 仮想通貨の販売所

ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ステラの5種類の販売所形式での仮想通貨取引が可能で、取引所は当面は設置しないとのことです。また、今後は取り扱い仮想通貨の種類を増やしていく方針です。

株主でもあり日本の提携先でもある三菱UFJ銀行からの日本円のクイック入金の手数料は無料となります。
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2-2. Coinbase Earn(コインベース・アーン)

Coinbase Earn(コインベース・アーン)は、特定の仮想通貨の説明に関する動画を視聴し、クイズに答えることで、Coinbaseのウォレットに学習した仮想通貨が入金されるサービスです。

仮想通貨の特徴に関する事項が容易に学ぶことができ、仮想通貨のファンダメンタルズの基本的な勉強にもなります。例えば、ステラルーメンの場合、学習を完了することで10XLMを獲得することができます。今まで日本の企業では無かったサービスとなります。

Coinbaseの日本市場での初期のサービスはこれら2つですが、米国でのサービスを随時追加していくものと思われます。

2-3. 三菱UFJ銀行とのパートナーシップ

Coinbaseの日本進出にあたりメガバンクの一つである三菱UFJ銀行がその提携先となったという点は、クイック入金の手数料が無料になること以上に大きな意味を持つと考えます。

なぜなら、Coinbaseカストディやプライムなど、Coinbaseの日本における仮想通貨決済サービスのインフラ整備に三菱UFJ銀行が関係してくる可能性が見込まれるからです。

日本では機関投資家が仮想通貨に投資をすることはそれほど一般的ではありませんが、アメリカやヨーロッパでは既に機関投資家や大手法人が仮想通貨投資を始めています。日本でもそれが本格化した時に多くの大企業の口座を所有する三菱UFJ銀行が窓口となる可能性が高いと思われます。

③市場に与える影響について

Coinbase上場が仮想通貨業界また仮想通貨市場にどのような影響を与えるのでしょうか?

3-1. 黒船の到来か?

Coinbaseがサービスを開始した8月19日、Coincheckを運営するマネックスグループの株価が前日比で8.3%もの下落をしました。

これはCoincheckの将来性に不安感が募った結果と推測されますが、Coinbase上陸が日本の仮想通貨取引所に与える影響はかなり大きなものとなりそうです。

今まで日本にはなかった「Coinbase Earn」のようなサービスや本国で展開している決済サービスなど、日本の仮想通貨取引市場が提供できていないサービスを多く抱え、NASDAQ上場により社会的信用を獲得したCoinbaseは脅威と言わざるを得ないでしょう。

3-2. 事業拡大と日本市場

CoinbaseはNASDAQへの上場により信用力と影響力が増しています。

日本のビットコイン取引市場は世界的にも大きいため、今後日本人が保有するビットコインがCoinbaseに向かうことになると、Coinbaseの影響力はさらに大きなものになるでしょう。

将来的にETFの現物購入先となるなどの展開も考えられるため、Coinbaseプレミアムの影響力はさらに増すことになると考えられます。

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Coinbaseのウォレットはすでに世界190カ国で利用可能でアメリカでは去年の秋から仮想通貨建てのデビットカードサービスも展開しています。

また、マーチャント向けの支払いサービスも行なっているため、その基盤の上でブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクトなどDeFi分野での展開は確実に力を入れていくと思われます。

さらにNFTマーケットへの参入も示唆されており、マーケットプレイスの展開や、ブロックチェーンゲームへの進出なども考えられます。

④まとめ

Coinbaseが新しいブロックチェーン技術と巨大な会員基盤をうまく活用することができれば仮想通貨取引所の枠を超えて、新たな金融機関としての地位を確立する可能性も非常に高いと言えます。

今回のCoinbaseの日本進出が、仮想通貨業界全体の成長に貢献する形で発展していくことを見守りたいと思います。

Coinbase(コインベース)の口コミ・評判・口座開設

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12